店主日記

  • 土曜日の朝 2020年03月28日

     桜

     昨日はよく雨が降った。その雨も止んでどうやら今日は歩いて出勤できそうだ。土曜日とあって、行き交う人も車も少ない。ひょっとして新型コロナウイルスのせいかもしれない。町が静かだと私の心ものんびりしてくる。

     

     降るかもしれないと思いながらコウモリ傘を片手に持つ。いつものように湖東中学校の裏道を行く。草むらにはカキドオシだろう群生している。そこらあたりを独占して誇らしそうだ。彼らはいっぱいの笑顔で何を語らっているのだろう。

     

     しばらく歩くと真っ白い花が咲きかけている。幹を見ると桜のように思える。いや違うだろうか。写真を撮って後で図鑑で調べてみよう。雨も滴るいい男、それとも女。

  • 目的 2020年03月26日

     花

     本当の春がやって来たみたい。あちらこちらのソメイヨシノのつぼみは膨らみ、所によっては気の早い蕾が花びらを開いている。そしてお前は何者だって言ってやりたいようなウグイスの鳴き声がたどたどしい。いやむしろその方が微笑ましくもある。生きていることの喜びさえ感じさせてくれる、そんな気がするこの頃だ。

     

     法要の時は、もらい酒もあって浴びるほど飲んだ。それを片付けておかないと、身近にあると誘惑に負けるから。その少し以前から酒は控えていたがその後は絶とうと思っている。絶って今5日。そしてたまには休憩するのだが徒歩通勤しだして1ヶ月が経つ。

     

     腹部は細くなり、自宅で椅子に座ってテレビを見てくつろぐ時、素足に目をやるとのっぺらぼうだったその甲に凹凸ができている。そして体重が1キロほど減った。何のためにこんな修行もどきをするのだろう。

  • オオイヌノフグリ 2020年03月17日

     イヌフグリ

     よりによってこんな名前を付けなくてもいいじゃないかと思ってしまう。そんな花が山陰の松江の草むらにも咲きかけてきた。やがて、春の陽をいっぱいに浴びて、満開になって草むらを彩ってくれるだろう。目立たない花だが、その紫色に癒される気持ちになるのはなぜだろう。

     

     先日、この日記にアップした写真でチューリップの花がある。妻の三回忌が終わってその日のうちに尾道に帰って行った長女からメールが届いた。あのチューリップは、母の日に私があげた花だよって文字が並んでいた。そういえば、母に贈るんだといって妻が選んだ母の日が、私たちの挙式の日だったんだ。

  • チューリップ 2020年03月13日

     チューリップ

     黒地に白い星がいっぱいデザインされたマグカップが鉛筆立てとなってパソコンデスクに置かれている。その中のボス的存在が妻が持って来たボールペンなのである。そのボールペンの頭はチューリップの造花になっていて可愛らしい。どこで買ったものかは私は知らないがここに居座って何年が経つのだろう。

     

     チューリップが咲くころに、妻は突然あの世に向かって旅立ってしまった。少し早いが今度の15日の日曜日に三回忌の法要を営む計画だ。昨夜、夫と一緒に帰ってくる広島に嫁いだ長女が電話をしてきた。「前の日の夕ご飯は私が作って持って行くから心配しないでね。お酒はたくさん買うんじゃないよ」

     

     昼になっていつものように近くのコンビニで弁当を買ってきた。いつものように妻のワークデスクに座って頂く。一口食べたところで昨夜の娘の電話を思い出した。優しいな。こんな優しさって、妻が亡くなって以来だなって、そう思った瞬間、涙がこぼれてきた。

  • CD到着 2020年03月09日

     眼覚まし時計の単調なリズム、それを聞かずとも目覚めるこの頃だ。まず、石油ファンヒーターに点火する。仏壇にロウソクを立て、線香を灯す。そしておもむろにリビングのカーテンを開ける。すでに風景が見えるほどの明かりが差している。

    山本潤子

     

     やがて霧がその風景を覆ってきた。天気が良い証なのだと思うと心が明るくなる。案の定、太陽の光がすぐさま霧を追い払ってしまった。神秘と現実を一度に味わった。もっと神秘をと思っても自然はままならない。

     

     パソコンに向かっている時、突然玄関が開いた。郵便だ。先日注文しておいたCD2枚セットが送られてきた。昭和70年代に活躍した人気フォークソンググループ、「赤い鳥」のメンバーの山本潤子のものだ。ギターのスチール弦が奏でるような、そんな響きのある彼女の高音が気に入っている。これを先日から何度も会って会話も弾んだ人と、一緒にドライブしながら聴こうと思う。

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