店主日記

  • セミ 2020年08月05日

    セミ

     庭の桜の木にとまって鳴くアブラゼミを素手で捕まえようとする時、「盆さんが近いけん捕っちゃいけん」と母に叱られた。なんでって聞くと、「ご先祖さんかもしれんけん」って言う。そんな非科学的な、と思う私ではあった。

     

     男やもめにウジがわくって昔の人は言っていた。そうだなって今思う。でも、たまには布団だって干すし、シーツだって洗う。今朝も洗ったシーツをベランダに干した。するといっぴきのアブラゼミがやって来た。竿で半分に折れた半分の一面をゆっくりと歩いている。

     

     え、かあちゃんなのだろうかって思う。懐かしそうに、そして愛おしそうにシーツにつかまって歩いている。いつまでもいつまでもゆっくりとゆっくりと歩いている。かあちゃんだ。そうに違いないと思った。だって、逝ってしまう前の晩まで一緒に寝ていたダブルの布団カバーだもの。 

  • しっとりと 2020年08月02日

     盆休みが近づいてきた。我が社も、12日から休もうと思っている。ところが、新型コロナウイルスのために東京で働いている末娘は帰って来ないと言う。尾道にいる長女も帰って来るやら来ないやら。長男とは面会禁止という状況だ。はて、盆休みどうして過ごそうか。

     

     ドライブ三昧がいい。県外には出たくない。人の多くいるところには行きたくない。サンドイッチ作って涼しい山に向かって走ろうか。山の中腹の駐車場に車を止めて、コーヒーでも飲みながら文庫本でも読もうか。ステレオから流れて来る山本潤子でも聞こうか。潤子が歌う伊勢正三作曲のがいい。しっとりと歌う「青い夏」がいい。しっとりと歌う「緑の季節」が気に入っている。私と潤子の年齢は同級生、だからあの歌に引かれるのかも。

  • 不思議 2020年07月27日

     ビール缶

     4連休最後の日、と言っても我が社に連休などない。カレンダー通りに毎週水曜日と第2火曜日に休むだけである。しかし、土日祭日は1時間ほど早くに終了する。昨日も5時に終わって5分で家に帰って3分ほどでシャワーを済ます。

     

     至福の時間だ。大相撲の最後の何番かをテレビ観戦だ。その時飲む缶ビールの味は格別だ。テレビに釘付けになっていてふと気が付いた。テーブルの向こうの方にあったはずのビール缶が手前に移動している。テーブルの上にその足跡がはっきりと残されている。

  • 久し振りに娘と食事 2020年07月26日

     この頃、人と一緒に食事したことがない。男の友達とはそんなことしたくもないし、女性の友達もいるにはいるが食事まで一緒にというのはいない。朝も、昼も、夜もひとりぼっちの食事をしている。近頃はそれにも慣れた。

     

     昨夜、尾道に嫁いだ娘が帰ってきた。3月の三回忌の法要の時会って以来である。夕方着くと言うから寿司と、ビールと、ワインをそろえるために奮発した。早めに帰って久しぶりに風呂にお湯をためた。待つこと1時間、玄関の扉が開いた。

     

     家族の間では、私は寡黙なほうだった。子供たちと妻との会話を聞いているだけ、そんな父親だった。だけど昨夜は違った。よくしゃべった。私って、こんなにも話ができるのかと思うほどよく話した。そんな中、かあちゃんの物も処分しなければと思うんだがって私は言った。でもそれができないんだ、って。そしたら娘、置いときなよ。最後は私が片付けるから。ずうっと置いときなよって言ってくれた。嬉しかった。

  • 定休日の一日 2020年07月23日

     休みでも早くに目が覚める。コーヒーを飲み終わったら焼き卵作ってパンと牛乳で朝食完了。各部屋に掃除機をかけて、仏壇の一週間の埃をふき取る。銀行が開く9時前に出かける。我が家の月末の支払いに通帳の調整をする。自治会会計通帳から支払い分を引き出す。公民館に支払う。

     

     花屋に行って1000円余りの花を買う。墓参を済ます。そしてボウリング場だ。どうやら、難しいレーンに当たったようだ。ストライクが出ない。それでもスペアでつなぐ。4ゲームしてアベレージ170程か。プリント貰うの忘れた。

     

     出雲市の息子の病院に向かう。支払いを済ませ、新しい保険証を提示する。コロナで面会できないのはもどかしい。入所の掛合町へ届け物をするために向かう。そう、息子は重度の自閉症で施設に入所している。途中、須佐神社の隣で割子蕎麦を頂く。買い物済ませて帰ったら午後4時30分。仕事の日より忙しい。

     

     運転する車内は山本潤子の曲が流れている。この瞬間が一番心安らぐ。しっとりと歌う山本潤子の透き通った高音が美しい。女性の優しい声が懐かしい。潤子の声が妻の声とだぶっていく。車内の妻の存在が嬉しい。仲良しだった妻との思い出が嬉しい。妻は私の中に生きているって感覚が嬉しい。

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