三瓶山

2023年05月25日

 定休日の昨日の夕方、帰り事務所に寄ってこれを書こうかと思ったけれど、直接家に帰ってしまった。だから今、早く出勤してこうして書いている。

 

 良い天気だった。息子との面会を出雲市で終えて、予定通り三瓶山に向かった。大田市街地から大田高校の前を通っていつものように北の原に向かった。あの、いつまでも続く長い上り坂を走った。いつもの三差路を左折した。その瞬間、あの日の記憶が蘇ってきた。

 

 四十九日を終え、一息ついたと感じたある日のこと、今日と同じこの道を走った。走りながら妻のことを想った。一緒に、よくドライブしたなとあらためてそう思った。そして、これからは私ひとりのドライブなんだと思った。永遠に、妻とのドライブはできないんだと思った。ちょうど5年前の悲しい記憶なのである。

 

三瓶山

 

 北の原から西の原に向かってあの木漏れ日の道を走った。木漏れ日が、私の心を和らげてくれた。西の原の駐車場で車のハッチバックドアを開けた。荷室に腰を下ろして縁石に足を預けた。大田市街地のコンビニで買ってきたサンドイッチを頬張った。池波正太郎の文庫本を開いた。頬にあたるそよ風が気持ち良かった。三瓶山の新緑の濃淡が、その美しさを名残惜しむように広がっていた。

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