店主日記

  • 金屋子神社 2024年05月30日

    金屋子神社

     

     目覚めた時、不意にというのだろうか、金屋子神社に行ってみよう。そんな気持ちになった。安来市広瀬町西比田にある金屋子神社は、1200社を数える金屋子神社の総本山であるらしい。説明書きによると、珍しい総けやき造りだとのこと。余談だが、スサノオノミコトが退治したヤマタノオロチの尻尾から出てきた草薙剣、奥出雲地方の製鉄の盛んさを表したものだという説もあるらしい。これから行く稲田神社も、八重垣神社も、今居る金屋子神社もすべてが神話で結びつく。

     

    夫婦杉

     けやきと言えば、妻が名付けた「けやき不動産」。これも何かの縁だろうかと、めったに手を合わせない私が、小銭入れの中に僅かばかりあったのを全部賽銭箱に入れて二礼二拍手一礼の参拝をした。そして帰ろうとした時、夫婦杉を見つけた。1本の杉が、途中で2本に増えていた。なぎさ、これも何かの縁なんだよ。

     

     気分良くして金屋子神社を後にした。もちろん安全運転で。広くない坂道を下っている時、タヌキらしい動物を見つけた。じっとこちらを見ていた。目と目が合うのって、こんなことを言うのだろうか。そおっと通り過ぎることにした。その時、ゆらッと体を揺らす彼が見えた。え、後輪がこつんと何かを踏んだ。通り過ぎてバックミラーで確認すると、道路の真ん中でピクピク動く彼の姿が見えた。

     

     どうすればいいのだろう。とりあえず、交番を探して走り回った。道端にある、ある事業所に駆け込んで交番の場所を聞いた。留守だったので本署に電話した。「タヌキを轢いてしまったんです。どうしたものでしょう」。「事故扱いにします」との返事。

     

     現場で遠方からやって来るお巡りさんを待った。何気なく眺めた風景が、なんとなく懐かしかった。吹く風が心地良かった。黄色い花が、カメラの前で揺れていた。農作業のおばあちゃんが小さく確認された。そぐそばに動物の死骸があると言うのに、穏やかな気持ちの私が、その風景にシャッターを押していた。

     

    比田の風景

     

     現場検証終わって車に乗った。何やかにやで2時間余りを費やしたことになる。横田の、稲田神社にも行こうと思っていた。佐白の八重垣神社にも行こうと思っていた。だが、時間を費やし過ぎてしまった。今度にしよう。今日はもう帰ろうと、亀嵩の道の駅、酒蔵奥出雲交流館で「どぶろく」を買って帰ることにした。

     

     レジの店員さんにかいつまんで先ほどの出来事を話した。タヌキかと思っていたら、アライグマだったと。アライグマは害獣です。害獣駆除に協力したと思ったらいいですよって、そう言って慰めてくれた。そして夜になって、ひとり焼酎のお湯割りを楽しんでいる時、妙にアライグマのことが気になったのはなぜだろう。

  • 飛行機雲 2024年05月25日

     昨日の暑さはどこに行ってしまったのだろう。今日は、最高気温が昨日より7~8度低いらしい。良く晴れてはいるが、風が吹いていて肌寒さを感じてしまう。昼少し前、県立松江工業高校の前を大庭町方面に車で走っていた。え、あの雲は。飛行機雲が風に流されて横に向かって広がっていた。まるで刷毛で履いたように薄く横に広がっていた。ちょうど信号が赤に変わったので、スマホを取り出して写してみた。停まっていても、スマホの画面を見るのは違反なのだろうか。と心配しつつ、うまく写っていればいいが。

     

    飛行機雲

  • Amazon.co.jp 2024年05月25日

     一週間に1~2度だったメールが、この2~3日、毎日3回も4回も届くようになった。送り主のアドレスはAmazon.co.jp。「支払い方法を更新するには下のリンクをクリックしてください」と。うっとおしさを通り越してあきれる。こんな稚拙な詐欺メールを、よくも恥ずかし気もなく送れるものだと。イオン銀行というのもちょいちょい届く。ああ、昭和の時代が懐かしい。黒い、ダイヤル式電話の通信方法が懐かしい。

  • すっきりと 2024年05月24日

     朝7時半の目覚まし時計で目覚めた。昨夜はぐっすりと眠れた。押入れに布団をしまって朝食の準備をした。冷蔵庫の、野菜室から取り出した昨夜こしらえたサラダが冷たくて美味しい。ひとり暮らしでも生ごみが。それを出して、墓参終えて事務所へ。9時ちょうどに到着した。

     

     9時半の約束のお客様が帰って行かれてから、バックヤードの流し台で上半身裸になった。お湯に濡らしたタオルで昨夜の寝汗を拭いた。この頃常備の、市販のかゆみ止めを上半身にまんべんなく塗った。よし、これでよし。夕方まで、乾燥肌の痒みから心を守れる。先日の3日間が明け、すっきりした気持ちになっている。不思議だなあ。

  • 三瓶山 2024年05月23日

     昨日息子に会って、その後いつものように三瓶山に行った。国道9号線から大田市中心部で市街地に入った。大田高校の脇を通って三瓶北野原に向かった。北の原は通過、木漏れ日の道を通って西の原に出た。この駐車場に車を停め、いつものようにパンをかじって昼食にした。これが息子に会った日の、私のルーティンなのである。

     

     まだ子供が息子だけだった時、ここ西の原に妻と3人でピクニックに来た。息子2歳。本当にあどけなかった。そんなことを思い出しながら、この3日間を振り返ってみた。やっぱり妻との死別は、普通じゃあなかったんだ。そう思った。この3日間の、いや、6年間の心のもやもやの原因が分かった気がした。

    三瓶山

     

     分かったのなら、もういいじゃないか。すべてが過去のこと、変わりはしないんだ。どうあがいたってどうしようもないことなんだ。だからさあ、ともう一人の私が手入れされた芝生の上で微笑んでいた。お前らしく楽しく生きようよ。女房の面影と一緒に楽しく生きていこうよ。息子が小さかった時のように。な、俺も手伝ってやるからさ。

  • ちびりちびりと 2024年05月21日

    焼酎 どうしようもない怒りがこみあげてきて、それが二度と抜け出せない悲しみと結びついて、泣きじゃくりながら島根半島の海沿いの道を車で走った。点在する集落が次から次へと移り替わっていった。約束されたように、石州瓦の赤い色に統一された集落の家々の屋根を見てるうちに、怒りは収まっていった。悲しみも幾分和らいでいった。そんな昨日の午後もあった。

     

     シャワーを浴びた。上半身裸で冷たい空気を体に感じながら缶ビールを一気に飲み干した。その後に、先日の3月に七回忌の法事の時にお供え用にと高級な焼酎を2本頂いたのを飲んだ。洒落たグラスに焼酎を注ぎ、氷をふたかけら入れた。それに水を注いで水割り焼酎をちびりちびりと飲みだした。今日の出来事だった朝の話し合いも、怒りに任せて走った午後の島根半島のことも忘れて。逞しくなったものだ。奥さんの方が男前だねって言われていたのに、逞しくなった。どこかから、妻の笑い声が聞こえた気がした。

  • 明日何時に出発したらいい 2024年05月20日

     朝の10時頃だっただろうか、「明日何時に出発したらいい」。その答えを当たり前のように、当たり前のことを答えてしまった。そしてその日の正午過ぎ、妻は事務所でお父さんと言って、そして倒れて、意識も回復しないままにあの世にひとり旅立って行ってしまった。

     

     次の日の月曜日、息子は入院することになっていた。病気でもないのに、その必要もないのに。だから妻は、その入院を嫌がっていた。そんなに気にしているんだったら、そんなに嫌だったら。・・・妻の気持ちを分かってやれなかった。そう思うと今でも悔やまれてならない。・・・俺も一緒に行くよと、なぜ私はそう言わなかったのだろう。そしたら、妻は死ななくてもよかったのかもしれないのに。

     

     今日の午前中、約束通り息子が籍を置く施設の人が3人でやって来た。予想通り、息子との契約を解約してほしいと言って。私はきっぱりと断った。あれから6年、あなた方は何の努力をして来たんですか。なぜ息子は、あんな窮屈な生活を6年間も続けなくてはならなかったのですか。せめて、新しい息子の入所先を探す努力をしてください。それが、息子を病院に送り込んだあなた方の責任でしょう。・・・妻の仇を討ってやりたい。そんな気持ちになっていた。

     

     3人が帰った後、怒りで心が震えた。妻を亡くした悲しさに、息子を不自由な生活にした心の苦しみに、この6年間、俺が一体どんな気持ちで生きて来たと思ってる。・・・景山さんって、怒ったことあるのって時々人が言う。そりゃああるさ、と心の中でつぶやく。妻を愛した情熱があったように、俺にだって激しさはあるさ。

    海

     

     たまらずに車を走らせた。こんなに心が乱れているようでは今日一日は終われない。そう思った。海が見たいと思った。どんなに心が乱れても、ハンドルを握ると落ち着くらしい。海を見て、点在する集落の民家の赤瓦を見てる時、ここにも生活があるんだな、人の営みがあるんだなと、だんだん心がほぐれてきた。・・・自分らしさを取り戻そう。明日から仕事、頑張ろう。

  • アマリリス 2024年05月19日

    アマリリス アマリリスの花が咲きかけていた。今朝出勤してきて昨日よりだいぶ膨らんだアマリリスの蕾に気が付いた。ああ、今年も咲くんだ。毎年毎年花を咲かせて、私を喜ばせてくれたアマリリスの花が今年も咲きかけている。

     

     サラリーマンの頃、勤務先のお客様が持ってきてくれたアマリリスの若い一株。事務所裏で育てていたが日当たりが気になったので我が家に持ち帰った。それから数年の後、けやき不動産を立ち上げた。そして間もなく事務所前に持って来た。だからもう30年以上の付き合いが私にはある。私の人生の半分を共にしてきた、そう言っても間違いない。

     

     そのアマリリスの花が今年も咲きかけている。この、けやき不動産の歴史のすべてを知っているこのアマリリスの花が咲きかけている。「アマリリスの花が今年も咲きかけているよ」。毎年毎年妻にそう語りかけてきたアマリリスの花が今年も咲きかけている。

  • 気合いだ!気合いだ!気合いだ! 2024年05月15日

     計画通り、朝から奥出雲町に向かった。先祖の墓所に直行した。父さん、母さん、あんちゃん、またやって来たよ。たまにはなぎさと会うのかい。宜しく頼むな、あいつひとりで心細いだろうから。宜しく頼むな。そして線香を灯して、じゃあまたやって来るね。

     

    横田

     

     ループ橋に行った。阿井から吉田を通って帰ってきた。最後は宍道湖一周した。宍道湖を見ながら、20日のことを考えていた。息子が籍を置く施設との話し合いがあるからだ。そして、人生って辛いな、そう思った。だけど、だけど負けるもんか。負けてなるもんかと、気合を入れた。

  • 2連休 2024年05月14日

     今日明日は月一度の2連休だ。朝8時に目が覚めた。リビングのカーテンを開けた。よし、晴れている。ベランダに布団を干そう。干し終わったら公園墓地に。布巾で墓石をきれいに拭いた。気持ち良くなっただろ。今日と明日は休みだから、ずうっと一緒だよ。

    トンビ

     

     帰って朝食にした。遅い朝食をのんびりと食べた。テレビ見ながら、新聞を読みながらゆっくりと食べた。何日振りだろう、いや何年振りだろう。こんなに落ち着いて食べるのは。その後、はたきをかけて掃除機かけた。いちど郵便を出しに行って、掃除終わったら午後1時近くになっていた。

     

     さあどうしよう。どこか出かけてみるか。車に乗って、近くのコンビニで菓子パンと缶コーヒーを買った。これがいつもの昼食だ。美保関方面に行ってみようか。・・・しばしの後、灯台の駐車場のある地蔵埼で大山を眺めていた。妻が、トンビになって私に会いに来ている。何度も何度も輪を描いている。名残惜しそうに。おーい、元気かい。

  • 結婚記念日 2024年05月09日

     「母に贈りたい」との妻の提案で、母の日を選んだ。その日は、眩しいほどの陽射しが山々に降り注いでいた。山わらうとはよく言ったものだと、日本語の美しさに感動したことを覚えている。天気までが私たちを祝福してくれている、そう思った。幸せになろうな。指輪を交わす時、目と目で誓い合った。

     

     そして今年の5月8日は定休日と重なった。思い出の鳥取行きはずいぶん以前から決めていた。9時に自宅を出発した。公園墓地に妻を迎えに行った。なぎさ、約束通り迎えに来たよ。お化粧すんだかい。おめかししたのかい。

     

     山陰道を軽快にとばした。淀江インターで一般道の国道9号線に下りた。ここからは思い出の道になってきた。左に見えてきた日本海は荒れていた。波しぶきの水滴が視界を遮っていた。海だって、同じだね。人生と同じだね。晴れた日もあれば、曇った日だってあるんだね。そして今日のような荒天も。

     

    日本海

     

     目的の観音院に着いた。参道を歩いた。小雨降る山門下で本堂をしばし見つめていた。なぎさ、今日はやめよう。庭園の鑑賞はよしにしよう。この天気だと、思い出が壊れそうだから。なぎさとドライブしただけで十分だ。隣にいてくれただけで十分だよ。

     

     そしてなぎさ、思い出って、悲しいだけのものじゃあないんだね。今日のような、こんな喜びもあるんだね。でも、涙くんさよならなんて言わないよ。悲しくなったときはいっぱい泣くよ。涙もいっぱい流すからね。だからと言って、雲の上から泣いてる俺を見て心配するんじゃないよ。もう大丈夫だからね。

  • 水辺二題 2024年05月06日

    江の川

     

     4日のみどりの日と、5日のこどもの日の二日間を休むことにした。みどりの日には、国道9号線を西に向かって江津市まで行った。江津市の道の駅「サンピコごうつ」で一休みしてから今度は南下して川本町に向かった。途中、悠々と流れる江の川を眺めていると、我が心のちっぽけさが身に染みた。帰りは大森銀山をかすめ、多伎町から9号線に出て帰ると走行距離230キロ。

     

    小原ダム

     

     5日の子供の日にはまず、安来市の道の駅「あらえっさ」に向かった。そこから米子市を通って国道181号線から180号線に乗り替えて日南町に行った。道の駅「にちなん日野川の郷」でしばし休憩の後、道なき山道を超えて奥出雲町に入った。そこは素通りして雲南市に下って小原ダムに行ってみた。写真に豆粒のようにボートをこぐ人々が写っている。満々と湛えられた水に比べ、人間なんてなんてちっちゃな動物なのだろう。私も、その内のひとりなんだと思った。ひとりぼっちで車を走らせていると、いろいろなことを考えてしまう。でも、それが楽しいのだが。

  • 5月 2024年05月02日

     不思議だなあ。山が煙っている。山全体が煙るのじゃあなく、吹き出し口があって、そこから噴き出ているように見える。その煙に向かって望遠ズームレンズを向けてみた。つかみようのない煙はレンズのピントも弾く。手動に替えて僅かの間に3回シャッターを押した。煙の状態は3枚とも全く違う形になっていた。

     

    煙

     

     いつも不思議だなあと思う。雨の日の山間のドライブはいつも不思議だなあと思ってしまう。あちらこちらの山が煙っている。噴火口から出る煙のように見えるのはどうしてだろう。自然て、面白いね。

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