店主日記
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シンメトリー
2025年03月01日
集合場所は松江の老舗、皆美の支店の「ふじな亭」。米子市のメンバー二人が今日の主人公だ。その助っ人に松江市の4人が加わって6人の集まり。今度の7月7日に行われる同窓会の打ち合わせだ。担任の先生の米寿のお祝いのこともあって、念入りの打ち合わせだった。
1時間半ほどで打ち合わせは終わった。ほっとした気持ちで背面にあった宍道湖を振り返った。波ひとつない湖面に浮かぶ幾本かの竹の杭。同じ形が反対向きに湖面に写されていた。シンメトリーと言う言葉が妙に心を揺さぶった。人と人の心にシンメトリーなんかありゃしないのに、とふとため息をついた。
昨日のお客さんも、知的障害を持つ子との暮らしに悩んでいた。先日の一週間の入院生活で我が家に溜まった新聞受け、それを見た人たちで大騒ぎになったとか。同じ子のことでも、でもどこかが違う。たかが新聞で、本当は心配なんかしていないのに、思いの何かが違う。人と人の心はシンメトリーなんかになりゃしない。だから、傷つけ合って生きていくんだね。
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定休日のドライブ
2025年02月26日
定休日には、仕事がよく入る。今朝も9時に出勤して10時までにふたつの仕事を片付けた。さてどうしよう、やっぱり少しは車で走りたいな。八雲町から広瀬町に抜けて、安来市の道の駅「あらえっさ」に寄って、ゲゲゲの鬼太郎を奏でる道を走って八束町から本庄町に出て帰ろうと決めた。
国会中継からスピーカーの音はCDの音楽に替わった。大好きな曲、「かぐや姫」の「神田川」と「赤ちょうちん」を繰り返し聴いた。そして口ずさむ。赤ちょうちんの歌詞の「3帖の下宿」は、夜間高校に通ってた時の3帖の私の借り間を思い出して懐かしい。
赤ちょうちんだ。彼と別れた雨の夜、彼女は公衆電話の箱の中で膝を抱えて泣いた。そしてこう思った。「生きてることはただそれだけで、悲しいことだと知りました。」この部分の歌詞を口ずさむ時、いつも涙で視界がかすむ。妻とふたりでいちばん多く聴いた曲だからだろうか。
さあて、午後2時になった。焼酎とビールを買って帰って、新聞紙括って指定の場所に出して、部屋に掃除機かけた後、一週間分の食料を買って来よう。あのいつもの同郷のレジの女の子とひと言話そ。明日仁多へ行くんだよって。私の仲人してくれた方に線香をあげたくて。入院の日に葬儀だったからまだ行けてなくてって。
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寒いの嫌だな
2025年02月23日
今朝も新雪が出勤の車の屋根を覆っていた。今年の松江市は大雪にはならないがだけどよく降る。もうたくさんだ。こんなことで弱音を吐くと、豪雪地帯の人が物言うのかもしれない。だけど松江は雪への備えがないから。国道や県道の雪かきだって、ほぼしたことがないんだから。家の備えだって、とにかく寒い。病み上がりだからだろうか、寒さが憎い。
先日の入院だ。3日目だったか4日目だったか、松江警察署から電話があった。「景山様の携帯電話ですね。景山様ご自身ですか。新聞が新聞受けに溜まっているからと近所の方が心配なさっていて」と、こうだ。退院して帰って今日の新聞がないと思った。新聞店に電話すると「民生委員の方と相談して」止めたそうだ。
新聞受けは、玄関内側の受けの部分を外して玄関内に落ちるようにしておいた。入院の準備をする時、ショッピングセンターで自治会長に会ったので入院のことを伝えておいた。近所の方の心配は有難いことだ。だけど、どうして私の意思を確認しないで新聞を止める。新聞は私の家族のひとりなのに。一週間ほどの入院なのに。
あの日も早くに目が覚めた。病室から見る風景は、最初の入院の22年前とちっとも変らない。病院の県道の向こうのガソリンスタンドも、あの時2本に見えた通勤の車が走る松江市道も、薄っすらと雪で白くなった民家の町並みも山並みもちっとも変っていなかった。
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また雪が舞ってきた
2025年02月22日
朝晴れ間がのぞいた。だけどそれもつかの間、雪が舞いだした。巷は今日から3連休、せっかくの3連休なのにとそう思っている子供さんたちも多いのではないか。ふと、子供たちと遊んだ昔を思い出した。ホライゾンの、荷台に屋根にキャンプ道具を積んでいる私の姿が見えてきた。
退院してから、むさぼるようによく眠る私なのである。だが、入院中の私は全くと言っていいほど、眠れずにいた。寝床が違うから眠れないのか、環境の違いからだろうか、それとも小心なだけなのか。早朝の3時ごろから意識が途絶えることがなかった。早く朝が来ないかなあと。
東向きの私の病室のカーテンの隙間から薄っすらと陽の明るさが差し込んできた。朝だ、カーテンを開けよう。あ、朝陽だ。もう直ぐ室内の照明が付く。本が読める。事務所にあった読みかけの文庫本と、ずいぶん前に読んだもう一度読みたいのと、2冊持って来た。
辻村深月氏著書の「傲慢と善良」を読み始めた。前半は遅々とした物語が残り3分の1で動く。推理小説か、恋愛小説家かそう言ったジャンルで分類すると恋愛小説だ。若者の心の内面の描写がおもしろかった。そうなんだよ、私もまだまだ恋愛小説が読めるんだよ。
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やっぱり娑婆は良いね
2025年02月20日
一週間前から寒気がして、4日前になったらその悪寒がたまらなくて、夜中に胸がゼイゼイと鳴りだして、よっぽど救急車で病院に行きたくなって、だけど明日の朝に来客予定。あくる日、来客の用事済ませて、祝日だったから救急外来を訪ねた。肺炎のよう、入院ですね。11日のことである。
救急外来の医師が心配するのをよそに、入院用品の買い出しに行った。洗濯する人がいないから多めの下着。入院衣の上に着る防寒の上着。などなどを仕入れて午後1時30分入院棟へ。そして治療を受けること7日間。18日の火曜日の午前中に退院してきた。
18日と19日は自宅でゆっくりと休んだ。そして今日出勤。だがまだ病み上がり、思うように仕事ができる訳もなし、ぶらっと宍道湖を眺めてこよう。宍道湖の風景は霞んでいた。嫁ヶ島以外に見える風景もない。まるで私の心のよう。でもやっぱ娑婆はいいな。