店主日記
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雲ひとつない秋空の日
2022年09月30日
朝起きてリビングのカーテンを開けると外は霧。風景がかすんでいる。今日は良い天気になりそうだ。
昨年の春、転勤で東京に行くからと、娘夫婦は自家用車を処分した。私は足が無くなった彼らを車で尾道まで送って行った。その晩は3人で尾道の居酒屋で飲んだ。あくる日、事務所を開けるために宿泊のホテルを早朝に出た。尾道松江線に乗ったとたん車道は霧に覆われていた。何もかも、真っ白だった。そんな風景を思い出した。娘達と別れてからもう20日が過ぎた。
昼休みを利用してお墓の花を生け替えることにした。手作りのサンドイッチを早々に食べ、花屋さんに行った。千円余りで花を買う。生けるには少し質素だが、ケチな妻が贅沢は嫌うからいつもこの値段の花しか買わない。公園墓地は、雲ひとつなく晴れ渡っていた。なぎさ、好きだよ。愛してるよっていつもの言葉で墓地を後にした。
先日、写真をお願いしたX女子、ドラマ作るねって二人の茶碗を並べて観音院の室内を撮った。というのも、あの時私と妻の話を少しの言葉で説明した。お互いの茶碗に、お互いの干支だったって。今日はその写真を使わせてもらう。妻と行ったあの日のあの縁側が蘇る。観音院に行くといつもそうだけど、だから嬉しい。(写真の敷居の左が縁側。いつもあそこに座って庭園を見る)
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ドライブで思い出を
2022年09月29日
今朝は天気良好。気持ちも爽やか。久し振りに朝早くに出勤してきた。さて、昨日定休日ののことである。
息子の病院で用事を片付けて、そしてそこの駐車場でしばし考える。CDを入れ替えた。ひとりで車で走る時、私の心にはCDは欠かすことのできないスピーカーの材料なのである。エンジン掛けたら、スピーカーから常にCDの音が聞こえてくる。
想いは定まった。気持ちが沈むこんな曇り日は妻の思い出に浸ろう。音楽はかぐや姫の「赤ちょうちん」に定めた。さあ、三瓶山に向かって出発だ。カーステレオで、ふたりで一番多く聞いた曲はこの赤ちょうちん。私が好きだったからなのだけれど、妻の声が聞こえてくる。「あんたこの曲好きなんやなあ」・・・何度も何度も繰り返し聴いた。下手だけど口ずさんだ。妻との会話が蘇る。
右手に日本海。海を見るとあの人を思い出す。ここは鳥取の観音院。画面右側の柱が拝観する縁側から伸びている。この縁側に座っていつも抹茶を頂く。私にとって心落ち着く最良の場所だ。写真撮影はX女子
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鳥取の人
2022年09月27日
朝から雨が降っている。こんな日は気持ちが滅入るからメールの中の写真を眺める。あの人の、X女子の写した写真を眺める。秋晴れの爽やかだったあの日、日本海を眺めながら車で鳥取に向かった。妻との、思い出がいっぱい詰まった鳥取に向かった。どこを見ても恋人時代の思い出が蘇ってくる鳥取。(写真はX女子撮影)
娘と孫との半年間の生活にしっかりなじんだ。そして彼らは去って行って今は寂しくて。この前の日曜日の昼休み、ある人を誘って一時間のドライブを楽しんだ。細身で小柄な彼女、鳥取の観音院で出会ったあの人にどこか似ている。そんなこと想いながら一時間の会話を楽しんだ。心安らいだ。
さて明日は定休日。月末だから息子の入院費の支払いに出雲市に向かう。天気もよさそうだし、その後どこへ行こうかと迷っている。三瓶山に上ろうか、それとも石見銀山の町並みを歩こうか。それとも懐かしさに心惹かれる奥出雲町に行こうか。どうしよう。どっちにしても、誰にも束縛されない気楽なひとり暮らしを楽しもう。
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海
2022年09月24日
いつものスパーマーケットに行った。昼の弁当と3日間の夕食の材料を買うために。ひとりでの買い物にもだいぶ慣れてきた。恥ずかしさが少し減ってきた。いつものレジ係りの女性に言う。寂しくなったって。そうでしょうね、いちばん可愛い時だったものね。そう言って答えてくれた。少し気持ちが落ち着く。
ところで鳥取の観音院で出会ったあの人、この海を見て何を思ったのだろう。何が海の向こうに見えたのだろう。空の上に何を見ていたのだろう。ひとり車で来たんだから独身だと単純に考えてしまったけれど、どんな暮らしをしているのだろう。名刺で私の店主日記、見てくれたのだろうか。(写真撮影 あの人)
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鳴り石の浜
2022年09月23日
娘が海外へ出発してから半月が経った。久し振りに家庭の味を覚えて半年、すっかりその生活になじんでしまった。だけどまたひとり。孫の鳴き声も笑い声も聞こえやしない。風呂だって、湯船につかっていたのに今はシャワーで終わっている。会話もない夕食。凍り付いた空気。我が家には見もしないテレビの音しか聞こえない。今、私は寂しさの頂点なのだろうか。
こんな時は、あの人のことを想ってしまう。一目ぼれって、こんな気持ちを言うのだろうか。心に、永遠の妻がいるから愛することはできないけれど、大好きにはなれるから。願わくは友達になりたいな。特別な友達になりたいな。私の大好きな、ドライブを一緒にしたいな。いちにち中車で走っていたいな。そしていちにち中会話していたいな。
塩谷定好写真記念館の近くに鳴り石の浜がある。こぶし大から、それより大きな石たちがたくさん集まっている。波が来てはその石たちがぶつかり合って音が鳴る。ゴロゴロゴロと音が鳴る。不思議だなって思ってしまう。ここであの人は石を積んだのだろうか。石を積んで、そして何を願ったのだろうか・・・ ・・・名前も聞かなかったけれど、聞く勇気もなかったけれど、寂しいけれど今日であの人の写真展は終了する。X女子様、写真の提供ありがとうございました。いや、時々使わせていただくかも。