店主日記

  • 春の風が爽やかだった 2025年03月26日

     石見銀山世界遺産センター前の駐車場に昼ちょうどについた。大森の町に行くバスの時間を確認した。50分の待ち時間があった。世界遺産に指定された当時、妻と来た時はバスは頻繁にあった筈なのにと思った。どうしよう。とりあえず木製のベンチに腰掛けた。日陰にいると、春の風が爽やかに感じられた。自動販売機で買ったペットボトルの水が美味しかった。

     

    さざ波 年配のカップルたちが目の前を通っていった。談笑しながら歩いていった。気に留めるでもなく眺めていると何故か私の遠い昔が蘇ってきた。その記憶は年代を追ってやがて現在に迫ってきた。そしてついさっき会ってきた入院の息子の顔になった。帰ろう、そう思った。50分の待ち時間は私に帰ろと言っているのかもしれない。

     

     海を眺めながら国道9号線を走った。黄砂が遠くの風景を消していた。砂浜には相も変わらずさざ波が打ち付けていた。釣りもしたいな、と思った。でも今の私にそんな心の余裕はありゃしない。そんなことに心を動かしていたら急に魚が食べたいと思った。それも干物がいいと思った。干物の焼き魚なんてもう何年食べていないのだろう。時々妻が焼いてくれたのを食べていた。思い出すとそれが最後だった。だから今日は魚の干物を買って帰ろう。そう決めた。

  • ごめんなさいと言って伏していた 2025年03月24日

    雨に濡れて 昼過ぎになって急に空が暗くなった。そして間もなく雨になった。事務所前で踊っていたクスノキの葉たちも濡れて動かなくなった。今日も夕方ある程度きれいにしようと思っていた。明日の朝が楽だから。だけど濡れて無理かと思っていたらやがて雨は止んで晴れた。

     

     葉たちはおおかた乾いてきた。夕方になったから箒と塵取りで履こうと思った。その瞬間、テレビコマーシャルのある画面を思い出した。「トノサマバッタだけど殿様じゃありません。」クスの葉たちは裃を着て地面に伏しているように見えた。私に、仕事の邪魔してごめんなさいと言って伏していた。

  • クスノキの落葉 2025年03月23日

    葉っぱ 出勤してきたら事務所前に楠木の葉っぱが散乱していた。事務所裏にひと抱えどころか、そんな大木があって春になったら葉を落とす。それが風に流されて事務所前に吹き溜まる。朝30分かけて掃き清めても、1時間もするともう元の木阿弥だ。憎いったらありゃあしない。この状態が後1ヶ月続く。

     

     春の陽気に誘われて葉っぱたちの運動会を眺めていた。風がさっと来て、彼らを巻き上げてつむじを作る。風が去っていくと、着地する時にカサカサカサと乾いた音を立てる。よく見ると、同じ葉っぱはふたつとない。大きさや模様、それぞれに個性がある。樹上では、それぞれにあったんだろうなと、そう思った。今役割を終えてほっとしてるのかもしれない。

  • やっと春が来た 2025年03月21日

    花 長い長い冬のトンネルを抜けて待ちに待った暖かい朝がやって来た。だが風が強い。暖かい風が吹きつけている。これを春一番と言うのだろうか。出勤してみればその風に乗ってクスの大木の葉っぱが事務所前に踊っていた。これとの格闘が我が社の春の風物詩だ。やっと、本物の春がやって来た。

     

     この2~3日落ち着かない。心騒いでしょうがない。こんな時にはドライブに限る。ということで、仕事を済ませて銀行に行ったあと宍道湖一周することにした。どうして心騒ぐのかって。そりゃあまあ、私にもいろいろある。人に話せないことだってひとつやふたつ、心に抱えている。

     

     左回りコースで行くことにした。湖面は茶色く濁っていた。南風が宍道湖の怒りを煽っているように見えた。岸壁が打ち付ける波を空に弾いて弾かれた波は勢い余って道路を濡らしていた。やがていつものように道の駅「秋鹿なぎさ公園」に立ち寄った。先日までホットだったのに、無意識に冷たい缶コーヒーのボタンを押していた。

     

     写真は先日、湖東中学校の正門横で見つけた背丈5センチほどの花。名は知らぬがシロツメクサ種らしい?・・私のスマホは接写向きかもしれない。

  • 君はなんて花 2025年03月20日

    草花 先週の12日、暖かな春らしい陽射しが降りそそいでいた。私の誕生日を祝ってあげるって人を湖東中学校の玄関横で待っていた。少し遅れるよってラインが届いた。そんな幸せそうな日には心穏やかになる。そんな時、何気ない草花にも目が留まる。懸命なんだね、君たちも。

     

     ちょうど今時分なのだろうか、私の当時の断片的な記憶は。幼い頃の我が家には板張りの縁側があった。雨戸は全て戸袋に納めてあった。庭一面にはまだ残雪が広がっていた。穏やかな春の日差しを体いっぱいに浴びた私がその縁側にちょこなんと座っていた。どうして私が私の姿を俯瞰しているのだろう。穏やかな記憶ってそんなものなのかもしれないよって、小さな草花が私に囁いていた。

     

     多分この花イヌフグリの一種だと思う。普通、イヌフグリは集団で咲くものなのだろうが、なぜか一株だけがここに咲いていた。だから私が写真に撮って店主日記にアップしてあげる。ひとりでも、多くの人の目に触れさせてあげる。

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