観音院

2020年10月07日

観音院

 観音院は鳥取市の上町にある。池泉鑑賞式庭園で、縁側でお茶を頂きながら拝観できるシステムになっている。抹茶代も含めての拝観料は500円だからお手ごろだ。幹線道路から少し奥に入ったところの住宅地にあるから騒音も聞こえない。ひとりで無の境地を楽しめる。今日は思い出に浸りたかった。

観音院Ⅱ

 

 だがその日、絵柄にもなるその寺で結婚式の前撮りをやっていた。少し待てば静かになるだろうと思っていたが、だんだんにぎやかになってきた。これから結婚する人を囲んでの撮影だからテンションも上がるだろう。めでたいことだ。だけど、思い出に浸る気分にはなれなかった。今度また来よう。11月になって、紅葉がきれいになってからまた来よう。

 

 車の中は、21曲が収まった山本潤子のCDが朝から流れている。ハイファイセット時代に歌った「フィーリング」の、響く高音が殊に美しい。何度目かの、「ただ一度だけの」で始まる歌詞にふと心が動いた。これを私たちの結婚生活に置き換えたら。人生別れは必ずあると知っていたのに、愛し合ってしまった。フィーリングだったんだろうか。

ページトップ