店主日記
-
茅葺屋根の下で
2023年08月21日
6時半に起きて、窓を開けてエアコン消して、朝食の友にキャベツの千切りのサラダを食べる。冷蔵庫で冷やされた冷たさが口の中に広がって気持ち良い。7時になったら太陽の光がちょっぴりだけど差し込んできてうっすらと汗をかく。今日の松江では最高気温が36度に達するらしい。
近所の人たちの助け合いで我が家の茅葺の屋根が葺き替ええられていた。まだ学校に行かない小さい頃、その作業を庭から見上げていた。朽ちかけて、真っ黒だった屋根の色が茅色に輝いて形も整えられていった。子供ながらの感性なのだろう、その凛々しい姿が美しいと思った。
そんな茅葺屋根の下の6帖の間で私は真夏の昼寝をしていた。放たれた戸口からすうっと風が通ってくるのが涼しくて気持ち良かった。だが、アブラゼミの鳴き声を子守歌にうとうととする頃には肌寒くなっていった。お母さん寒いよと言うと夏布団かけてくれた。こんな暑い日には、そんな遠い昔の記憶が懐かしい。
-
もの思う時
2023年08月19日
夕食が終わって、ひとりソファーに腰かけて、焼酎のお湯割りを楽しみながらテレビを見るでもなしに眺めている。テレビは私にとってはBGM代りだ。そうしていると、いろいろな事柄が頭の中を素通りしていく。自分の過去のこと、現在のこと、そして未来のこと。息子のこと、娘たちのこと、親戚のこと、友達のことなどなど。
1979年、「ばんばひろふみ」が「SACHIKO」という歌をリリースした。その歌い出しの歌詞がこうだ。「幸せを数えたら片手にさへ余る。不幸せ数えたら両手でも足りない」・・・さだまさしが作って、1977年に「山口百恵」がリリースした「秋桜」。明日嫁ぐ娘に、母が言ったこんな歌詞がある。「苦労はしても笑い話に時が変えるよ、心配いらない」そして「と笑った」。素通りした思いの後に、こんな歌が心を巡っていった。
昨日の午後、宍道町に用事があって行った。用事片付いて国道54号線から9号線に。そこでいきなり目の前に宍道湖が広がって来る。お、と思った。珍しい風景が。駐車スペースのある国道沿いに車を停めてスマホで写した。あそこだけ雨が降っている。ああ、ワイドレンズの一眼があれば迫力出るのにな。
-
私にしか見えない顔
2023年08月18日
昨夜、と言っても日にちが変わって今日の3時、目が覚めた。窓を開けてみると結構涼しい。前後の窓を網戸にしてエアコン消して再度眠った。よく眠ったつもりなのに、なぜか今日は気怠い。久し振りに自然の風に眠ったからなのだろうか。よく分からないけど、そうなのかもしれない。
不動産鑑定事務所から届いた書類に目を通していた。いつもの癖で、茶臼山の頂き付近に広がる雲を眺めた。今日はどの雲の上に居るんだい。たまには顔を見せておくれ。そう呟いた。気持ちが伝わったのか、流れて行く雲と留まっている雲と、そして太陽の光が微妙なバランスで妻の顔をこしらえた。あ、見えた。なぎさ、見えたよ有難う。そしてあっという間にまたもとの雲の流れに戻っていった。
-
あ、虫の音が
2023年08月16日
昨夕、早いうちから冷蔵庫を開け、缶ビールを取り出そうとしていた。おや、裏の窓際からかすかに聞こえるあの音は。静かに耳を澄ませた。虫の音だ。秋になると、うるさいほどの虫の音を聞いて育った私。今は1匹だけど懐かしい。もう秋の気配なんだ。
事務所の玄関に、盆休みは16日までと張り紙しておいた。だが、今朝になって出勤しようと決めた。洗いざらしのジーパンと、昨年娘と一緒に行ったユニクロのTシャツ着て出勤した。そう、これが私の普段着なのである。
しばしパソコンと格闘。午後になって疲れた気がして車に乗った。宍道湖一周しようと思ったが3時に来客予定。間に合わないといけないかなと思い、行き先を熊野大社に変更した。赤い鳥居の手前に置いてある「さざれ石」をぼんやり眺めた。来月、娘達と孫殿に会えることをを楽しみにして。
3時に不動産鑑定事務所からの書類を受け取った。心に緊張が走る。ふと、娘が使っていた姿見の鏡を見た。身長というのか胴長なのか、1センチほどの黒いクモと5ミリほどの茶色いクモが鏡の上でお互いにけん制し合っている。一触即発の模様。だがやがて、大きなクモの方が、静かに去って行った。クモの方が、ある意味人間より賢いのかもしれない。そして優しいのかもしれない。少なくともプーチンよりも。
-
送り盆
2023年08月15日
墓参の後、宍道湖に行ってみた。雨は大降りではないがぽつりぽつりと降ってワイパーを動かしている。夜明けて随分と経つのに空は夕暮れ時のように暗い。嫁が島の松の木もシルエットになって風情に欠けている。風景が色を失って、宍道湖いっぱいにモノクロームの世界が広がっている。台風7号の影響を受けて。
今朝、朝食の前に妻の仏壇に線香を灯した。そしてこう言った。「なぎさ、今日は送り盆だよ。でもな、帰らなくていいんだよ。あっちに行かなくていいんだよ。世間一般のことしなくていいんだよ。景山流でいいんだよ。だから俺とここで、ずうっと一緒に暮らそ。いつまでもいつまでも一緒に暮らそ、昔みたいに。約束したよ」・・・。