店主日記
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儚い命
2022年09月13日
先日のことである。妻との思い出の、鳥取市の観音院で抹茶を頂きながら庭園を眺めていた。池泉鑑賞式日本庭園で落ち着いた趣がある。その池に一枚の木の葉が落ちていた。そう思って見ていると、風もないのに揺れている。不自然な揺れ方だ。揺れが落ち着いてくるとそこで初めてその正体がなんであるかが分かった。それは緑色のカマキリなのである。空中から着地を誤って水中に落下したのだろう。不自然な揺れ方は羽をたたんでいたところなのかもしれない。
やがてカマキリは岸に向かって泳ぎだした。その距離は2mもあるだろう。泳ぐ練習もしていないのだろうに上手に進んでいく。やがて岸にたどり着いた。そして岩肌にしがみついて上に昇ろうとした時、ゴボッと音がして姿を消した。彼の命は一瞬にして池の主のような大きな黒い真鯉に飲み込まれてしまったのである。もうちょっとのところで難を逃れるはずだったのに。
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中秋の名月
2022年09月11日
丸く大きな月が夜空に見えた。細長い多くの雲が空を埋めているがその隙間から時々見えた。昨夜は中秋の名月。それだから余計に寂しかったのだろうか。日暮れの早まりと、空気の涼しさと、中秋の名月が重なって。
先日の夕食に娘がカレーライスを作ってくれた。食べた残りのカレーは1食分ずつに小分けして冷凍にしておいた。それを昨日の夕食に食べた。美味しかった。娘の味がした。当分会えないだろう孫殿の笑顔がちらつく。私はまたひとりぼっち。
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笑顔が見える
2022年09月10日
娘が里帰り出産するよって話したとき、ある人が言った。景山さんデレデレだよ、と。そんなことあるか、そう思っていた。私はもっと冷静でいれる。そう思っていたが実はそうではないらしい。昨日行ってしまった孫殿の笑顔が目の前に浮かんできて、仕事なんかできやしない。
それでもと思って昼食はおにぎり一つ食べた。食後のコーヒーと思ったときドライブしたくなってきた。ポットにホットコーヒーを詰め、車に乗った。行き先なんて考えてはいない。ハンドルが向くままである。そしてたどり着いたところが雲南市。引き返して事務所に着いたのは1時間半の後。
写真は最後の私の腕の中。初めてのフライトで孫殿少々緊張気味だ。大きく育てよ。体も心も大きくな。
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ああ・・・行っちゃった
2022年09月09日
娘が帰って来てから半年余りが過ぎた。孫殿が産まれてから5ヶ月半。親子げんかもせずに仲良く暮らした。孫殿は私によくなついて顔を合わせれば笑顔を作ってくれた。楽しかった。ある日突然妻を失った私にとっては天国のような暮らしだった。でもその幸せは今日で終わった。先ほど、昼前の飛行機で二人孫殿の父親のもとに出発していった。
ふたりが出発ロビーに消える時、ちぎれるほどに両腕を振った。孫殿が不思議な顔をして私を見つめている。いつまでも私の方に顔を向けている。不思議だなあって顔をして私を見つめている。あれ、もう夜になっても会えないの。ひょっとしたらそう思ったのかもしれない。
視界から消えていくのを確かめて展望デッキに出た。ローカル空港だからデッキから出発していく飛行機が間近に見える。もう、3年近くも会えないのかもしれない。そう思ったら景色がかすむ。出発まで後5分。不覚にもこぼれてしまった。
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雨の日の休日
2022年09月01日
真夏の暑さはどうやら峠を越えたようだ。だがこの頃の雨の降り方にはまいってしまう。昨日の午後、孫殿を連れて宍道湖一周のドライブでもしようかと娘と3人で家を出た。雨は降っていたがこれぐらいの雨ならと、車で出発した。宍道湖が見えてきたあたりから土砂降りになってきた。それでもと、湖北線を西に向かって走っていたらますますひどい雨になってきた。たまらず、秋鹿道の駅、なぎさ公園の駐車場で一休み。ひとかき後のワイパーの直後、写真の状態なのである。たまらず引き返すのであった。