店主日記

  • 小さな私の友 2025年07月12日

     昨夕、シャワーを終えて缶ビールを飲んでいたら玄関の呼び鈴が鳴った。だれだろうとドアスコープを覗いたら小さな子供。え、どうして子供が。不思議な気がした。裸だった体にシャツを着てとりあえずドアを開けた。え、どうした。私の友がビニール袋を手にして立っていた。

     

     以前1回書いたことがある。妻の一周忌の法要が終わったその日の夕方、自治会の新役員の集まりがあった。始めて見る若いお母さんが赤ちゃんを抱っこして私の隣に座った。幾つって聞いたら5ヶ月だと答えた。来るはずもないだろうと思いながらも手を差し伸べてみた。そしたらやって来た。私に抱っこされるためにやって来た。妻のいない寂しい心に火が灯った気がした。

     

     以来、通勤の駐車場で朝たまに出会う。その度に、手のひらタッチを繰り返してきた。彼と私は良き友になった。私にとってたった一人の男の友なのである。その子が昨夜差し入れだと言って大きなトウモロコシを1本持ってきてくれた。嬉しかった。そして、握手をして別れた。私も農家育ち、慣れたもの、1本丸ごと焼いて今晩食べよう。そう、素焼きが美味しい。トウモロコシのストレートな甘さが美味しい。

  • 一生現役 2025年07月11日

     昨夜、焼酎のお湯割りを飲みながら、先日の同窓会を思い出していた。ふつ日目の午前中の奥出雲観光中の車の中だ。そう言えば、このメンバーの中で、ひとりになったのは豊さんだけだねと誰かが言った。その言葉は、私の胸に刺さった。もちろん、彼は悪気で言った訳ではない。寂しいと愚痴った私に対する励ましだろう。だから、それが事実だから、それを踏まえて生きていかなくちゃあねという励ましだろうと感じた。

     

    宍道湖 一休さんが頭に円を書くのと、私がドライブするのは同じ理由のルーティンなような気がする。今朝、開業準備を終えて車に乗った。いつも胸ポケットに入れている妻の小さな遺影をダッシュボードのテレビ画面に置いた。宍道湖大橋を渡って湖北線に乗った。宍道湖は、昨日までの暑さが嘘のように空の雲の色を映し、霞んで見えた。

     

     CDをBGMに妻との出会いの日から今日までを、時の経過を元にその記憶を巡っていった。不思議な出会いだった。いろいろあった。よく喧嘩もした。でも仲良かった。インドアな妻をアウトドア派にしたのは私だな、などと思ったりもした。ついに妻は、7年前に息を引き取っていった。そして間もなく、私の記憶は現在にたどり着いた。風景は出雲空港あたりに変わっていた。

     

     そうだよ、お前にはもう二度と家庭生活などないんだよ。たまには娘が孫を連れて帰ってくるかもしれない。だけど、家庭生活は二度と巡って来ないんだよ。だからいつまでも歩けて、どんなに歳とっても考える力失わないで、働き続けるんだよ。一生懸命働くんだよ。それを生き甲斐として生きていくんだよ、女房の思い出と共に。な、お前。ともう一人の私が言った。

  • ニイニイゼミの初音 2025年07月10日

     先ほど(今、午後3時)、ある管理店舗の管理報告書を近所のコンビニの郵便ポストに投函して来た。雲もあって陽射しは柔らかだが、蒸し暑い。歩くその速さも鈍る。暑いなあと心で愚痴りつつ、ある異音に気が付いた。あ、ニイニイゼミだ。一匹のニイニイゼミが、街路樹のけやきの木の中で鳴いていた。

  • カメラを持つと元気が出る 2025年07月10日

    コーポ上乃木 7日8日と同窓会だった。昨日の定休日は朝から午後1時半まで仕事をして、その後出雲市の息子を見舞った。帰りの国道は大雨で混んでいた。スロースピードの車の数珠になっていた。やっと4時過ぎにいつものスーパーマーケットに着いた。そしていつものレジに並んだ。同窓会飲み過ぎたよって言ったら、楽しかった?って帰ってきた。うん、楽しかったよ。じゃあ良かったね、でもしばらくはお酒、ほどほどにね。などと私の子供のような年齢の女性が労わってくれる。浮かない心の私にとって、1週間に1度の心の栄養ドリンクでもある。

     

     それにしても、ずいぶん遊んだなあと思う。昨夜はお酒もほどほどに眠った。暑かったから一晩中、エアコンの中で寝た。疲れを感じると、体中が痒くなる。老人性何とかという年寄り独特のものだろう、今朝起きてやはり、疲れたなあと感じた。気怠いなあと思った。でも、負けるもんかと朝一番で空き物件の写真撮影に行った。カメラを持つと、元気が出る私なのである。

  • 同窓会 2025年07月09日

     7日の午後、奥出雲町の玉峯山荘に集った。参加者は49人の同級生のうちの21名。そして米寿の祝いになる当時の担任だった先生ひとり。合計22人の参加だ。夜の宴会が始まる前、先に逝ってしまった9人に対して黙祷をした。そうだよ、もう9人が逝ってしまったんだよ。

     

    東の原 宴会、カラオケ、そして誰かのグループの部屋に持ち込む酒盛り、わいわいがやがやと、7年振りに会う友と語り合う嬉しさ。飲んだ。飲んだ。飲み過ぎるほど飲んだ。楽しかった。そして夜が明けて奥出雲町観光を終え、お昼の出雲そばを食べて別れた。楽しかったな、また会えるかどうか分からないけど、また会おうなと言って別れた。

     

     自家用車でひとり三成駅に併設された道の駅を後にした。楽しかったな、でも、今晩はまたひとり、そう思うと急に寂しくなった。妻がいれば楽しかったよと、報告できるのに。そう思ったら寂しさに落ち込むそのスピードは加速していった。運転する瞳に涙がにじんで風景がかすんだ。なぎさ、会いたいよって泣き叫んだ。何度も何度も泣き叫んだ。

     

     写真は本文とは何の関係もない。三瓶山の東の原だ。石見ワイナリーがある。ほんの時々、ここで上等なワインを買う。・・・聞けば、伴侶を失ったのは、私ひとりだった。みんな、いつまでも仲睦まじく暮らしてほしい。

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