店主日記

  • 勝山の想い出 2023年10月12日

     こがね色だね。・・・稲穂が、朝日に輝いていた。そして黄金に光って見えた。だから私はこがね色だねと囁いた。妻は黙っていた。でも、それを否定する気持ちはなかったようだ。うなずいているようにも見えた。昨日は皆刈り取られて稲穂はなかった。だが、国道181号線を勝山に向かって走っている時、そんな7年ほど前の記憶が昨日のことのように思えた。

     

     何かと、もの想う秋。誰しもセンチメンタルになってしまうのかもしれない。だが、心に悲しみという傷跡を残している者ほど、センチメンタルな深みにはまり込んでしまうのかもしれない。そんな時には、無理にはしゃいだりはしない。むしろ、悲しみという思い出の中にどっぷりと沈み込んだ方が、より心は、落ち着いていく。5年半の年月が、それを実行する私に育ててくれた。

     

    勝山町

     

     もう、ずいぶんも前に何度かやって来たことのある岡山県真庭市勝山町。しばらくご無沙汰していたが10年程前に、妻とぶらりとやって来た。その時、おやっと思った。町のいたる所の民家や、商店の入り口に暖簾を見た。以来、その雰囲気が気に入って何度も訪れている。その度に、この町は魅力を増していった。学校帰りだろう、すれ違った高校生が挨拶をくれたりするのも、この町の風情なのかもしれない。

  • 定休日初日 2023年10月10日

     朝食が終わって、その食器を台所で洗っていたら涙がにじんできた。その涙は嗚咽を誘った。・・・時々、私にはこんな気持ちの朝が訪れる。どんなに強く、人から愛される妻だったのだろう。その妻のおかげで、こんな私にも人を愛する力が芽生えてきた。いっぱいの想い出、有難うな。感謝している。

     

     今日はロングドライブするつもりだった。だが昨日の夕方、あることを思い出して今朝は出勤してきた。だから、ロングドライブの楽しみは来月か再来月に取っておこうということになった。10時に仕事が片付いたので安来市の清水寺に向かって走り出した。

     

     駐車場に着くと、濡れた舗装が太陽の光に温められて水蒸気になっていた。それが景色を霞ませて神秘的な感じがした。如何にも神聖な場所だなと思った。清水寺は閑散としていた。年配の夫婦だろう二人連れがいた。親子だろう、年配の女性とその娘さんらしい人がいた。この人も年配だが、一人旅のハイカラ(古語になったか)な美人女性がいた。

     

    宍道湖

     

     ステレオのボリュウームいっぱいにして妻との思い出のフォークソングを聴いた。比田を通って亀嵩、三成、木次、宍道を通って帰ってきた。途中の道の駅、「酒蔵奥出雲交流館」でアルコール分10度の「doburokuD269」を買った。今晩は旨いつまみ作ってこれで一杯やろう。

  • ロングドライブ 2023年10月09日

    ツユクサ 5月の連休前に、自家用車の後輪のショッカーに異音がするようになった。だから5月の連休はおとなしくしていた。以降、気分も乗らないので定休日も比較的静かな生活を送っていた。そして、地面をも焦がしてしまうような酷暑の夏がやって来た。しばらくの後、秋がそこに見えてきたと思ったら娘が一時帰国で孫を連れて帰ってきた。合わせて末娘も帰ってきた。娘達や孫の顔を見るのは嬉しかった。その喜びもつかの間、またひとりっきりの生活が帰ってきた。明日は月一度の連休の初日。秋の日の爽やかな空気の中を、思いっきり車で走ろうと思う。超ロングドライブを楽しもうと思っている。

     

     事務所裏の小さな草むらの中にツユクサが咲いていた。植物図鑑で確かめたら、花期は初夏から9月までとあった。じゃあツユクサ君。君はこれからしばらくは冬眠だね。俺はまだまだ頑張るよ。年内に片付けたい大仕事もあるからな。また来年会おうな。

  • 納豆チャーハン 2023年10月08日

     一昨日、いつものコンビニにおにぎりを買いに行った。いつもの店員さんがレジが終わった時に行った。お孫ちゃんまだいるのって。昨日、いつもの花屋さんに行った。レジが終わった時にこれはまだ独身の女性店員さんが言った。坊ちゃんはもう帰って行ったのって。同じように答えた。そう、寂しくなっちゃった。

     

     夕方が近づくと、毎日悩むことがある。今晩は何食べようかと。コンビニ弁当ばかりだと、野菜摂取が不足するし。だけど、調理するのもめんどくさいし。ご飯はあったし卵もあった。久し振りにチャーハンでも作ってみようか。チャーハン、久し振りだな。

    チャーハン

     

     冷蔵庫の野菜室に、しおれかけた長ネギを一本発見。お、これでネギチャーハンを作ってみよう。にんにくのみじん切りも加えて、半分出来上がったところで思い出した。もう食べてしまわなきゃいけない賞味期限切れの納豆が一パックあったことを。

     

     ねばつく納豆を半出来のチャーハンにぶち込んだ。そしてよく炒めた。仕上がりに、フライパンの淵に回しかける香り出しの醤油を少し多めに入れた。さあ出来上がり。お、いける。チャーハンのパラパラ感と、納豆の粘り感のバランスがばっちりだ。

  • やまさんの写真展 2023年10月02日

     頬ずりした墓石が夜露に濡れていた。あたりの叢はそれぞれの葉が夜露の粒に空の光を弾いて光っていた。朝8時過ぎの妻の墓所は陽だまりになっていた。しゃがんで妻に話しかけた時、背中に当たる陽の光の暖かさが気持ち良かった。今日はそんな爽やかな朝を迎えた。

     

     三沢の町に一つの神社がある。秋の例祭には相撲大会が行われていた。仁多町は昔から相撲が盛んな地なのである。その日、男の子全員がまわしを締め、小さな力士になって学校から神社にある土俵に出かけて行った。ある年、私の対戦相手はこの写真の主、山さんだった。半分自信があったが、いざ取り組んだら軽々と腰に乗っけられて背中から土俵にたたきつけられた。こんなに豪快に勝負がついたのは、私にもそれなりの強さがあったからだと自分を慰めた。悔しい思い出だ。

     

    山さん1

     

     先日の同窓会に集まった仲間、それぞれにある種の病を友にしている。この年齢になれば当たり前のことだ。その山さんが言った。俺もお前の仲間入りしたよって。だから、これで、病院に行かないだけだがと、元気げにするひとりを除いてみんな病と友達になった訳だ。

     

    山さん2

     

     病の話が当然に話題となる。そんな時、病、と言うより年齢には勝てないなと思っている先生が言った。とよみつ君は長生きするよ、と。自分でも本当のところは分からないが、長生きしたいと思う私もいる。だが、生きるより早く妻の所に行きたいなと、そう思う私もいる。だけど、先生の言葉は嬉しかった。全国の49の蜂の仲間へ、そして天国に行った仲間へ。また近況報告するな。

     

     写真は、山さんの三沢の生家で山さんが中秋の名月を撮ったもの。

     

     今日は3日。昨夕、山さんからのメールを見た。あの神社相撲、あれは俺の勇み足だったからお前の勝ちだよ。行事が見ていなかっただけだと。だけど、それにしても、あれは技で負けたんだ。相撲に負けたんだ。私の惨敗だったことには間違いない。やはり悔しい。勉学に負けるのは悔しくないが、スポーツに負けるのは悔しい私なのである。

最近の記事

カテゴリ

ページトップ