店主日記

  • 赤ちょうちん 2021年05月13日

     18曲入りのCDの中の、かぐや姫が歌う「赤ちょうちん」が巡ってきてその曲が終わった時だ。もう一回聴きたいなって私が言う。あなたこの歌好きだねって妻が言う。この歌聞くとね、いつもお金に苦労していた、若かったあの頃の記憶が懐かしいんだ、と答える私。

     

     遅くに目覚めた昨日の定休日だ。目覚めた瞬間、かあちゃんリビングでお茶飲んでるだろうかって思った。それが寂しさの始まりだ。もう、かあちゃんいないんだよって自分に言い聞かせた。人って、体の傷の痛みには耐えても心の切なさには耐えきれないようだ。

     

     たまらなくなって、車に乗った。どこへ行こうか。まずお墓行って、そこで考えよう。なかなか行き先を思いつかず、先日の黄砂の雨で汚れた車を洗うことにした。洗車機から出て水滴を拭き終わった時、そうだ、海を見に行こうとやっと目的地を得た。

     

     車は私の心をしり目に快調に走る。しばらく島根半島の海岸線を走る。「赤ちょうちん」が巡ってきた。妻の声が聞こえた。もう一回繰り返す。何度も何度も繰り返す。そして泣いた。思う存分泣いた。・・・時々こんな気持ちになる日が巡って来る。私は、どれだけ深く妻を愛していたのだろう。この私には、いったいどれほどの数の涙があるのだろう。

  • 母の日 2021年05月09日

     その昔、私が小学校に通っていた頃である。母の日はこうするものなんだよって、先生が教えてくれた。母がいる人は赤いカーネーション。母がいない人は白いカーネーション、そう言って教えてくれた。子供だったけど、でもそれって違うなって思った。

     

     あの日も、今日と同じように母の日にふさわしい五月晴れの爽やかな日曜日だった。天までもが私たちの幸せを祈ってくれている、そう思いながら教会に向かった。妻が、母に贈るんだと言って選んだのが母の日。そう、母の日は私たち二人の結婚記日なのである。そして2年前、長女が選んだその日の理由も、そうだったのかもしれない。

  • 山の緑 2021年05月04日

     いつかの5月の連休に、三瓶山に行った。北の原のレストランでなんと言ったっけ、何とかバーガーをふたりで食べた。妻が亡くなってから、それを食べようとひとり向かった。でも、その店は水曜日は定休日。思い出は果たせなかった。

     

     今日、その三瓶山に行った。コロナウイルスの関係だろう、人との接触が少ない山の駐車場には車が溢れている。皆、考えは同じだな。仕方なく、頓原に向かって下ることにした。道の駅の国道の反対側にトイレのみを備えた駐車場がある。広い駐車場に2台の車だけが駐車している。静かでいいなって、持って来たサンドイッチを食べる。音楽を聴きながらしばし時間を過ごす。

     

    新緑

     

     緑がきれいだ。いつもそう思うのだけれど、太陽光の強さもあって今日は一段と鮮やかに見える。道路わきの駐車場スペースに車を停める。しばし見惚れる。美しい。濃淡の、変化がすごく美しい。

     

     帰り、宍道湖西岸なぎさ公園に行ってみた。きちんと整備された公園ではない。ほぼ自然のその姿でこの一帯をそう名付けているらしい。妻と同じ名の公園、佇むだけで胸が熱くなっていく。

  • 奥出雲行き 2021年05月02日

     計画通り、奥出雲町に出発した。土砂降りの中である。でも構うものか。サンドイッチ作って、フォークソングなどの音楽のCD積んで、カメラを積んで出発した。午後になったら小雨になるだろう。そしてやがては止むだろう。

     

    新緑

     

     11時、到着した。まず墓参だ。傘を差して線香を灯す。お父さん、お母さん、あんちゃん、半年ぶりだね。無沙汰してごめんねって墓参を終えた。鬼の舌ぶるいに行ってみる。まだ雨。駐車場でしばらく考えるが今日は歩くのやめておこう。

     

     道の駅「奥出雲おろちループ」に行く。途中雨の中、車を止めて民家の屋根と新緑に見惚れる。やはり写真は、生活の匂いがあるのが好きだな。

  • 今日から5月 2021年05月01日

     先日の大風と土砂降りで駐車場に松ぼっくりと落ち葉が散乱している。それが雨に濡れてアスファルトにへばりついている。もう少し乾いたらきれいにしよう。きれいにして連休を迎えよう。

     

     明日はサンドイッチ作って私の故郷の奥出雲町に行こう。ご先祖のお墓参りしよう。鬼の舌ぶるいに行って「鬼滅の刃」で切り割られたような「鬼の試刀岩」でも見てみようかな。道の駅「奥出雲おろちループ」の駐車場でサンドイッチ食べながら文庫本を読もうかな。

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