店主日記

  • 梅雨入り 2023年05月29日

     今朝目覚めたとき、激しくアスファルトを打つ雨音がしていた。墓参の時は小雨になった。不思議なことに、墓参の時はいつも小雨になる。私が濡れぬよう、妻が見守っているのだろうか。あの空の上から。

     

     事務所に来たらまた大降りになった。昼ご飯に近くのコンビニでおにぎりを買った。いつもの3人の店員さん、なぜか私に優しい。事務所でおにぎりを頬張っていたら昼のニュースがラジオから聞こえていた。中国地方は梅雨入りしたとか。そうなんだ、そんな季節なんだ。

     

     3月3日の私の誕生日はいつも天気が良いと店主日記で書いた。ある日、ある人に誕生日を聞いた。私は梅雨時分で雨の日が多い。そんな答えをふと思い出した。ネットで見る予報では、明後日の31日は晴れマーク。今年は天気良さそうだよ。

  • たまにこんな日がやって来る 2023年05月27日

     いつものようパンを焼いて、目玉焼きとウインナーをサラダの横に置いた朝ごはんを食べた。そして朝の私のルーティーンの墓参をした。墓石の前にしゃがんで線香を供えてしばし妻に話しかける。なぜかいつも、山口県の萩市に旅行した時の妻の笑顔が見えてくる。

     

    長濱

     事務所に着いた。空がどんより曇っていたからだろうか、流し台のあるバックヤードは薄暗かった。電気ポットに水を入れ、コンセントを差し込んだ瞬間気持ちが沈んだ。コーヒーを飲んでも、気持ちは晴れてくれない。二度と会えない妻の顔がまた浮かんできた。

     

     耐えきれなくなってしまったから、車に乗って外へ飛び出した。いつの間にか、八束町に行く埋め立て道路を走っていた。そして本庄を通ってだんだん道路を走って帰ってきた。私には、たまにこんな日がやって来る。

     

     写真は、「海を見ていた午後」に彼女撮影

     

     午後、管理している店舗の草木の手入れに行った。業者にお願いすればいいものを、私自ら汗かいた。午後晴れてきたから暑かった。額から噴き出る汗。昔趣味の自転車で走って流した汗のように、気持ちが良かった。ああ、すっきりした。

  • 三瓶山 2023年05月25日

     定休日の昨日の夕方、帰り事務所に寄ってこれを書こうかと思ったけれど、直接家に帰ってしまった。だから今、早く出勤してこうして書いている。

     

     良い天気だった。息子との面会を出雲市で終えて、予定通り三瓶山に向かった。大田市街地から大田高校の前を通っていつものように北の原に向かった。あの、いつまでも続く長い上り坂を走った。いつもの三差路を左折した。その瞬間、あの日の記憶が蘇ってきた。

     

     四十九日を終え、一息ついたと感じたある日のこと、今日と同じこの道を走った。走りながら妻のことを想った。一緒に、よくドライブしたなとあらためてそう思った。そして、これからは私ひとりのドライブなんだと思った。永遠に、妻とのドライブはできないんだと思った。ちょうど5年前の悲しい記憶なのである。

     

    三瓶山

     

     北の原から西の原に向かってあの木漏れ日の道を走った。木漏れ日が、私の心を和らげてくれた。西の原の駐車場で車のハッチバックドアを開けた。荷室に腰を下ろして縁石に足を預けた。大田市街地のコンビニで買ってきたサンドイッチを頬張った。池波正太郎の文庫本を開いた。頬にあたるそよ風が気持ち良かった。三瓶山の新緑の濃淡が、その美しさを名残惜しむように広がっていた。

  • 徒然に 2023年05月22日

    多伎2  一鉢のアマリリスの花芽から四つの花のつぼみが顔を出してきた。その中の二つの花が、今朝出勤してきたら見事に開いていた。残りの二鉢も花芽が伸びだしている。一時に咲かず、順番に私の目を楽しませてくれる。25年の付き合いからの、私への気遣いだろうか。

     

     今日は松江生協病院で新型コロナウイルスのワクチン接種をした。6回目だから慣れたものである。接種終わって、15分ほど待つ。次、私が呼ばれる番。呼ばれるのを待たずに番号札を持って担当者の前へ。担当者に笑顔が浮かぶ。私も笑顔を返す。小さな触れ合いを感じた。こんな小さな触れ合いが、とっても心を和ます。

     

     写真は彼女撮影。この先左手に三瓶山がある。明後日の定休日、出雲市の息子に会った後、三瓶山に行って、西の原の駐車場で文庫本を読もうと思っている。

  • 海を見ていた午後 2023年05月21日

     事務所前で3鉢のアマリリスを育てている。その一鉢の花が半分だけ開いてきた。サラリーマン時代、お客にもらった小さな一鉢。会社の裏で育て、やがて我が家に持ち帰り、不動産業開業の時、事務所に持って来た。ふたりで苦労して立ち上げた自営業。この花を見ると、妻の笑顔が浮かんでくる。

     

     先日のある日、今日は有給で仕事休んでいるよと言うある人と連絡を取った。午後は時間が空いていると言うのでドライブに付き合ってもらった。湖北線を通り、平田町経由で出雲大社の参道に入る鳥居前を通った。平日なのに人が多いねと素通りした。車は海岸線を通り、出雲市最西端にある「キララ多伎」に着いた。

     

    長濱

     

     道の駅建物裏の展望所を歩いた。柵の手すりに体を預けて出雲国風土記の神話を話した。風土記によると、八束水臣津野命が朝鮮半島から国を引っぱってきた。それが島根半島で、その国をつなぎ止めた綱が下に見える薗の長濱なんだ。その綱を固定する杭がもう少し西に位置する三瓶山だ。記紀神話にはない、雄大な物語だね。松江観光文化検定試験に合格した私だからのネタなのである。 写真は彼女撮影

  • 三成駅 2023年05月17日

     先週の木曜日、愛車の後輪のショックアブゾーバーを両輪取り替えてもらった。すごく調子が良くなった。そして今日は久しぶりの快適な車でのドライブだ。日課の朝の墓参の時、墓石に頬ずりして、そして妻に話しかけた。今日は定休日だよ。一緒に、奥出雲町へのドライブ楽しもうな。

     

    三成駅

     

     三成駅に着いた。なぎさ、ここが俺が子供の頃に列車に乗った三成駅だよ。プラットホームのあそこから線路に降りる傾斜があるだろ。そこのすぐ手前に機関車は止まった。乗客は、機関車のすぐ前に下りて線路を渡っていた。そしてこちらにある改札口で切符を駅員に渡していた。すごく懐かしい。

     

     愛車は三成駅から阿井に向かった。そして広島県の県境を越えた。山々の緑の濃淡がなくなって濃い緑一色に変わろうとしていた。田植直後の田んぼには稲の頭がわずかに水面に浮いていた。あんな小さな稲だけど、秋になったら黄金の稲穂に育っていくんだよ。

     

     スピーカーからかぐや姫が歌う「神田川」が聞こえてきた。間もなく「赤ちょうちん」に替わった。なぎさ、もう一度聴くねと、そっとつぶやいた。この2曲が繰り返し繰り返し聞こえてきた。妻とふたりでドライブしていたあの頃のように。繰り返し繰り返し聞こえてきていた。

  • 時生 2023年05月13日

     先日から読み始めた東野圭吾の「時生」を読み終えた。序章で、間もなく亡くなっていく息子を入院先の病院で両親が見守っている。そして父親の若い頃の成長していく姿が物語として流れていく。終章で最後の別れがやって来た。涙もろくなったものだ。それとも、涙腺が逞しくなったのだろうか。

  • 修理完了 2023年05月11日

     先日の朝、あまりにも空が青かったのでスマホで写した。飛行機雲だろうか、良い添景になった。飛行機雲、今でもその言葉は通用するのだろうか。今では死語になっていないだろうか。まったく聞かなくなった言葉にこんなのもある。「Platonic love」

     

    青空

     

     今日、自家用車の修理が完了した。ディーラーの修理工場から国道9号線に出て試運転をすることにした。宍道湖大橋を渡って湖北線を走った。1ヶ月半ぶりの快適さが帰ってきた。ああ、なんて爽やかなんだろう。心には青空が広がっていった。

  • 二連休 2023年05月10日

     自家用車の、修理のドッグ入りが明日なので今日はまだ調子の悪い車でのドライブはしたくない。楽しいはずの月一度の連休なのにどこへも行けないなんて。ドライブが第一趣味の私にとっては最悪だ。羽をもがれたトンボのようなものだと思った。それでもと、昨日は妻の名前の秋鹿なぎさ公園まで行ってきた。

     

    宍道湖

     

     駐車場の片隅から宍道湖を眺めてみた。湖はあくまでも穏やかだった。このなぎさ公園でのバーべキュー大会を思い出していた。発達障害の子たちと、その親たちのグループで行ったバーベキュー大会を思い出してしばらく宍道湖を眺めていた。ビールが出たので缶ビールを一個飲んだ。妻と息子はうまそうに肉を頬張っていた。懐かしい思い出だ。

     

     自動販売機で冷たく冷やされた缶コーヒーを買って車に戻った。両サイドの窓を半分ずつ開けた。通り抜けるそよ風が気持ち良かった。もう少しこのままここで時間をつぶしたいと思った。もう少し思い出に浸っていたいと思った。妻と同じ名のこの公園にもう少しこうしていたいと思った。・・・そして今日になった、朝から出勤してきた。コロナウイルス感染症が5類に移行した後の、これからの人生の準備をしようと思って。

  • アマリリス 2023年05月08日

     事務所前のアマリリスの一鉢の花芽が伸びてきた。一枚の葉と頬ずりするように寄り添って伸びている。先日まで、葉の方の背が高かったのに今日は花芽の方が高く伸びている。間もなく開花するだろうと楽しみだ。

     

    信号 今日から、新型コロナウイルス感染症法の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられた。感染対策のアクリル板が撤去され始めた。出勤に歩く人のマスク姿も少ない。これで、市民の生活が平常化していくのかもしれない。経済の動きが回復するのかもしれない。

     

     先日、奥出雲町の道路の交差点の信号のことで三成署に問い合わせると日記に書いた。問い合わせるまでもなく、ネットで調べてみた。雪国では縦信号が多いそうだ。雪対策であるらしい。積もった雪の負荷が縦信号の方が少ないとか。そう言えば、子供のころ、奥出雲町の実家で屋根の雪下ろしをしたものだった。

  • 連休最終日 2023年05月07日

     3日4日5日と連休しますと張り紙をした。だが連日出勤した。仕事も少しした。昨日からフルタイムで働いている。今朝が明けた。出勤のため一歩外へ出たら肌寒い。小降りだが雨も降っている。そしてカレンダーは連休最終日。

     

     なぜか、過去の5月の連休の記憶が蘇ってきた。妻がいて、3人の子供たちはまだ小さくて、朝ごはんを終えて外出の準備をしている。この日はどこに行ったのだろう。広瀬町の河原へのデイーキャンプだろうか。それとも、温泉津温泉に一泊旅行の日だったのだろうか、定かではないが天気の良い連休の日の朝の光景が蘇ってきた。

     

     そんな記憶と、この天気の湿っぽさが相まって寂しさが増してくる。今日は、こんな気分だから仕事なんかできそうにない。だが出勤してきた。過去の連休が楽しかったから、もうあんな楽しい日々はやって来ないから、今日は気休めに文庫本を読もうと思っている。

     

     先ほど、数ページ読んだ。先日書店で3冊買ってきて、2冊読み終えて、残った1冊だ。内容もろくすっぽ見ずに買った推理小説だ。病院で、間もなく、いやもう意識が回復しないかもしれない息子を見守る夫婦がいる。そんな場面から始まっていた。悲しそうだけど、でも、読もう。

     

     時生(ときお 息子の名)が子供の頃、RV車を買って北海道一周旅行をしたりした。話は我が家に帰る。末っ子が産まれた時、大きめのRV車を買ってキャンプをしたりのアウトドアで楽しんだ。妻もそれを好んでいた。・・・「時生」という東野圭吾の推理小説だ。

  • 棚田 2023年05月06日

     記紀神話に八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の物語がある。スサノオノミコトがイナタヒメを八岐大蛇から救ったという話だ。奥出雲町を車で走っているといたるところに棚田を見ることができる。この両者は関係がない話ではないそうだ。棚田は、鉄穴流し(カンナナガシ)という砂鉄採集方法によって削られた山の山肌に作られた田んぼらしい。

     

     そんな太古の昔に、老夫婦の娘たちが毎年、次々と大蛇に食べられていく。ある書物で読んだことがあったが、これは人の命をも奪っていく水害を言ったたものではないかと。八岐大蛇の8個の頭と、8本の尾は斐伊川の数々の支流だという。それを退治した時に流れ出た血液が斐伊川を赤く染めた。これは、鉄穴流しで大量に流れ出た土砂の濁りではないかと。

     

    棚田

     

     そして、退治した八岐大蛇の尾からは大刀が出てきた。これは鉄穴流しとたたら製鉄のことらしい。先日行った奥出雲町でこの棚田を見た。記紀神話はこれを編纂した人々のロマンだと思った。そして日本人てなんて素晴らしいセンスの持ち主なんだろうと、この写真を見て思った。私にも、その血が流れているのだろうか。そして彼女は、何を思い描いてこの写真を写したのだろうか。

  • トロッコ列車 2023年05月05日

     昨日、この店主日記を書き上げたところで思いついた。連休で休みだから、先日クリスマスローズを一緒に見に行ったあの人を誘ってみよう。そう思いついた。いいよという返事が返ってきたので事務処理を途中で切り上げた。この頃、どうも人恋しくてたまらない。どうせ奥出雲町に行くのなら隣の助手席に人がいる方が楽しくていいだろう。

     

     12時半に松江出発。故障の愛車をいたわりながら、だからアクセルワークが慎重になる。でも会話が楽しい。墓参にも付き合ってもらってその後、亀嵩に行ってみることにした。道の駅「酒蔵奥出雲交流館」で、この頃奥出雲町に行く度に買っている「どぶろく」を買うためである。

     

     奥出雲町には、交差点の信号が少ない。でも、時々見かける。彼女、意外なことを発見した。信号機の信号は、青、赤、黄の電球が横並びになっているものだと思っていた。が、奥出雲町の信号は縦並びになっている。どうしてなのか、連休が明けた今度の月曜日に三成署に確認して報告しようと思う。

     

    おろち号

     

     木次線の観光の目玉、トロッコ列車に出会った。三成駅に入ろうとしているところだった。撮り鉄達の姿がいっぱいだ。このトロッコ列車「奥出雲おろち号」は今年度で廃止になるとか。最後の勇姿なのである。助手席の彼女撮影。昨日は楽しかった。

  • 墓参 2023年05月04日

     朝の墓参の時、妻のお墓の近所にお墓を持っていらっしゃるAさんに会った。お久しぶりですと言ってお互いにあいさつを交わした。Aさん、先日の私の新聞投稿を読んだとおっしゃった。とっても気持ちが良く分かるともおっしゃった。彼女のご主人も、妻と同じ頃に亡くなられたらしい。

     

    参道の松

     Aさんと言えば、年齢は私より少し先輩だ。だけど、若々しい。私よりずいぶん若い感じに見受けられる。スマートだし、階段をさっさと下りる身軽さがある。お顔立ちもチャーミングだ。特に目が可愛い。その昔、と言っても小学生の頃か、若い女の先生にあこがれたことがある。そんな気持ちを抱いてしまうAさんなのである。

     

     今日の午後、田舎の先祖のお墓参りに行ってこようと思っている。調子の悪い愛車に気遣いながら、久し振りにお墓参りをしようと思っている。父と母と長兄に、私の近況を報告しようと思っている。元気だから安心しなよって言ってこようと思っている。午前中は、手つかずの事務処理だ。

  • 5月1日 2023年05月01日

    葉 5月になった。いかにも五月晴れらしい朝を迎えた。温かい。事務所前の落ち葉を掃き清めた。その瞬間風が強くなった。事務所裏からクスノキの落ち葉が舞い踊って来て、あっという間に再び事務所前に散らばった。そしてそれがつむじを作り始めた。・・・これが人生だよ。順調にいかないのが人生だよ。これが人生の縮図だよ、と思った。

     

     昨夜、私はどうして、妻に対してこんなにも未練がましいのだろうかと考えてみた。どうしてこんなに悲しいのだろうかと考えてみた。だが、なかなかに結論は見いだせなかった。そしてしばらくの時間思考することをあきらめた。そしたらやがてふと、と言うか突然に思い当たることがあった。

     

     私と妻は、いつも一緒だった。仕事もプライベートもいつも一緒だった。いつも一緒に居て苦痛じゃないのって他人は言った。いいや、苦痛なんかじゃないよ。とっても気楽で楽しいよって妻とふたりで答えていた。だから、休みの日も朝から晩まで一緒に居た。一緒にドライブ小旅行を楽しんでいた。

     

     私は、妻のことが大好きだった。心の底から愛していた。人を好きになるって、それは能力なのかもしれない。私に与えられた、人を愛することができる能力なのかもしれない。・・・そう思った。その能力は、私の人生から来ているのかもしれない。あるいは妻が与えてくれたものかもしれない。そうだな、そのふたつが合わさったものなのだろうな。昨夜、そんなことにふと思い至った。

     

     朝、カウンターに置いた飛沫防止のパーテーションを取り除いた。風景がすっきりとした。開放的になった。こんなことでも、人の気持ちって、変わるものなんだ。そう思った。

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