店主日記

  • 雨の三瓶山 2024年02月21日

     出雲市の息子に会った後は、どうしてか三瓶山に行きたくなってしまう。大降りの雨だけど、向かった。それでも、山に向かって坂道を走っていたら小降りになってきた。小降りの雨の中のドライブを私は好む。この時、えもいわれぬ喜びを感じるのはどうしてだろう。

     

     東の原に着いた。私と同時に駐車場に車を停めた若い男性がワイナリーに入って行った。ひとりぼっちで寂しそうな背を私に向けて入って行った。どうしよう、私も入ろうかな。でも、今日はワインを買う気にもならない気がした。頓原に下りよう、そう思って車に乗った。

     

    雨の煙る

     

     オートに設定したワイパーが、間欠に動いている。さっと、ひとかきしては静止する。この間合いが好きなのだろうか。それとも、雨に煙る山を見るのが好きなのだろうか。それとも、高校生の時見たフランス映画のシトロエンのワイパーの音を思い出すからだろうか。あの頃から、私は運転にあこがれてしまった。それが夢になってしまった。

     

     先日、NHKのeテレの料理番組を見た。肉団子と、白菜を使った鍋料理をしていた。今度の休みには、あんな料理作りたいなと思っていたその時の放送だったので今日の夕食に実行することにしていた。テーブルコンロに土鍋を載せて最後の仕上げにかかっている時、おやと思った。土鍋から水滴が滴って炎を揺らしていた。

     

     妻と結婚した40年ほど前、今晩鍋料理にしようよということになった。じゃあ土鍋買いに行こう、ということになってサティ(現在のイオン松江ショッピングセンター)に二人して出かけた。そこで買った土鍋だから悪い品物ではない筈。でも、40年間使ってきたから愛着がある。この鍋どうしよう。妻との思い出どうしよう。テーブルの上のオブジェにするのもいいかもしれない。ふと、そう思った。

  • 霜が、良い天気だな 2024年02月18日

    霜 日曜日だから、というのは私には関係がないが今日は遅くまで寝た。なのに公園墓地の日陰の草むらにはびっしりと霜が降りていた。日当たりの部分は霜も解けて、それが水蒸気となって風景をかすめていた。伯耆大山が手前の山の峰の上にくっきりと雪をかぶった真っ白い姿を見せていた。今日は気温が上がりそうだ。

     

     昨日、長女からラインが届いた。七回忌には、妹も帰って来るよと打っていた。末娘、直接私には言わないけれど帰って来るらしい。長女にも、末娘にも、遠いから無理に帰らなくてもいいよって、そう言っておいたのに。俺がちゃんとやっておくから安心していろと、そう言っておいたのに帰って来るらしい。嬉しかった。本当に、嬉しかった。

  • 400キロのロングドライブ 2024年02月15日

     観音院今日は、一日中車で走り回ってやろう。昨日の定休日の朝、そう決めた。一緒に行こうな。ふたりだけのドライブ楽しもうな。そう言って妻の墓石の前を9時に出発した。安来市の道の駅「あらえっさ」で大きめの缶コーヒーを自販機で買った。米子市街地を避けるため、米子西から淀江までは山陰道を行く。後は国道9号線を鳥取市まで走るだけ。

     

     3時間後、鳥取市の目的地、観音院に着いた。入り口に、鳥取出身の自由律俳句の雄「尾崎放哉」の歌碑があった。これって、以前からあっただろうか。それとも私が気が付かないだけだっただろうか。今日はこれを見ただけで十分。再び車に乗った若狭町を目指した。

     

     若桜町の道の駅でクリームパンを買った。昼ごはんは菓子パン一つで大丈夫な私なのである。140円を支払った。レジの女性がにっころと笑ってチョコレートの小さいのをくれた。たくさんかごに入ったチョコレート、そうか、今日はバレンタインだった。若き頃を思い出した。

     

     そして、車は戸倉峠を越えて兵庫県に入った。中国道の山崎インターを目指した。山崎に入ってからコンビニに寄って2個目の缶コーヒーを買った。中国道に乗って落合ジャンクションを目指した。乗用車には追い越されるが、10台ほどのトラックは追い越した。不快感を与えぬよう、気を付けながら静かに追い越した。マナーなのである。

     

     落合ジャンクションで米子道に乗り替えた。岡山県側から見る大山も美しいと思った。この頃になると、我が運転技術に心が酔ってくる。運転の疲れとか、全く感じなくなる。恍惚の境地なのである。私がドライブ好きなのは、こう言ったことなのかもしれない。七回忌が近づいてるから、だから心騒ぐから、じっとしておれなくて、400キロのロングドライブを楽しんだ。家に着いたのは午後5時ちょうどだった。

     

     シャワーを浴びて、缶ビールを飲んだ。昨日作っておいた食べ残りの鮭のちゃんちゃん焼きを温めて食べた。酒は、焼酎のお湯割りに変わっていた。炬燵に入り、ソファーを背もたれにして見るでもないテレビを付けていた。いつの間にか、その姿勢でうとうとと。やっぱり、疲れたのだろうな。

  • 立春とは名ばかり 2024年02月12日

     先ほど、妻の七回忌の案内状を投函してきた。49日、一回忌、三回忌は懸命に役割を果たそうと、そんな気持ちが強かったからだろうか、何かを感じる余裕はなかった気がする。ところがこの七回忌は何かが違う。何が違うのか、表現が浮かばないが何かが違う。妻の魂に、より近づける、そんな気がする七回忌なのである。私自身が、やっと、妻の死と正面から向き合えるようになったのかもしれない。「かあちゃんの詩」日記には、この気持ち、冥途の土産にするねって、そう書いておいた。

  • 刻の鐘の音 2024年02月09日

    千光寺の鐘

     以下、志賀直哉の「暗夜行路」より

     六時になると上の千光寺で刻の鐘をつく。ごーんとなると直ぐゴーンと反響が一つ、又一つ、又一つ、それが遠くから帰って来る。その頃から、昼間は向かいの島の山と山との間にちょっと顔を見せている百貫島の燈台が光り出す。それはピカリと光って又消える。造船所の銅を溶かしたような火が水に映り出す。

     以上

     

     今朝は、重量のある仕事を完結させた。程よい疲れのだるさが体全体を覆ってくる。もう今日は何もしたくない。ちょうどこの日は夕方から宅建協会の班会がある。その後で食事会。良い気持ちでお酒が飲めそうだ。なんて思っていたら、昨年の暮れに行った尾道市の記憶が蘇ってきた。気持ちの向くままに妻とふたりで海を眺めた千光寺山、また行きたいなと、思ってしまった。

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