店主日記

  • オオサンショウウオ 2021年08月16日

     襖の

     

     この夏季休暇は、車の走行距離1000キロを目標にしていた。けど400キロで終わってしまった。「瑞穂ハンザケ自然館」に行くのを最も楽しみにしていたけど、あの大雨が憎い。被災地の人々の生活のみならず、私の心もずたずたにしてしまった。

     

     広島市で、ある大手のアパート建築管理会社が催す不動産業者招待会が毎年開催されていた。そこに、私たち夫婦は毎年参加していた。そして、それが終わるとどこかで一泊して、旅行気分を味わうのが常だった。それが、年間の楽しみのひとつだった。

     

     ある年、岡山県真庭市にある湯原温泉に行くことにした。温泉に入浴の後、夫婦で卓球、いやピンポンかな、楽しんだりもした。あくる日、宿泊したホテルのすぐ近くに「はんざきセンター」があり、入館した。優に1メートルを超えた大きなオオサンショウウオがいて、驚いたその思い出も懐かしい。その思い出に浸りたかった。コロナ禍の中、県外には行きたくない。そう言えば、石見地方にもあった筈。

     

     私の故郷でも、オオサンショウウオのことを「はんざけ」と言っていた。はんざきとは、オオサンショウウオのことである。半分に裂いても生きているというところからその名が付いたとか、かどうかは不明。

     写真は、先日お邪魔した「駕籠石庵」で撮った襖の絵。

  • カフェ 駕籠石庵Ⅱ 2021年08月14日

    フィオーレ

     夏季休暇4日目、誰とも口をきかない日が三日続いた。正直辛い。止み間もなく降り続く雨、外は大雨だが、やはり「駕籠石庵」に行こうと決めた。轍にたまった国道の雨水をタイヤで蹴散らして車は進む。ザバ!ザバ!っと音を立て車は走る。昼ちょうどに大社に到着した。

     

     玄関を入ると、和服姿の店主が出迎えてくれた。これがピオーネだったかシャインマスカットだったか(私の失念)だよって、店主が玄関の鉢植えの葉をめくってひと房を見せてくれた。どうぞお上がりくださいの言葉に座敷の方を望む。漂う雰囲気、その空間は徐々に100年前にタイムスリップしていく。

     

     卵かけごはんセットを頂いた後、店主さんである奥さんが話し相手になってくれた。妻もいない盆。コロナ禍で子供たちも帰って来ぬ盆。コロナ禍で入院中の息子にも面会できぬ盆。ひとりぼっちの盆。こんな時に、長い時間話し相手になってくれた。ものすごく有難かった。車での帰り道の1時間、山本潤子の歌声に合わせて、永い間歌を忘れていた私が歌った。それほど嬉しい午後のひと時だった。

     

    駕籠石

     

     庭の写真は、7月31日付のこの店主日記、「カフェ 駕籠石庵」で友達が眺めてる庭。大きな平たい庭の真ん中の石が「駕籠石」なのである。雨に濡れた石は、より活力が宿っているような、そんな気がするのは私だけ?。

  • 懐かしいな 2021年08月12日

     夏季休暇の二日目である。休みの日にも早くに目が覚める。だが外は雨、危険な雨とも気象予報士は言う。でもどこか行きたい。朝食を済ませ墓参を済ませ、車で出発した。どこへ行こうかと思案するも、目的地が定まらない。気が付けば、妻との思い出深い美保神社の前。

     

    美保関神社

     

     この写真が美保神社の本殿の屋根だ。二神が祀ってあるので本殿も二つある。写真を見ていただくと両殿の千木(屋根の上でクロスした板の組み合わせ)の形にわずかな違いがある。さて、どこでしょう。そしてどうしてなのでしょうか。

     

    青石畳

     青石畳は何度歩いても、その都度趣が違って見える。ひとりぼっちの休日だからだろうか、何か空しい。空しさで見る、雨に濡れた青石畳は愁いが潜んでいるような、そんな気がする。しばし、その空しさを楽しんだ。

     

     千木の違いはと言うと、向かって右の本殿の千木はてっぺんが平たい。左の本殿は天に向かってとがっている。その違いだ。ではどうしてか。右の本殿の祭神は美穂津姫命で女神、左は事代主神で男神、その違いである。この違いは、全国統一らしい。

     

     午後帰って、焼酎のお湯割りをちびりちびりと。テレビ番組で、36年前の今日起きた御巣鷹山の飛行機事故の番組を見た。夫を亡くした今73歳の女性、頑張ってるなと思う。そしてその悲しみは、私と同じなんだなって思った。その瞬間、涙が溢れて止めどがない。・・・焼酎のせいもあったかな。でも、泣いたな。

  • 会いたいな 2021年08月08日

     三年前の妻の日記帳の最初の部分に月間の計画表の部分がある。8月の今日の日付のところに、ケーキの絵が描いてあり、かわいい字で、Happy Birthdayと書いてある。長女の誕生日だ。おめでとう、な。

     

     ネットで、連れ合いを亡くして寂しい時の対処法を見てみる。その人にとって、そうするのがいいのかどうかは個人差はあるだろうが、こんなことも書いてある。文章にしてみる。ブログとか、自分の気持ちを書いてみるのもいいだろうと。

     

     暑さで、体力も気持ちも疲れているからだろうか。それとも盆が近いからなのだろうか、この頃すごく妻に会いたいと思う。そんな気持ちになっている。そして、恋しくて、愛おしくてたまらない。だから寂しい。・・・もういちど会いたいな。そして、もういちど一緒に暮らしたいな。

  • いのちの停車場 2021年08月06日

     私はよく本を読む。難しいのじゃなくて、推理小説とか時代小説とか。今、南杏子の「いのちの停車場」をもう少しで読み終えるところだ。この手のものはあまり読まないが、先日読む本が なくなって、近くのコンビニで買ってきたものだ。

     

     いのちの停車場は、救命救急センターを退職して、訪問診療医として働く女医、白石咲和子の物語である。プロローグで始まって1章から6章に物語は分かれている。6歳の女の子が癌で亡くなっていく5章を今読み終えた。女性らしい、優しい描写が涙を誘う。

     

     3年前までは、映画を見ても、テレビドラマを見ても、もちろん本を読んだって、いくら悲しい場面でも泣いてしまうことなど一度もなかったのに、今は違う。一冊の本で何度も瞼を濡らす。すっかり、大人になったんだって自覚する。

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