店主日記

  • ひとり占め・・なんだ 2021年03月15日

     大相撲が始まった。5時に仕事を終え、5分で帰宅。3分でシャワーを済ます。相撲を所々、取り組み場面を見ながら野菜をきざむ。すりニンニクを作る。ショウガを糸のように細い千切りにする。これが隠し味になる。鶏肉のつみれは出来合いのを買ってきた。これで準備OK。

     

    鍋

     

     缶ビールを飲みながら煮立つのを待つ。至福のひと時だ。やがてふつふつと鍋の表面が小刻みに揺れる。あくが出る時だ。まさにアップしたこの写真の瞬間だ。あくも、うまみ成分のひとつらしいからほどほどに掬い取る。肉も、魚も、野菜もふんだんだから栄養たっぷり。この鍋、直径30センチ。醤油味のこれをひとり占めするこの幸せ。でもな・・・この味妻と一緒に食べたかったな。

  • バイオリズム 2021年03月11日

     人の感情にも浮き沈みがある。昨日の定休日、遅くまで寝ていた。目が覚めて、食パンをかじりながらテレビニュースを見ていた。どんよりとした天気のせいだろうか。空に、灰色の雲が立ち込めているからだろうか。やけに寂しい。無性に寂しく感じてしまう。

     

    コバイモ

     

     耐えきれなくて、カメラを持って飛び出した。車に乗って、エンジンをかけてから目的地が定まった。川本町に行こう。春の妖精、出雲コバイモを撮りに行こう。私は、車の運転をしている時が一番心安らぐ。車内には、山本潤子の歌声がステレオから流れている。エンドレスに。

     

    群衆

     

     今は列車も通わぬ、哀愁を帯びた川本駅の改札口からホームを眺めて佇んだ。閑散とした駅前通りを歩いてみた。3階建てのビルには埃にまみれたスナック看板が掛けられている。再び車をを走らせる。県境を越えた。広島県の千代田インターで降りた。一般道をしばらく走って土師ダムを左手に眺めた。昔、自転車競技でオープン参加した会場がある場所だ。尾道松江線に入った。カーナビが、ドライブレコーダーが警告する。二時間が過ぎましたよって。

  • 人って、いいな 2021年03月07日

     忙しい日は忙しい。とことん忙しくなる。正月と、盆と、祭りが同時に来たように忙しくなる。だが、昼ご飯を食べる時間があったからまだましかな。そして午後4時になったらそれも終わった。残務は、山ほどあるのだが明日に回そう。今日はもうへとへと。

     

     仕事じまいのコーヒーを飲んでいたら、え、またお客さん?って思ったのだが知り合いだった。私よりほんのちょっと年上のご夫婦である。彼らの息子さんは10年ほど前、事故で亡くなった。息子さんと私は仲良くしていた。息子さんは私を慕っていてくれた。だから彼の両親と親しくなれたのだが。・・・今日は晩御飯のおかずをこしらえて持ってきてくれた。息子さんが好きだったハンバーグらしい。有難い。

     

     そう言えば、正月の断捨離の時、押し入れに仕舞っておいた息子さんの写真、彼を懐かしく思い出して見ていた。その時高校生だった彼。30近く、歳の違った私と一緒に写真に納まっていた。

  • 勝山は暖簾が良く似合う 2021年03月04日

     3月3日、久し振りに、天気が良い水曜日の定休日がやって来た。予定通り、岡山県真庭市の勝山町行きを実行した。朝一番の来客の対応を終え、10時、事務所前を出発した。5年ほど前に知り合った女性の友達を助手席に。(この日記、家族も読んでいるから言っとくが、あくまでも友達だから心配なく)

     

    雛

     

     いつも通り行きの途中、金持(かもち)神社に寄った。私は信仰心を持たないけれど、宝くじが当たりますようと手を合わす。そして四十曲峠を越して勝山町に到着した。いつもの駐車場に車を止めた。

     

     美しい女性店主がいる行きつけのカフェに入る。ここも古民家を改造したものだ。美味しいコーヒーのケーキセットを頂いた。今日は雛祭り、散策道路は歩行者天国で歩きやすい。幸せそうな人々達と暖簾街道を歩く。でも今日は友達が居るから一人じゃない。

     

    暖簾

     

     民家や商店の軒先に展示された雛人形が可愛い。それと暖簾のコンビネーションが城下町の藩政時代の懐かしさを醸している。この町も、妻との思い出が懐かしい。妻の姿が瞼にくっきりと浮かぶ。かあちゃん、楽しいな。

     

     草木染そして織物工房の店に入った。暖簾ってなぜですかって聞いてみた。大学で、染色と織物を学んだそうだ。この店に暖簾にして玄関に取り付けたそうだ。それを見て、近所の人の依頼を受けたとか。そして暖簾の町、勝山町の誕生だ。27年前のことである。

     

     暖簾に付いて尋ねた最初の人が、暖簾の町の暖簾の創始者だなんて。すごい確率で偶然訪ねた人が、その女性が答えてくれた。今日は私の誕生日、いい年になりそうな気がする。

  • そんな気がして 2021年03月01日

     この頃よく眠る。途中で何回も目が覚めて、その度にトイレに行って、また寝付けなくて悶々とした気持ちの中で朝を迎える。そんな状態の夜が続いていたのに、この頃よく眠る。一回も目覚めることなく、それどころか目覚まし時計が必要となってきた。

     

     私が眠れなくなったのは、妻が亡くなってからだ。「岬めぐり」の歌詞の中で、「僕はどうして生きていこう」とバスに乗った彼は青い海を眺めながら歌った。そんな気持ちが私も2年半も続いた。食欲もなく、生きる気力さえ薄れて、眠る体力も心の力もなくしていたのだろうと思う。

     

     配偶者を失った人はみんなそうだと思う。だから連れ合いの後を追うように亡くなっていった話をよく聞く。でも私は生きる気力を取り戻そうとしている。これは私の気持ちが強いからではない。おとうさん、生きていってと、妻が天国から手をふっている。そんな気がして。

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