店主日記
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冬になったね、でも
2025年11月17日
ある人に依頼されて、郊外の空き家になっている民家を訪ねて行った。家っていうのは、空き家になったらすぐ朽ちる。ちょうど近所の人が道端にいらっしゃったので、話を聞かせてもらった。気さくな年配の男性だった。あの家も、この家も空き家なんだとか。わしん家も、わしら夫婦が後何年生きれるのやら。公図を見ても、現地を見ても、私の力では何とも致しがたい。そう悟った。依頼者に、何と言って説明しよう。朝は綺麗にした事務所前、朝以上に枯れ葉が重なり合っていた。立冬から一週間余り、すっかり冬になったもんだねと心沈んだ。
でも、駐車場の車から、3人が降りてきて、先日はお世話になりました。何もかも解決いたしましたと丁寧にお礼を言われてしまった。障害を持つ息子さんの、住まい探しのアドバイスをして差し上げただけなのに、ご丁寧に3人でお礼に見えた。人っていいな。冬の次は、必ず春が来るんだよ。
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愛してる
2025年11月14日
キャビネサイズの妻の写真を、事務所のパソコンデスクのパソコンの横に立ててることは、以前この店主日記に書いた。今朝もそうしようと、リュックに入った写真を手に持った。その時、誰かが話しかけてきた。どうしてそうするんだい、って。そりゃあ、恋女房だからさ、と即座に答えた。先日義弟と、妻が好きな歌手は「野口五郎」だったという話を思い出した。ユーチューブで「私鉄沿線」を聴いた。いつの日かのドライブで、妻と二人でカーラジオから聴いた私鉄沿線、あの日の記憶がさっきの事のように蘇ってきた。あ、野口五郎だと、にっこりした妻の笑顔が浮かんできた。
会いたいな、と思った。そう思った瞬間、寂しさに心が耐えられなくなってきた。淹れたインスタントコーヒーもそこそこに、車に飛び乗った。どこへ行こう、とりあえず国道9号線を東に向かおう。知らぬうちに、中海半周して帰ってきた。そしたら、少し落ち着いた。
時々こんな日がやって来る。月に2~3度ほど、こんな気持ちがやって来る。もう、妻が逝って7年と半年が過ぎたのに、こんな気持ちの日がやって来る。私は今でも、あの頃のように、妻を愛し続けているんだなと、そう思った。そして、そう思うことが嬉しかった。
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清水さん
2025年11月12日
今朝は早く起きて長距離ドライブしようと思っていた。尾道市にしようかそれとも鳥取市にしようか迷っていたが、起きてから考えればいいや、そんな気持ちで昨夜は寝た。ところが、遅くまで寝てしまって、しょうがない、近場にしよう。
この季節は安来市の清水寺に行きたくなる。妻と秋遅くに行った思い出の記憶が強いからかもしれない。銀杏の木があって、その実が落ちていて、それを誰かが踏んで、帰りの車中、あの独特に匂いが車中にこもった。そして、君が踏んだんだろうって妻のせいにして、コンビニの駐車場で確認したら、私のせいだった。今日もあの時のように、紅葉がきれいだった。駐車場は平日なのに、思いのほか車が多かった。到着して、しまったなと思ったが引き返すのももったいないなと、歩くことにした。参道は、長いのぼりや階段になっていて、良い運動になるが、息が上がる。
一番上部にある本堂に到着した。威風堂々としたこの姿に、いつ来ても感動する。だからだろう、私は若い時から神社仏閣が好きでよく訪れる。だが信心はない。感動が好きなのだろう、妻との出会いもこの感動にあった。だから今日も妻に話しかけるのである。ほら、あの日の銀杏の木だよ。
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街路樹
2025年11月08日
写真は、私の通勤路の、ある交差点だ。もう紅葉が始まっていると何日か前、運転席からスマホで撮ったものだ。夏は葉を茂らせて日陰を作り、秋にはいち早く紅葉の素晴らしさを見せてくれて、冬は落葉して太陽の光を届けてくれる。素晴らしい街路樹の風景だ。昨夕、鍋料理を仕込みながらテレビを見るでもなく見ていた。アナウンスが今日は鍋の日ですと言った。ほう、俺は鍋の日に鍋を作っている。と、妙に感心した。そして、作業を進める。鶏のもも肉を1センチ幅にスライスする。これをフライパンでこんがりと焼く。鍋に入れると柔らかくて旨くなる。旨味が閉じ込められるのだろうと思う。
昨夜の鍋の味を思い出しながら、台所で朝の食器を洗っていた。ここに立つと、いつも思う。俺はひとりなんだねって。どうしてなぎさは先に死んでしまったんだろう。どうして俺はこの若さでひとりぼっちになってしまったんだろう。今朝は、殊更に強く、寂しさを感じてしまった。はらはらと、落ち葉舞う季節だからだろうか。
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カセットボンベ
2025年11月07日
今朝、ホームセンターでA4のコピーペーパーを買った。事務用品はいつもこの店で取りそろえることにしている。ついでに、カセットボンベも買った。支払いの時、ポイントカードを示す。このカード、妻が自分で自分の名を書いたもの、いまだに懐かしく使っている。
今晩は鍋料理にしようと思っている。先日の定休日、「道の駅本庄」で立派な白菜を買ってきた。鶏のもも肉も冷蔵庫の中に、つくね団子も豆腐も買っておいた。リビングのテーブルに、卓上コンロを置き、鍋が煮立つあの音を聞いてると、寂しさの心が和らいでくれる。湯気の向こうに妻の顔が見えてくる。




