店主日記

  • 2024年04月13日

    花 先月、妻の七回忌で会ったのに孫にもうすぐまた会える。娘からラインがあった。再び日本に上陸と。友達の結婚式が広島であるので帰って来たそうだ。先日行ったばかりの尾道に迎えに行かなくてはならない。松江警察署内の交通安全協会に、先月チャイルドシートのレンタルの予約をしておいた。

     

     孫は可愛いよと、みんなが言う。我が子よりも可愛いと言うけれど、本当かいなと思っていた。可愛いにしたって我が子より可愛い訳ないだろうと、そう思っていた。だがみんなが言う通り、やっぱり孫は可愛い。生まれて半年我が家で育ち、北京に行って一度離れて再会した時本当にそう思った。妻の生まれ変わり、私がそう思うから余計に可愛いのかもしれない。

  • 尾道行 2024年04月11日

     先日の定休日、ある人と朝の8時過ぎに待ち合わせして尾道に向かって出発した。その人は同業ではないが、私とどこか似たような仕事をする女性で、定休日も私と同じ水曜日なのである。歳は、無理すれば私の子供と言ってもおかしくない。夕方仕事があるというので早めの出発となった。

     

    桜ござ

     

     いつものように千光寺公園駐車場に車を停めた。もう散ってしまったのだろうなと、そう思って来たのだが桜の花もまだ咲き誇っていた。それでも散った花びらが路面を華やかにして観光地としての味わいに役立っていた。私は志賀直哉が住まっていた寓居なるものを見たいと、そこへ行きたい願望があったので彼女はそれに協力をしてくれた。だが、坂道を下るときには見つけることができなかった。

     

    寓居 ひとまず、商店街で尾道ラーメンを食べようよ。というので目の前にあったラーメン店に飛び込んだ。私はコピーを取り出して、志賀直哉の「暗夜行路」の尾道のところの一節を彼女に読んで聞かせた。特に、夕方千光寺で鐘をつくところの描写が気に入っている。「ごーんとなるとごーんと反響がひとつ、またひとつ、・・・」

     

     この頃、採算が合わないということで観光地図にも載せていない時任謙作(志賀直哉の旧居)の寓居、彼女がスマホでその場所を探してくれた。それを辿って坂道の階段を上っていく。ついに見つけた。これが見たかったんだよ。久し振りに見る時任謙作が住んだ寓居、感動した。

     

     あとは帰るだけ。旧居から千光寺公園まではまだまだ上り坂。10歩石段を上っては休み、また上っては休みの繰り返し。やっと駐車場に着いたら長蛇の空車待ちの車にびっくりした。いい時間にやって来たもんだねと、朝の早立ちの約束に感謝するのだった。

     

     それにしても、どうしてこうも私は尾道にはまってしまったのだろう。ラーメンの味は、山陰の人には濃い過ぎる気がする。だけど、食べなければ気が済まない。一時娘が住まってたところだからだろうか。それとも妻との思い出が深いからだろうか。恐らく風景といい、すべてが私の好みとうまく絡まっているのだと思う。

  • タンポポの花 2024年04月07日

     陽光の暖かさにつられて事務所近くを散歩した。タンポポの花が地面にへばり付くように茎をのばさずに咲いていた。3個の花をつけたその株はコンクリートの隙間から葉を伸ばしていた。よりによってこんな場所に咲かなくてもいいだろうに。と思って見たが、彼らは咲く場所を選べないんだということに気が付いた。咲く場所も風任せなのだ。

     

    タンポポ

     ふとある日の「NHK子供科学電話相談」を思い出した。草花は、あんな所でも案外順調に育つそうだ。根を伸ばしたコンクリートの下には土がある。そして水分も栄養も豊富だとか。だから心配しなくていんだよと、電話の相談の子供に相談員はラジオで答えていた。そうなんだねと私もこの年齢になってやっと分かった。

     

     人も、生まれる場所の選択なんかできないじゃないかと、そう思った。生きていくうちにも様々な出来事に遭遇する。そんなことが相まって、大金持ちもいればそうでない人たちもいる。幸福そうな人もいればひとりぼっちの人もいる。だけど、土壌は同じだよ。土があって、水分も養分もいっぱいいっぱいあるんだよ。そう我が身に思い聞かせた。

  • タイヤ交換 2024年04月05日

     島根日産にタイヤ交換の予約をしておいたので午後、行ってきた。音の大きく出るスタッドレスタイヤとの乗り心地の確認がしたくて、熊野大社まで試運転に行った。やはり違う。静かだ。路面の凹凸やらをくまなく拾うのが分かる。夏用タイヤは、やっぱりいいな。大社の参道横の大木が、桜の花を満開にして誇らしげだった。

     

    熊野大社

     

     来週の定休日、10日の水曜日は松江も広島も天気が良いらしい。予定していた尾道行きも快適になりそうだ。千光寺公園から坂道を下って行こう。志賀直哉が住まっていた寓居も見てみよう。猫の細道も歩いてみよう。町に下ったら、娘が連れて行ってくれた店で尾道ラーメン食べてこよう。

  • 心のゆらぎ 2024年04月04日

     昨日、定期診察日だったのでいつもの病院に出かけた。受付を終えたら処置室で採血をしてもらう。時には同じ看護師さんの場合もあるが、行く度にその顔触れは違っている。昨日は年配の女性だった。名を呼ばれた瞬間、なんとなくこの人なら、そんな心の温もりを感じた。

     

     椅子に座って腕をまくった。その腕を見て看護師さん、「荒れているね」。肌のことである。「うん、乾燥肌でね、痒くてかきむしったもんだから」。「そうなんだ。体も?」。「うん、全身。ひとり暮らしだから心が乾燥する。すると体も乾燥するらしい」。そんな冗談を言ってみた。

     

     「え、奥さんは?」。左手の薬指の指輪をを見たという。「先日、七回忌を終えたんだよ。二人の娘も出て行っちゃって今はひとり暮らし。それに息子は入院してる。どうして僕はこんな人生なんだろうね」。「でも、もっと寂しい人はいるから。それに、いろんなこと乗り越えた人は強くなる。あなたは優しそうだし、きっと幸せになるわ」。

     

     今朝起きて、アスファルトを打つ雨音を聞いていたら、無性に寂しくなってき。本当なら今この時間は、テーブルに向かい合って二人で朝食摂りながら談笑してるのに。そう思ったら一層寂しくなってやりきれなくなってきた。だから、昨日の看護師さんとの会話を思いだそうとした。そうだよな、幸せにならなくちゃあな。乗り越えなくちゃあな。

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