店主日記

  • 一緒に、テント張って食事作ったんだ 2020年11月30日

     長女が学生の頃、妻が選んで掛けた長女の生命保険がある。長女が結婚した後、掛け金の支払義務はもちろん、名義もすべて渡した。昨夜、その長女から電話があった。他業者から、良い提案があった。解約してもいいか、って。答えはもちろん、いいようにしなさい。

     

     先日、二人目を妊娠しているある業者の担当者の来店があった。いろいろな話の中、子供たちのこと、心配していないかって聞く。いや、ちっとも心配なんかしていない。しっかりと育ててきたから。と、そう答えた。私は、子供たちが小さい頃から子供たちを信じてきた。子供たちの行動を信じてきた。私は、信じることが一番いい教育だと思っている。と、そう答えた。

     

     お父さんは、私のことなんかどうでもいいんだねって時には思った。結婚式の手紙で長女はそう言った。でも、信じてくれていたんだね。とも言った。指図されたって、人は育ちはしない。子供たちには自由に育ってほしい。伸び伸びと育ってほしい。・・・そんな考えもあるんだよって、担当者に知ってほしかった。だから、いっぱいいっぱいキャンプ連れて行ったんだよ。一緒に、テント張って食事作ったんだよ。そしていっぱいいっぱい遊んだんだよ。

  • エゴマの効用 2020年11月27日

     気になることがあったので、早くに目が覚めて、二度寝が出来なくて、暗いうちに出勤してきた。そして気になる仕事を終えて今ほっとしている。写真は、事務所から見る日の出の風景だ。

    朝日

     

     先日ミニ同窓会の日記を書いた。参加者の一人は、松江市に住みながら、出身地の奥出雲町でエゴマの栽培をしている。それを油にして小瓶に入れて同窓会の面々にお土産として配った。

     

     会場での彼との話である。私「乾燥で、指先までひび割れて痛いからこの頃ボウリングにも行っていない」 彼「どれどれ、」と私の指先を見る。そして指先を触れ合ってみた。なんと彼は、子供の肌のように潤いがある。彼「エゴマの効用だよ」

     

     あくる日、ティースプーン一杯を食してみた。そのまたあくる日のスパーのレジである。財布から千円札が難なく引っ張り出せた。え、と驚く。あんなに苦労した支払いなのに。たったいち日で指先に僅かな潤いが。ほんとにすごい。ヤマさん、有難うな。(注 効用には個人差があるかもよ)

  • プラトン 訳 2020年11月26日

     いつもの花屋さんとお墓には行ったけれど、いち日中家にいて断捨離の実行をした。今日からは妻が化粧室として使っていた部屋の押し入れだ。ずいぶんと多くの箱の中に多くのものが収めてある。ひとつひとつ確認しながらの作業である。中に、マジックインクで書かれた「プラトン 訳」の箱があった。妻は、大学でギリシャ哲学を学んでいたのである。

     

     数十冊のノートに、妻の字がぎっしりと埋まっている。晩年の、流れるような崩し字は見つからない。青年らしい、だけどまだあどけなささえ感じてしまう硬い角ばった字が並んでいる。背伸びして、それでも懸命に主張しようとしている字が並んでる。その、ひとつひとつの字の所々に晩年の妻の崩し字の原型を見た。これは、本棚の哲学書の横に並べておこう。

  • 言わなきゃいいのに 2020年11月23日

    ピンク 現地集合でアパート案内をした昨日の朝、お客様を待つ間に駐車場の片隅に咲く花を発見。樹木に咲く花なので名前は知らないが、季節に似合わぬピンクの色が怪しげでもある。スマホでこっそり写してみた。

     

     午後、予定通り尾道の娘が事務所に着いた。カフェ・シェル・ブルーさんで松江ならではのメニュー、カツライスをいただいた。カツライス、初めて食べる娘はその美味しさにびっくり。そう言えば、妻も食べたことなかったっけ。その後、お墓に行って出雲の息子に会って帰ってきた。混雑する国道9号線の車の中でよく話した。もちろん夜もよく話した。

     

     そして今朝事務所前から娘は自分の車で帰って行った。会って話している時は楽しい。別れてしまうと当たり前だがまたひとり。ひとりになると急に寂しくなる。楽しさと寂しさのギャップは私にとって大きすぎる心の重石。じゃあ、帰って来いなんて言わなきゃいいのに。

  • ミニ同窓会 2020年11月21日

     昨夜、日本料理「いと賀」で久し振りに松江で暮らす小中校の3人の同級生に会った。そして先生、いと賀の店主、合計6人がミニ同窓会のメンバーである。いつもいつも、楽しい昔話に花が咲く。コロナ禍でできなかった久し振りの同窓会である。てな訳で今年初めて繁華街に出た。

     

     みんなは同窓会が終ったらまっ直ぐに家に帰って行った。代行運転の車で帰るやつ。タクシーで帰るやつ。奥さんに迎えに来てもらうやつ。道でそれぞれの時間にみんなを送っておいて、ひとり行きつけのスナックに行った。そこは「ユー &モア」 苗字も、生まれ故郷も、年恰好も似たママさんがいる。何十年、ここに通っただろう、心安らぐ。当然、常にボトルのキープがある。

  • 昨日の午後の出来事 2020年11月19日

     午前中、出雲市の息子に会いに行った。帰ってから断捨離の実行である。箪笥をのぞく。平成の若い年順に菓子箱がたくさんある。何だろう。使用説明書、保証書、領収書、保険証、そして家計簿ノートなどが年代別に収めてある。よく几帳面に保管していたものだ。でも、今となっては私には不用品ばかり。

     

     それらの箱を解体し、資源ごみとして出せるように紐で縛る。不慣れな作業なので骨が折れる。途中買い物に行った。知り合いの女性にマーケットで出会った。彼女、夫を病気で失って3ヶ月。友達が励ましてくれる。でも寂しい。そう言っていた。でもね、これからだよ、本当の悲しみが訪れるのは。と心に思いつつ再会を約して別れた。寂しい気持ちを聞いてあげたいと思う。昨日の午後の出来事である。

  • 娘にも 2020年11月16日

     今日は良く働いた。西へ東へ南へ北へとよく走り回った。疲れたけど、でも現場を見る楽しさがあった。ここの土地に係って、ここがどう変わっていくのだろう。好んでこの仕事を選んだわけじゃないのに、消去法で選んでしまった仕事なのに、ロマンを感じてしまう私がいる。

     

     午後のティータイム。インスタントコーヒーを飲みながらYuoTyubeを見る。昨日の店主日記、「秋桜」のその曲が聞きたい。何度聞いても心が動く。母の気持ちにさせてやりたかったと書いた昨日の店主日記。娘にも、歌う嫁ぐ娘の気持ちにさせてやりたかった。今、そう思った。

  • 秋桜 2020年11月15日

    秋桜 

     事務所前の鉢植えのアマリリスに朝日が当たる。なめらかな緑の葉がそれを反射して眩しい。そよとも吹かない風。寒かった日曜日の朝、太陽が顔を出した途端にそのエネルギーが優しく肌に伝わってくる。なんて穏やかな。こんな様を小春日和と言うのだろうか。

     

     山口百恵が歌った「秋桜」。こんな日和の日は思い出す。記憶のある部分だけ口ずさんでみる。百恵の美しい声、語りかけるような歌い方。はるか私の記憶から遠ざかっていた秋桜。この曲の、寂し気な母の気持ちを一度は味わわせてやりたかった。そう思う三度目の秋である。

  • 2連休 2020年11月11日

     出雲市の息子に会った帰り、国道9号線を走る。この国道、宍道町からはほとんど宍道湖と接している。晴れた日は風景がよく見える。数年前まで見なかった水草が湖面にいっぱい。それを縫うように、数種類のカモたちが泳いでいる。カモたちの飛来はいつもと変りないけれど、こんな風景までにも無常を感じてしまう私なのである。

    舌震

      

     昨日から2連休、先祖の墓参を兼ねて紅葉を愛でに鬼の舌震に行った。駐車場の車がなんと多いこと。テレビ局のカメラまでやって来た。散策の1時間を晴れてくれたので天に感謝。でも子供の頃、水泳パンツで飛び込んだあのつり橋の跡形もないのは寂しいな。

     

     夜はおでんにしよう。3時過ぎから大根の皮をむく。卵をゆでる。生の牛筋肉も買ってきた。3時半、鍋に点火。シャワーを浴び、テレビをつけた。お、鬼の舌震が映っている。そうなのか、「鬼滅の刃」なのか。そう言えば、鬼の何とかって言う岩があったよな。そして3時間煮込んだおでんのダイコンをほおばる。煮立たぬよう煮込んだはんぺんがやわらかくて旨い。・・・思い出した。鬼の試刀岩だった。

  • 温風が吹いた 2020年11月09日

     長女夫婦は二人とも働いているので一緒に会えるのは土日だけ。幸いなことに昨日は仕事の予定がなかったので会うことにした。事務所に明かりを灯し、外出中の看板を出し、電話を転送に切り替えて出発した。婿殿の電子レンジなどの電気用品を車に積み込んで。娘がひとり暮らしで使っていたものだ。そう、もうすぐ婿殿は単身赴任。

     

     かあちゃん迎えに来たよって墓石に言う。一緒に行こうなって墓石に言う。娘に会えるから楽しいなって墓石に言う。日曜日とあって車の流れは遅い。3時間後、尾道に着いた。昼はノンアルコールビールで乾杯、たこ焼きパーティーだ。やっぱり家族っていいな。

     

     今朝、いつものように事務所前の掃き掃除をしていた。「幸せそうな人々達と岬を回る、ひとりで僕は」って歌詞が浮かんでくる。その意味が心にしみる。通学中の女子高生が、お早うの挨拶をくれた。突然、隙間風の心に温風が吹く。

  • 結婚指輪 2020年11月07日

     亡くなった元近畿財務局職員の赤木俊夫さんの奥さん、雅子さんが映像に映る時、いつも左手の薬指の指輪が気になっていた。あるインタビューでアナウンサーが聞く。結婚指輪のことを。「これ主人のです。こうして触ると、主人が力をくれそうで」・・・雅子さん、がんばれ!

     

     妻が外したことのない結婚指輪。晩年は太り気味だった妻。「外せませんけどどうします?」って看護師さんが聞く。そのままにしておいてください、と私。「ずうっとしていたいんだよな。ずうっと身に付けていたいんだよな。俺も、その時は天国まで持って行く。そして、また一緒に暮らそうな」

  • 鍋料理が恋しい季節に 2020年11月05日

     今朝、出勤したら駐車場が落ち葉だらけ。松葉なので掃きにくい。掃除に1時間ほど要した。だが不思議なことに腰が痛くならない。そうか、毎日繰り返すスクワット運動の効果かな。・・・この頃お尻が少しふっくらとして、ジーパン姿の見栄えが良い。

     

     昨日は冷たい風で寒かった。そんな日は鍋料理が良く似合う。しかも、これが男のひとり暮らしにはとっても便利。肉魚はたっぷりと使う。二日目、野菜を足して再び鍋料理。三日目、うどんを入れれば別料理。四日目、ご飯を入れてこってり味雑炊。四日間、夕食作りは栄養たっぷり手間いらず。だが思う。器用貧乏とはよく言ったもの。

  • 気になってしまう 2020年11月02日

     来客があるだろうと、昨夕はシャワーもせずに待っていた。集められた自治会費が届くだろうと待っていた。私は自治会の会計役なのである。待つだけでは時間がもったいないので、押し入れの片づけをしながら待った。その押入れの中にふたつの段ボール箱を発見した。重たい、何だろう。

     

     中に十数冊のアルバムが。開いてみた。長男の誕生から長女の誕生、そして末っ子の誕生、それらが年代順に整理してあった。ほとんどは私が写したものだろう。それにしても几帳面すぎるぐらい整えられている。嬉しかった。妻の、子供たちに対する愛情が嬉しかった。子供たちも、この存在を知らないのかもしれない。喜ぶだろうな。

     

     今朝は10分早かったけれど、事務所前を毎朝決まった時間に出勤していく若い女性がいる。ちょっとすましたあの仕草。気丈夫そうなあの顔かたち。小柄だが、ちょっぴり生意気な私の末っ子に雰囲気がよく似てる。娘も、ああして毎朝東京の街を駅から歩くのだろうか。・・・可愛らしいあの娘、時々見ない日は気になってしまう。

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