タアタコの味がした

2025年07月14日

 私が子供の頃の我が家の風呂は、五右衛門風呂だった(正式名は長州風呂)。今では趣味で持つ人もいるようだが、この風呂の名はもう死語になっているのかもしれない。安土桃山の昔、大泥棒の石川五右衛門が釜茹での刑に処せられた。そこからこの名が付いたらしい。

 

別れ 農家の我が家は、風呂焚きは子供の仕事だった。兄や姉は学校に通っていた。だから夕方が近づくと私がハンド(土器制の大きな水瓶)に溜まった水をバケツで風呂釜に移す。そして薪に火をつける。風呂が沸いた頃、薪は炭火になる。その炭火でトウモロコシを焼く。こんがりと焼いたトウモロコシを丸かじりする。至福の時間なのだ。故郷では、トウモロコシをタアタコと呼んでいた。

 

 キャンプ好きの私はほんの時々。バーベキューにトウモロコシを焼いた。子供たちに食べろと言うが、みなそれを嫌った。肉や魚を好んで食べた。贅沢になったものだなと思った。だがこの前の土曜日の夜、トウモロコシを丸焼にして食べた。至福の時間だった。70年近く振りの味がした。友よ、有難う。坊主よ、有難う。

 

 写真は三瓶山の国引きの丘に建てられていた。八束水臣津野命が余った国を新羅紀の三埼から「国々来々」(くにこくにこ)と引き寄せて佐比賣山(さひめやま・三瓶山)に繋ぎ止めたと言う出雲国風土記の国引き神話から来たもの。ただし、この物語は古事記や日本書紀にはない。逆に、ヤマタノオロチ神話は出雲国風土記にはない。古人には、遊び心があったものだとうらやましい。

 

 午前中私も遊んだ。さあて、仕事頑張るか。

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