店主日記

  • 九月の雨 2023年09月30日

     朝から体がだるくて、パソコンのYouTubeで太田裕実が歌う「九月の雨」を何となく聴いていた。そう言えば、9月も今日が最後の日だ。だけどどうしてこうも体がだるいのだろう。昨夜あんなにぐっすりと眠ったのに。え、この肩の違和感は?・・あ、そうか。昨日の午後、コロナワクチン接種したんだ。

     

     今晩は、久し振りに同窓会がある。仁多町立三沢中学校卒業の、松江市に住む僅かのメンバーの同窓会が伊勢宮町の日本料理店、「いと賀」で開催される。この春、出雲市の佐田町にクリスマスローズを見に行った、あの見学会を開催した先生もやって来る。5時に仕事終えて、一度車を持って家へ帰ろう。そして、ジーパンに履き替えてバスに乗って行こう。楽しみだな。

     

     さっき、早い昼ご飯を食べた。ご飯と言っても、玉子サンドである。昨夜、ゆで卵で作っておいた。卵の他に何挟もうかと悩んだ時思い付いた。タマネギのスライスを入れてみよう。そしてさっき、いける。タマネギの辛さと甘さが何とも言えないいい味を出してくれている。大人の味だ。

  • マツムシソウ 2023年09月29日

     先日、午前中に散髪をした。午後の取引の交渉に向かうのに気合を入れるためである。その交渉をある程度進めることができた。その疲れか、今朝は7時半までぐっすりと眠った。そして今朝、昨日の仕事の興奮が冷めやらない気がして車で走ることにした。

     

    マツムシソウ

     

     八雲町から広瀬町に下りて行った。道の傍らの所々に彼岸花の集団ががあった。きれいに草刈りされた川土手にのんびりと咲く花。荒れた草むらの中にやっと顔を出して窮屈そうに咲く花。ひとりぼっちで寂しそうに咲く花。彼岸花の一生も、人の一生と同じだなと思った。それぞれの人生があるのだなと思った。

     

     そして思った。ひとりになって5年が経った。何とかいろいろな面で無事暮らしている。これもみんな、空の上から見守ってくれている妻のおかげだなと思った。なぎさ、有難う。これからも頼む。でも、無理しない程度にね。気楽でいいよ。・・・かあちゃんの詩日記にそう書いておいた。

  • 約束だったからね 2023年09月28日

     昨日の定休日、お客様の朝の引っ越しのお手伝いを1時間で終え、三瓶山に向かった。墓前で、今日は雨が降りそうだから無理しなくてもいいよって妻が言う。いや、約束だから。雨の日のドライブも俺好きなんだ。今日は楽しもうよ。

     

     国道9号線を西に向かっていたら降り出してきた。でも、小降り。そして出雲市に着いたら本降りになってきた。それもつかの間、長めの間欠ワイパーがちょうどよい。あのアランドロンの映画のフランスの名車、シトロエンのワイパーの音を思い出した。

    三瓶の霧

     

     大田市街地から大田高校の前を通って、いつもの北の原に向かうコースを走った。その中腹あたりから霧が出てきた。その霧は濃くなったり晴れたりしていた。時には視界を遮るほどの深い所もあった。その霧が風によって川のように流れている山肌もあった。なんて幻想的なんだろう、そう思った。

     

     西の原に着いたら薄曇り、だが山の頂は霧で隠れていた。いつもの駐車場でコンビニで買ってきたクリームパンをかじった。私の車の斜め前の駐車の列に広島ナンバーの車が止まった。私ぐらいの年格好の男性がひとり、山の写真を写していた。彼もやもめなんだろうか。過去の記憶が、走馬灯のように心の中を巡っていった。

  • 秋鹿なぎさ公園 2023年09月26日

     朝の出勤の車の中の10分間、今日の、これから一週間の予定を立てるのが私のルーティーンだ。その日の予定は何回も反芻してきたはずなのに、今朝は昨日返さなきゃいけなかったチャイルドシートを返し忘れていることに気が付いた。

     

    なぎさ公園

     

     開業準備を済ませ、松江署内にある交通安全協会に行った。うっかりしてて遅れてごめんなさいと言って返してきた。せっかく出て来たんだからちょっと車で走ってみよう。そう思った瞬間、ハンドルは秋鹿なぎさ公園へと舵を切っていた。

     

     いつもの場所に立った。波ひとつない宍道湖が広がっていた。その遥向こうに、三瓶山が小さく霞んで見えていた。声を出すのでもないが、私はいつもこの場所でつぶやいている。今度いつ会えるのだろうか。今度孫と会ったらどこへ連れて行ってやろうか。なぎさ、どこがいいと思う?・・・明日は三瓶山に行こうな。

  • 暑かった夏が秋の気配 2023年09月24日

     おさな子が手にして良いものなど我が家には何もない。目が離せない孫がいるために、この一週間の娘の滞在期間中は私が晩御飯を作ることにした。だが私には、家庭料理など作れるわけがない。だから当然、好きだったキャンプで作る、簡単豪快な男料理で終始することになった。

     

     でもな、何かごちそう作ってやりたいなと、そう思った。孫が食べておいしい料理って、と思案していたら思いついた。トンカツにしよう。そうなんだ。私は高校生の時、レストランのアルバイトの厨房で肉料理はよく作っていたんだ。そうだ、トンカツがいい。

     

     大きめの皿に、キャベツの千切りを盛りつけた。そのサイドに、ポテトサラダとパスタをケチャップで炒めたのを置いた。厚めのトンカツ肉をパン粉で揚げた。サクサクサクと数枚に切り分けて先の素材の上に斜めに乗せた。さあ、トンカツの完成だ。

     

    大山

     

     娘たちの、これが我が家での最後の晩餐料理だ。孫が、よく食べた。母に小さくしてもらったトンカツをよく食べた。にこっとして、頬を膨らましておいしそうに食べていた。嬉しかった。もっとごちそうしてやりたいのだが、男の私にはこれぐらいしかできないから、ごめんな。また帰っておいでよ。

     

     写真は中海から見た大山。昨日の朝の別れが寂しくて、寂しさに押しつぶされそうになって、その午後にたまらずに中海一周のドライブに出かけた時に撮ったもの。夏の雲から秋の雲に変ろうとしていたその風景を望遠レンズで切り取ってみた。

     

     そして夜になった。この頃控えめにしていた焼酎を思いっきり飲んだ。無事着いたって言う娘のラインに、焼酎の影響だろうか、寂しくなった、とそう返した。娘の既読に、・・・反省である。

  • またな・・・ 2023年09月23日

     見送り展望デッキから、東京行きの飛行機がすぐそこに見えた。搭乗通路に、ひとつだけ小さな窓がこしらえてあった。そこを見ていると、乗り込んでいく人々がちらりと見えていた。私は目を凝らして見ていた。あ、通った。娘が孫を抱っこして行く横顔がちらりと見えた。あ、っと思わず声を出してしまった。

     

    東京行き

     

     ジェットエンジンのうなりを高めて、間もなく飛行機は滑走路へ入り、ゆっくりと西へと進んでいった。そしてユータンして宍道湖目指して加速していった。やがて前輪を浮かせ、上空へと飛び立っていって、その姿はだんだん小さくなっていった。やがて視界から消えようとしたその瞬間、太陽の光を弾いてキラリと光った。見えぬ機影を、私はいつまでもいつまでも追い続けていた。

     

     僅か一週間だけの暮らしだったのに、それが思い出となって蘇ってきた。孫の笑顔がまぶたに浮かんだ。娘の笑い声が耳元に蘇ってきた。行ってしまうんだな。今度いつ会えるだろう。またな、また会おうな。達者で暮らせ。

     

     ひとりでの帰り道、グレープが歌う精霊流しをCDで聴いた。無縁坂を聴いた。縁切寺を聴いた。こんな気持ちの日には、グレープの歌声が良く似合う。ボリュームを上げて何回も何回も繰り返し聴いた。歌ってみたが、声は途切れて、また途切れてしまった。

  • みんなで 2023年09月21日

     一昨日、朝一番の飛行機で東京から帰って来る末娘を出雲空港まで迎えに行った。その足で出雲市に行き、息子に面会した。帰り、いつもの花屋さんでお墓に供える花を買い、妻の、母の、おばあちゃんの墓に線香を灯した。夕方になったらみんなで回転寿司に行った。家族みんなでこの回転寿司にはよく来たものだった。

     

     昨日は大山の「大山トムソーヤ牧場」に行った。孫がヤギのブースではしゃいでいるのを見て、連れてきて良かったなと思った。1時間ほどで牧場を後にして、桝水高原に向かった。桝水高原のそよ風は秋だなって、そう感じさせてくれるそのそよ風が気持ち良かった。盛りを過ぎたであろうマツムシソウが優雅に風にゆれていた。そして夜、最終便の飛行機で末娘は東京へと帰って行った。

     

     ひとり抜けると寂しい。その寂しさを孫の笑顔が補ってくれる。やっとこの頃仕方なくかな、私に抱かれてくれるようになった。だけどすぐに嫌がる。嫌がっても、でも笑顔が残る。その孫とも明後日の朝にはお別れだ。また、私のことなど忘れてしまうのだろうか。

     

    マツムシソウ

     

     何年前だっただろう。今日のように、マツムシソウが風に揺れていた。妻と私と、長女と末娘と大山の桝水高原に訪れた。観光リフトにみんなで乗った。二人乗りのリフトに、長女と末娘が並んで乗った。妻と私が並んで座った。下る時には弓ヶ浜半島が見えていた。あの時の、みんなの笑顔が懐かしい。

  • どうだろう 2023年09月17日

     1歳半の孫が母の膝の上で手を振ってくれた。じゃあ行ってくるからね。5時過ぎには帰って来るよ。1年ぶりに、今家庭らしきものを味わっている。妻によく似た長女。背格好も、顔だちも、気の強さだって何もかも良く似ている。そして妻の生まれ変わりの孫がいる。そして、明後日には東京で暮らす末娘が帰って来る。一泊だけだけれど。

     

     先ほど、午前中に予約のあった来客の対応が終わった。後はお昼過ぎの予約で今日の予定は終わる。向かいの、パソコンデスクの妻はどう思っているのだろうか。もしいたのだとしたら、今日は日曜日だし、早仕舞いにしようよって言うのだろうか。早く帰って孫と一緒に暮らそうよって、そう言うのだろうか。

  • 季節外れのツツジの花、どこか私に似てるよう 2023年09月16日

     朝から娘は孫を連れて友達と出かけて行った。北京という、異国の街で暮らす娘と孫。ある意味、娘は友達もいない閉ざされた空間で1年間も暮らしてきた。そして今、一時帰国で帰ってきている。積もる話も山ほどあるだろう。今日一日、友達と楽しんできてほしい。いっぱい、いっぱい楽しんできてほしい。

     

     孫殿である。我が家のリビングで、自由奔放に楽しみ暮らしている。あっちへ行っては小物入れをひっくり返し。こっちではおもちゃの積み木を投げつけている。顔を近づけると、ニコッと笑ってくれる。抱っここそ拒むものを、この3日間でずいぶんと懐いてくれた。1年前の記憶があるのやらないのやら。 

     

     今晩は何食べたいって娘に言ったら、遠慮がちに何でもいいよって答えてくれた。じゃあ、私が腕によりをかけて、と言ってもかけるほどの弾力のある腕じゃない。が、その腕によりをかけて男料理を作ってみよう。娘が子供の頃私がキャンプ場で作った、あの簡単豪快な男料理を。

     

    ツツジ

     

     写真は先日熊野大社で撮ったものだ。松の木の木陰に佇むツツジの木に季節外れの花が一輪だけひっそりと咲いていた。どこか懐かしい気持ちがして、地面にしゃがみ込んでスマホで写してみた。花びらの一部に傷つけた、その姿がどこか私に似ているよう、そんな気がして写してみた。

  • 世界一の思い出 2023年09月14日

     数日前から飲酒を極少量に抑えた。その甲斐あってか、一昨日の妻の墓の草抜きは1時間余りかけて何とか終了した。その後、自宅の浴槽を洗った。半年余りも使用しなかった汚れはひどくこびり付いていた。数種の洗剤を使い、何とか奇麗になった。何回しゃがんで、何回立ち上がったのだろう。昨日の朝はひどい足の筋肉痛で目覚めた。

     

     さあ今日も頑張ろう。隅々までとはいかないものを、よく頑張った。この二日間で、子供たちが使う布団も何組か天日干しした。台所もトイレも、それなりにきれいにした。しゃがんでしまえば、立ち上がるのも困難な状態になった。それでも踏ん張った。まだあそこが残っている。午後3時にほぼ片付いた。そして気分転換にと仏壇の妻をちょっとドライブに誘った。

     

     車は走り出した。終わったね。疲れたね。でももう大丈夫、娘たちが帰って来ても、孫が帰って来てももう大丈夫。人間って、我が子のためなら何でもできるんだね。これも、こんなに頑張れるのも、みんななぎさとの思い出のお陰だよ。な、なぎさ。君と俺との思い出は日本一の思い出だよ。いや、世界一の思い出だよ。有難うな、なぎさ。

     

    夕暮れ

     

     車は安来市を通って米子市に入った。そしてしばらくの後、境港市を通ることになる。ここ境港大橋の頂から、テレビで有名になったべた踏み坂を下る。突き当りの交差点の信号が赤に変わった。見上げた雲は、厳しい残暑を物語っているように見えた。それを見上げる両瞼には、それぞれにひと粒の露が浮いていてそれが光って見えた。

  • 強く生きろ 2023年09月09日

     午前中の早いうちに買い物済ませようと車に乗った。なぜかスーパーマーケットを通過して車は熊野大社に向かっていた。息子がまだ子供だった頃、時々一緒にドライブした片道20分のコースだ。土曜日とあっていつもより参拝の人数が多い。県外ナンバーの車も数台駐車場に停まっていた。

     

    イチョウ

     

     赤い鳥居をくぐった。御手洗の前でおやっと思った。何の葉だろう。イチョウっぽいけど。・・・直径1メートルもあるだろうか、イチョウの木の切り株から数本の小枝が立ち上がっていた。感動した。これが生命力なんだ。そう思った。そして、いろいろあったなと人生を振り返った。辛いことばかりだった気がした。だけど強く生きていかなくちゃあな。そうこのイチョウの木が言っている気がした。俺を見ろよ、と。

  • 孫との再会 2023年09月07日

     秋の、風を感じて目が覚めた。「私は秋に登っていく」そんな歌の歌詞が浮かんできた。出勤のカーラジオでも、あちらでもこちらでも秋を感じた朝だったと報じていた。やっと秋になったんだ。事務所の窓を開けた。午前中しばらくはこの秋風を感じて仕事しよう。

     

     昨夕、1歳半の孫に会った。一年ぶりの再会である。生後6ヶ月で別れてからちょうど一年。私を覚えてくれているだろうか、その不安を持って駅前のホテルで再会した。名を呼んだら、恥ずかしそうな顔をした。手を差し伸べたらいやだよって背中を向けた。

     

     街を少し歩いてから、食事処に行こうなと孫は母の胸に抱かれていた。だが、不思議そうな顔をしだした。いつか、どこかで見た顔だよな。そんな顔をして私を見返していた。手のひらタッチの手をさしてきたりもした。そうか、やっと思い出してくれたんだ。

     

     駅前のホテルから駅通りを歩いて伊勢宮通りを歩いた。ここが夜の繁華街だ。新大橋を渡った。東本町を歩きながら、ここに新聞社があったんだよ。高校生の時、俺はここで働いていたんだよ。カメラマンの仕事して。娘にも話したことがないまだ少年だろうか、その頃を話した。松江大橋は風が通って気持ち良かった。予約の、橋のたもとのおでん屋さんが見えてきた。

     

     当店の、大ジョッキはかなり大きいですよって若い女性店員さんが気を使ってくれる。大丈夫だよ、飲めるからと持ってきてもらった。婿殿と、娘と孫と四人での食事、ビールの味が格別だ。ふと、座布団が一枚空いているのに気が付いた。そして、妻がいて5人で囲むテーブルの様子が瞼に浮かんだ。

  • 仲間 2023年09月02日

     以前、入院中の息子に会うのが辛いと、そうこの店主日記に書いた。実に辛いのである。重度の知的障害をともなう自閉症で、会話ができない息子が私の目を見てそう訴えている、そう思えてならないのだ。何年入院させるんだよって。その顔を見る度に辛さは増していく。

     

     毎朝の日課の妻の墓参を終えて駐車場に帰って車に乗った。リュックの中のスマホがピポンと鳴った。ラインが届いた合図だ。とりあえず出勤して開業準備を整えてからラインを開いた。昨夜、聞きたいことがあって、ラインを送っておいた県外のただ一度しか会ったことのない日本自閉症協会の仲間からだ。顔もはっきりとは覚えていないけど、仲間って心安らぐ存在なんだとそう思う。

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