店主日記
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カフェ 駕籠石庵
2021年07月31日
私が事務所をオープンした当時、借家をひとつ持っているので空室になったらお願いねって、20歳ぐらい年上の女性と知り合いになった。度々訪れてくれて、お客様も紹介していただいたりした。それが結果につながると、老舗「皆美館」のレストランでの昼食もご一緒したりした。私とは気が合う人だった。そして、6年前に他界された。それ以来、その家とは付き合いも途絶えていた。
先日、その方の娘さんの来訪があった。大社町でカフェを開いたという。そして奥さんはって聞かれた。3年前に亡くなってねと答えたら、知らなかったわ、ごめんなさいねと言って御仏前をくださった。有難うございます。一度行きますねと言って、今日、友達を誘って行ってきた。
大社町の、旧JR大社駅の近くにある駕籠石庵は築100年以上の古民家である。敷地面積400坪ほどに、建物が立っている。養蚕農家の旧家だそうだ。座敷のテーブルから望める庭の真ん中には駕籠石が置いてある。駕籠石とは、昔の乗り物の駕籠を置く平たい石のことである。そんなところから、駕籠石庵と名付けられたそうだ。
娘さんのご主人のご実家である。大黒柱や、天井に横たう大きな梁は黒光りしている。松の木の建築材からは松やにが滴って塊を作っている。いかにも名家の佇まいの趣が漂っている。そしてなにやら懐かしい。庭を見せて頂いていると、風に揺らぐ風鈴の音色は涼やかだった。
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ワクチン接種の日
2021年07月29日
早くに目覚めたけど、どこにも行かないと決めていたから。シーツを洗った。枕カバーも洗った。布団を干した。掃除機かけた。トイレ掃除した。風呂掃除した。昼前になってすべて完了。墓参を終えて、買い物して、そうめん食べてた。男やもめにウジがわくって言うけれど、たまにはこんな日もあるんだよ。そして、たまには昼からでもいいかなってビールをグビリ。
そんな定休日だったから早くに寝た。今朝は当然早くに目が覚めた。早朝の公園墓地、この頃よく空を見る。そこから私が見えてるかいって。いつの間にか、後ろの山の上に太陽の顔がある。今日も肌を焦がしそう。出勤して、メール開いたら今日はワクチン2度目の予約日です。分かってるよ。
今、接種が終わって帰ってきた。お昼ちょうど。接種会場の雰囲気があまりにも・・・疲れた。昼ごはん、欲しくないな。でも、これで一安心。
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今になればみな笑い話
2021年07月26日
今日は、営業マンが何人か来た。夕方やって来たのは、転勤して来ましたと言う若者の新任の挨拶である。名刺交換の後、まあどうぞおかけください。これが私の決まり文句だ。来る人は拒まずである。そして彼の外見上の特徴を見つける。陽に焼けたね、どうしてって質問してみる。「車のエアコンが故障して、窓を開けて走っているものですから」
これがきっかけとなって、次から次と泉のように会話の種は飛び出してくる。そして、私の波乱万丈の人生を話してあげた。彼は、涙を流して笑って、私の話を聞いてくれた。そう、私の人生は、今になって話せばみんな、笑い話に聞こえるのである。彼もひとり暮らし、久し振りに笑いながら人と話せましたと、笑顔で帰って行った。
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どうしてもクワガタが見たくて
2021年07月22日
じっとその動きに見入る。次はあの足が動いて、行く方向性から、口その周辺の動きから、きっと餌を求めているのに違いない。そう思ってみていると、案の定、ゾル状の餌の上で止まった。読みが当たった。国外産の、オオクワガタの様子である。まるで私は子供だな。
昨日のことだ。朝、一週間ぶりに掃除機かけた。サンドイッチ作って、コーヒーをポットに詰めた。さあ出かけるぞ。通帳を整えるため、支払いのため、銀行に行った。次は郵便局。出雲に入院の息子の病院の支払いに行く。月末は案外忙しい。その後再び、三瓶山北の原のサヒメルに行く。二週連続である。
受付の若くて可愛い女性に、あのモニュメントはミヤマクワガタですかって聞いてみる。調べてみると言って、そして調べてくれて、私の後を展示室まで追ってきて、報告してくれた。親切なので嬉しくて、スマホ開いて、これが店主日記ですよ、後で読んでみてね。・・・ひとり暮らしは、親切ほど嬉しいことはない。
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真夏の太陽が
2021年07月20日
「真っ赤に燃える・・太陽だから」ってひばりが55年ほど前に歌った。それよりもっと以前、ラジオ体操が終わると山の中に入っていった。目的は、クワガタ虫採集だ。その種類には、私たちはそれぞれ独自の名前を付けていた。ミヤマクワガタは「枕」。ノコギリクワガタは「赤鬼」。ヒラタクワガタは「黒鬼」。
三瓶山のユウスゲの写真を撮ったその日、そのクワガタの姿が見たくて北の原にあるサヒメルに行った。運悪く、休館日だった。だが、その建物の前の広場に、シルバー色に輝いたクワガタ虫がいた。ミヤマクワガタと見たがいかがだろう。
始業にはまだ早い。小一時間もある。インスタントコーヒーを飲みながら、建物の向こうにそびえる茶臼山の頂の方面を眺めている。薄っすらと、絨毯のような白い雲が山の上に広がっている。妻は今、その絨毯の上でくつろいでいるのだろうか。茶臼山の麓に我が家はある。
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あの雲の隙間から
2021年07月17日
最近になって、妻の死を知ったという人がやって来る。昨日も、間接的だが親しかった人が御仏前をくれた。妻の人柄だなって、今朝の事務所の籐製の椅子に座って空を見る。あの雲の隙間から、妻は私のことを見てるだろうか。そう思って手を振った。そう、この頃よく空を見る。
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有難う
2021年07月16日
早朝の墓参の帰り道、ねむの木の花を見つけた。私は、樹木に咲く花にはあまり興味がない。が、まだ陽の光が届かない早朝だからだろう、美しいと思った。しっとりと咲く、その花は神々しくさえ見えてきた。思わず車を停めて、携帯で写してみた。
私の故郷には、この木は多い。今時分になると、山のあちらこちらに見かける。季節を独占しているようでもあった。そして、私たちはこの木を「カアカ」と呼んでいた。葉は、お茶にもなるらしい。「カアカ茶の木」とも呼んでいたのを思い出した。
先ほど、先日の松江市に降った大雨を心配して、昨日メールをくれた中学校の同級生に返信をしておいた。広島に住むMさん、あたたかい思いやりに有難う。そして、私の話を聞いてくれて有難う。
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三瓶山のユウスゲ
2021年07月14日
我が社にとって月1回の連休である。なのに午前中仕事に出てきた。昨日も今日も。不思議だなあって思ってしまう。どうして休日には仕事が入るのだろう。午前中で片付けて、手作りのサンドイッチを食べて、さてどうしようか。三瓶山行こうかやめようか。連休初日、13日のことだ。
悔やむのも嫌だな、と思って出発した。3時30分到着。まだ早い。西の原の日陰の駐車場で読書することにした。いつも車に積んである私の愛読書、文庫本に製本された「暗夜行路」だ。エンジン切って、車の窓を全開にして、吹き込むそよ風を楽しむ。尾道の風景を描写したこの個所は、何度読んでも感動する。そして、文章のすべてが美しい。
5時過ぎた。もうよかろうと目の前に開ける草原に向かう。鮮やかな黄色のユウスゲがこれ見よがしとばかりに咲き誇っている。夕方開花して、あくる日の午前中でしぼんでいく。だからユウスゲと言うのだろう。漢字で書けば、「夕菅」だそうだ。「黄菅」とも言うらしい。帰り、車のルームミラーに映る宍道湖の夕日が美しい。今日は梅雨明けだとか。
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温暖化のせい?
2021年07月12日
夜明け前から続けざまに雷鳴、そして強く降る雨。アスファルトを打つその音で目覚めた。どこかに被害が出そうな激しさである。もう、とっくに朝の8時は過ぎているのに風景はまるで夜。不気味でさえある今日の空模様。あ、携帯の危険通知の音が。美保関方面、土砂崩れの危険あり、避難せよとある。
昨日の夕方、気のせいかもしれないけどヒグラシの鳴き声を小さく聞いた。いや、一匹だが確かにが聞こえる。昨年のこの店主日記を見るとその初音は7月19日。1昨年は18日。1週間早いけど、温暖化が進んでいるせいかもしれない。近年、すべてがおかしくなっている。
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今日も雨、よく降るなあ
2021年07月09日
もう3日も雨が降り続いている。これでは来客もないはずだ。先日の水曜日は大雨だった。意宇川が氾濫しそうになった。川下では、川土手を水位が越えた。そんな日の朝、毎月の支払いにいつもの窓口に行った。いつも話しかけてくれる女性がいる。「今日はどうするんですか」って聞く「車でぶらぶらかな」「この雨なのに」「うん、西に向かって走ろうと思う」
墓参が終わった直後、娘から電話が掛かってきた。「危ない所に行っちゃだめだよ」と言って話は終わった。危なくない所なんかありっこないのに、でも家には帰りたくない。車の運転してる時がいちばん心安らぐ。ご先祖様のお墓参りに奥出雲町まで行った。先祖の墓詣でも心安らぐ。
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豪雨、心配してくれて有難う
2021年07月08日
遅くまで寝てようと思っていたのに、危険を知らせる携帯電話の音で目が覚めた。意宇川が氾濫する恐れがあるって表示されていた。家は高台にあるから心配ないけど、外はすごい雨音だ。その音は途絶えてはまた聞こえてくる。窓を開ければ、雨粒が部屋に飛び込んでくる。
峠は越えたろうとお墓に行った。雨に打たれて生けた花はぐちゃぐちゃ。電話が鳴った。東京にいる長女からだ。私は大丈夫だと思ってるけど、鳥取のお母さんが心配して電話してきたからって言う。娘が嫁に行かなきゃ赤の他人なのに、有難いなって思う。そして、危ない所に行っちゃだめだよと言って電話は終わった。
夕方、テレビで大相撲見ながらだ。鍋料理の仕込みにニンニクをおろし金ですりおろしていたら電話が鳴った。妻の郷の近くに住んでいる妻の妹からだ。心配してくれて有難うねって、近況を報告した。そして夜、焼酎をちびりちびりと飲んでいた。今度は兵庫県の加古川市に住んでいる実の姉からの電話である。一昨年会って以来聞く声である。長々と話していたら、仕舞には涙ぐんでいた私なのである。懐かしい。晩年のひとり暮らしならではの懐かしさなのだろう。身内の有難さをしみじみと感じた昨日の定休日なのである。
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ワクチン接種終えて、一夜明けて
2021年07月06日
朝起きる時、体が少しだるかった。食欲がなくなるほどではない。少し痛いかなって思った注射跡である。昼前になって腕の付け根が全体的に痛くなってきた。上がらないと言うとオーバーだが、上に上げるのが苦痛になった。スーパーマーケットで買ってきた昼の弁当の味が薄い。軽いコロナ症状になったのかもしれない。ワクチンなんて、一度も打ったことがない私がデリケートなだけだろうと思う。それとも、気のせいだろうか。どちらにせよ、打ったことに安心している。
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ワクチン接種
2021年07月05日
事務所前の私が可愛がっているアマリリスの葉に雨が降る。その葉が円を描いた頂の裏側に雨粒を作っていく。粒はだんだん膨らんで、耐えきれなくなって落ちていく。接写レンズを持たないから、望遠系ズームレンズで写して大きくトリミングしてみた。画素は荒れたが、デジタルカメラってすごいなって思う。
今日の午後、1回目の新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた。毎日毎日テレビニュースで見るワクチン接種の模様。注射針が腕深く刺さっていく。いやだなあって思っていたが、実際に受けてみると痛くもかゆくもない。副反応もなし。2回目は29日の午前中。娘達よ、良かったら盆には帰って来い。一緒に寿司食べようよ。
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いい日だな
2021年07月03日
昨日の新聞の読者欄に、私のが掲載されたと昨日の日記に書いた。そのことで、ある人がやって来た。マスクしてるからすぐさまには思い出さなかったが、ひと言ふた言話すうちにすっかり思い出した。そうだあの人だ。
私たち夫婦がこの事務所を立ち上げて、まだ間がない頃だった。引越センターの営業マンがやって来た。マンと言っても、可愛い女性なのである。それから、ちょくちょく営業にやって来るようになった。その真面目さに打たれて、引っ越しの紹介も手伝った。
私の手作りの、お昼の玉子サンドを食べ終わってひと休みしようかなと思った時である。来客があった。花束を持っている。不思議だなあ、どんな用件なのだろう。「当時はお世話になりました。昨日の新聞を読んで、奥様が亡くなられたと知って、お持ちしました」妻の偉大さを、改めて知った今日のお昼時なのである。
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もう一度会いたいな
2021年07月02日
「余命宣言で覚悟ができる」と題した私の投稿が、山陰中央新報の「こだま」欄に載った。先月の24日付投稿の女性が問う、余命宣告に対しての私の考えである。死を告げられることは辛いことだけど、でも死への覚悟はできるのじゃあないかと。
今朝は、朝から暑い。燃える太陽が肌を焦がす。妻が好きだった真夏の空である。家族みんなで泳いだ小波の海を思い出す。家族みんなでキャンプした香木の森が脳裏に浮かぶ。妻は、今日も雲の上から私のことを見ているのだろうか。でも、私には見えないから、もう一度会いたいな。
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悩むからいいんだよ
2021年07月01日
家の近くのスーパーマーケットは水曜日がサービスデーで買い物客がいっぱいだ。幸か不幸か我が社の定休日と重なる。恥ずかしいけれど、いっぱいの買い物客と買い物を共にする。昨日の午後も、1週間分の食料を買い出しに行ってきた。中年のレジ係だ。「袋お持ちですか?」「入ると思うけど」って答えたら「これ袋にはいっていますから別に持てますからね」ってにっこり言う。1.8ℓ入りの焼酎のことだ。女性って、優しいなって思ってしまう。
同じく昨日の朝のことだ。息子の入所施設の担当者が二人来た。重たい話だ。決断が必要だ。分かりましたと言って判断は先送りにした。その後、松江市役所で息子担当の人と話す。ひとりで悩むのは辛いから。どうして、今更このことで悩まなきゃあいけないんだろ、と思う。でもなって考える。悩むから、人生楽しいんじゃないか。