店主日記

  • 2023年06月15日

     「亡き妻思い涙のお好み焼き」。山陰中央新報の読者欄「こだま」に、先々月掲載された私の投稿だ。40代の前半から始めた私の投稿、今まで何十回掲載されたのだろう。その中の最高傑作が、そしてよどみなく、完璧に私の気持ちを伝えられた投稿文が、この涙のお好み焼きなんだと思った。

     

     掲載の後、夕食が終わってリビングのソファーでくつろぐ時、幾度かこれを読み返してみている。その度に、実によく書かれていると思った。だからかもしれない。読み終わると、涙が両方の頬を伝って落ちていく。子供の頃、喧嘩に負けて流した涙は辛かったのに、この涙は甘い香りがする。

     

     そして、見るでもなくぼんやりとテレビを眺めていた。どうしてだろう、いつまで経ってもテレビの画面がぼやけている。今日はどうしたことなんだろう。いつまでもいつまでも頬をつたって涙がこぼれていく。もう、泣くほどの悲しみは去っていったのに。その悲しみは思い出に変わったのに今日はどうしたことなんだろう。

  • ロングドライブ 2023年06月14日

     朝の8時過ぎ、駐車場前で保育所経由で仕事に向かう近所のお母さんに出会った。やあお早う。4歳の子供さんと手の平タッチ。会えばいつものこと。長距離ドライブしてくるって話したら「行き先は?」。答えは宛なし。気を付けて行ってらっしゃいと見送りの声。

     

     大庭町の公園墓地から宍道湖に沿って走る国道9号線に出た。ETCカードを念のために差し込む。だが、一般道ばかりで鳥取を目指す。後は鳥取に着いてから考えよう。左手に見慣れた日本海。スピーカーから流れる「岬めぐり」。何回も何回も繰り返し聴く。

     

    道の駅から

     

     鳥取市街地は素通りした。国道29号線を若桜町に向かう。道の駅「若桜」の駐車場でしばし考えて道順を決定。戸倉峠を越えて兵庫県に入り、山崎インターから中国道を西に。岡山県の落合ジャンクションから米子道を経て山陰道で帰ってきた。全走行距離380キロ。

     

     さすがに疲れた。特に高速道に入ってから走りっぱなし。途中、トイレ休憩1回だけ。夕食はコンビニで牛丼を買った。野菜補給にキャベツとニンジンとタマネギのスライス。レタスをちぎってトマト二切れ。今朝は連休2日目。早朝に大粒の雨音で目覚めた。良かった。昨日あんなに走れて。

  • あんたあほやなー 2023年06月12日

     一昨日、仕事の合間に家庭、いや、私個人用の食料の買い物をした。冷やすべきものは事務所の冷蔵庫に入れた。そうしたことをすっかり忘れていて、持ち帰ることが出来なかった。家に帰って気が付いて、しまったなあと思った。でも、明日でいいか。

     

     昨日の夕方、事務所の冷蔵庫に入れておいたものを取り出した。いつもの買い物袋に入れて、応接のテーブルの上に置いた。戸締りやらを確認して、車に乗って帰宅の途に就いた。もう少しで自宅。あ、しまった。また忘れた。引き返さねば。「あんたあほやなー」・・・車の中で、笑いながら言う妻の声がはっきりと聞こえた。

  • 手紙 2023年06月11日

     確認したいことがあったので朝一番で安来市の広瀬町に向かった。終わって帰り道、右手に大山が見えた。曇り空だったので山肌は見えなかった。ただその輪郭はくっきりと見えた。これから伸びようとする田んぼの稲の生命力。凛とした民家の赤瓦。そして堂々と大山の雄姿

    大山

     

     松江市に帰った。車は国道9号線近くにある東出雲町の黄泉平坂付近を走った。黄泉平坂とは、日本神話において生者が住む現世と死者が住む他界との境目にある坂を言う。昨年の今頃、ここへ娘を連れて来たことがある。娘はすやすやと眠る孫と車の中にいた。

     

     なんなのっていぶかる娘に説明した。東出雲町の商工会がね、ここへ投函した手紙を天国に届けてくれるそうだ。お父さんも投函してきたの。そうだ、今投函してきた。そして投函した手紙のコピーを娘に見せた。「お父さん、お母さんのことこんなに好きだったんだ」

  • 低気圧がやってきそう 2023年06月08日

     昨日は定休日の通院日。病院の受付が12時半。一日をど真ん中で半分に分けるような、そんな時間だった。仕事には差し支えないのだが計画だ立たない。困ったな。受付前の時間を利用して車で走ることにした。目的地は妻の名の秋鹿なぎさ公園。

     

     天気は良いが風が強かった。宍道湖は波打っていた。Tシャツ一枚になって宍道湖岸に佇んだ。肌を打つ風の強さが心地良かった。前回にも写したが、この風景を見ながら思索にふけるのが私は好きだ。過去のこと、現在のこと、そして未来のこと。

     

    なぎさ公園

     

     今朝心地良い目覚めだった。流しに立って片付けの食器洗う時、妻はいないんだなって思ってしまった。墓参の時、妻に会えたらどんなに嬉しいんだろうと思った。事務所に着いて、妻と一緒に働けたらどんなに楽しいんだろうと思った。どうやら、低気圧がやってきそう。

カテゴリ

ページトップ