店主日記

  • 世界一の思い出 2023年09月14日

     数日前から飲酒を極少量に抑えた。その甲斐あってか、一昨日の妻の墓の草抜きは1時間余りかけて何とか終了した。その後、自宅の浴槽を洗った。半年余りも使用しなかった汚れはひどくこびり付いていた。数種の洗剤を使い、何とか奇麗になった。何回しゃがんで、何回立ち上がったのだろう。昨日の朝はひどい足の筋肉痛で目覚めた。

     

     さあ今日も頑張ろう。隅々までとはいかないものを、よく頑張った。この二日間で、子供たちが使う布団も何組か天日干しした。台所もトイレも、それなりにきれいにした。しゃがんでしまえば、立ち上がるのも困難な状態になった。それでも踏ん張った。まだあそこが残っている。午後3時にほぼ片付いた。そして気分転換にと仏壇の妻をちょっとドライブに誘った。

     

     車は走り出した。終わったね。疲れたね。でももう大丈夫、娘たちが帰って来ても、孫が帰って来てももう大丈夫。人間って、我が子のためなら何でもできるんだね。これも、こんなに頑張れるのも、みんななぎさとの思い出のお陰だよ。な、なぎさ。君と俺との思い出は日本一の思い出だよ。いや、世界一の思い出だよ。有難うな、なぎさ。

     

    夕暮れ

     

     車は安来市を通って米子市に入った。そしてしばらくの後、境港市を通ることになる。ここ境港大橋の頂から、テレビで有名になったべた踏み坂を下る。突き当りの交差点の信号が赤に変わった。見上げた雲は、厳しい残暑を物語っているように見えた。それを見上げる両瞼には、それぞれにひと粒の露が浮いていてそれが光って見えた。

  • 強く生きろ 2023年09月09日

     午前中の早いうちに買い物済ませようと車に乗った。なぜかスーパーマーケットを通過して車は熊野大社に向かっていた。息子がまだ子供だった頃、時々一緒にドライブした片道20分のコースだ。土曜日とあっていつもより参拝の人数が多い。県外ナンバーの車も数台駐車場に停まっていた。

     

    イチョウ

     

     赤い鳥居をくぐった。御手洗の前でおやっと思った。何の葉だろう。イチョウっぽいけど。・・・直径1メートルもあるだろうか、イチョウの木の切り株から数本の小枝が立ち上がっていた。感動した。これが生命力なんだ。そう思った。そして、いろいろあったなと人生を振り返った。辛いことばかりだった気がした。だけど強く生きていかなくちゃあな。そうこのイチョウの木が言っている気がした。俺を見ろよ、と。

  • 孫との再会 2023年09月07日

     秋の、風を感じて目が覚めた。「私は秋に登っていく」そんな歌の歌詞が浮かんできた。出勤のカーラジオでも、あちらでもこちらでも秋を感じた朝だったと報じていた。やっと秋になったんだ。事務所の窓を開けた。午前中しばらくはこの秋風を感じて仕事しよう。

     

     昨夕、1歳半の孫に会った。一年ぶりの再会である。生後6ヶ月で別れてからちょうど一年。私を覚えてくれているだろうか、その不安を持って駅前のホテルで再会した。名を呼んだら、恥ずかしそうな顔をした。手を差し伸べたらいやだよって背中を向けた。

     

     街を少し歩いてから、食事処に行こうなと孫は母の胸に抱かれていた。だが、不思議そうな顔をしだした。いつか、どこかで見た顔だよな。そんな顔をして私を見返していた。手のひらタッチの手をさしてきたりもした。そうか、やっと思い出してくれたんだ。

     

     駅前のホテルから駅通りを歩いて伊勢宮通りを歩いた。ここが夜の繁華街だ。新大橋を渡った。東本町を歩きながら、ここに新聞社があったんだよ。高校生の時、俺はここで働いていたんだよ。カメラマンの仕事して。娘にも話したことがないまだ少年だろうか、その頃を話した。松江大橋は風が通って気持ち良かった。予約の、橋のたもとのおでん屋さんが見えてきた。

     

     当店の、大ジョッキはかなり大きいですよって若い女性店員さんが気を使ってくれる。大丈夫だよ、飲めるからと持ってきてもらった。婿殿と、娘と孫と四人での食事、ビールの味が格別だ。ふと、座布団が一枚空いているのに気が付いた。そして、妻がいて5人で囲むテーブルの様子が瞼に浮かんだ。

  • 仲間 2023年09月02日

     以前、入院中の息子に会うのが辛いと、そうこの店主日記に書いた。実に辛いのである。重度の知的障害をともなう自閉症で、会話ができない息子が私の目を見てそう訴えている、そう思えてならないのだ。何年入院させるんだよって。その顔を見る度に辛さは増していく。

     

     毎朝の日課の妻の墓参を終えて駐車場に帰って車に乗った。リュックの中のスマホがピポンと鳴った。ラインが届いた合図だ。とりあえず出勤して開業準備を整えてからラインを開いた。昨夜、聞きたいことがあって、ラインを送っておいた県外のただ一度しか会ったことのない日本自閉症協会の仲間からだ。顔もはっきりとは覚えていないけど、仲間って心安らぐ存在なんだとそう思う。

  • 思い出の木漏れ陽ロード 2023年08月31日

     昨日の定休日、出雲市の息子と面会した。思うところはたくさんあるけど、元気な姿を見れて安心。この息子のことは、私の一生の悩み。どうか、良い人生を送ってほしいと願うばかり。幸せに生きてほしいと願うばかりだ。

    ススキ

     

     その後、三瓶山に行った。北の原から西の原に向かう道、この道を「木漏れ陽ロード」と名付けている。妻と、私だけに分かる名称だ。眩しいほどの太陽が輝く時、車のフロントガラスに木漏れ陽が降りそそぐ。この道って、木漏れ陽ロードだねって、先日のある日、妻とふたりで名付けた。

     

     西の原に着いた。自動販売機で買った無糖の缶コーヒーを飲みながら玉子サンドをかじる。これは昨日の夜、今日の昼のためにこしらえた私の手作りだ。塩味加減がちょうど良い。天才だなって自ら思う。草原には、気の早いススキが穂を出していた。

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