店主日記
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書かねば通さぬ美保関
2024年09月08日
9月になって2度目の日曜日がやって来た。日曜日は私にとっては勤務日、だけどやはり日曜日は日曜日の気分。確認したい物件があったので朝一番で出かけた。さっき10時半に帰って来てやっとエアコンのスイッチを入れた。インスタントコーヒーの粉ををカップに入れて湯を注いだ。さあ、今日が始まるぞ。
と、気合を入れたがやはり日曜日。コンパクトステレオのスイッチを入れた。パソコンを開いて先日行った美保関の日付をクリックした。まず目に付いたのが写真の板。知名度の高い二人の俳句が刻んである。美保神社の鳥居の脇を青石畳通りに入って、直ぐの左側の民家の塀に取り付けてある。湯川さん、俳句は書けんけど日記は書くよ。
母と暮らしたその昔、行きたいと言う母とよくここに来た。その昔、田植えが終わると、「泥落とし」と言って農作業の慰労のための旅行があったらしい。まず、松江に列車でやって来て、そこから船に乗って美保関に来たと言う。当時の仁多町を朝早く出発して、夕方着いたと言うから片道一日要した旅行だった。
当時は賑わっていた。土産物店も、数多くあった。そこで農業で使う、竹でこしらえた駕籠などを買って帰ったと言う。10年ほど前にあったその名残も今はない。そんな母の思い出などが心を巡っていく。ステレオから、ナナ・ムスクーリが歌う「ママポーラ」が流れていて、その歌声が私を優しく包んでくれる。音楽は、アメイジング・グレイスに替わった。
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残暑バテ
2024年09月06日
この頃体が変。体がだるくて食欲もなし。気力も湧かない。どうしてだろうと牛乳を飲みながら朝のテレビを見ていた。テレビはこの状態を「残暑バテ」だと言った。はて、そんな言葉あったかなあ。夏バテはよく聞くけれど、最近できた新語かも。
昨夜よく寝た。だけど朝方の4時に目が覚めた。二度寝しようと頑張るがどうもダメ。横になっていても意識がずうっと続く。昨日もそう、この2~3日寝不足が続いている。そう言えば、だいぶ昔だったけど、寝るのも体力だと、読んだ「渡辺淳一」の小説にそう書いてあった。
そんなバカな、と若い当時はそう思った。体力がないから寝るのだろ。体力があるなら寝なくてもいいんだろ。そう思ったが作家の渡辺氏は医者でもある。半信半疑だったが、歳を重ねるごとに、それもそうだなと思うようになった。そして今ではすっかり納得している。
写真は美保関港。向こうに見える高い山が大山。
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夏の終わりに
2024年09月04日
昨夜、なぜだろう。飲めば飲むほどに寂しさが増してきて、日が替わるまで飲んでしまった。遅く起きた今朝も、それを引きずっていて、美保神社に行きたくなってきた。そして青石畳を、妻と歩いた思い出をかみしめるように、ゆっくりと歩いてみた。面影の妻の姿に話しかけてみた。そしてやっと落ち着いた気がした。
いつもそうだが、ここに来ると今写真を写したこの場所にしばし佇んでしまう。この場所から見るこの風景に、得も言われぬ美しさを感じてしまう私なのである。最良の場所を探すために、ゆっくりゆっくり移動していく。手前の木立と、神社裏の山との空間のバランスを探すために。
今日は参拝客が多かった。一礼をして鳥居をくぐって行く人たちに日本の文化を感じたりしていた。夏を名残惜しむかのようにミンミンゼミがあちらの木で鳴いて、そして違うのがまたこちらの木で鳴いた。暑くて辛かった今年の夏、木陰に立てば涼しさを感じる今日になれば、去っていく夏に一抹の寂しさを感じてしまう私なのである。・・・だから昨夜、あんなに寂しかったのだろうか。
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やす子さん
2024年09月03日
8月24日のこの日記に書いたヘクソカズラの開花が多くなってきた。この花の花期は8月から9月だとある。秋の訪れを知らせる花なのかもしれない。ヘクソカズラという不名誉な名前だが、私は好きだからもっと自信を持ってほしい。そして秋の訪れに咲き誇ってほしい。
先日の夜、民放のテレビ中継の「24時間テレビチャリティーマラソン」を見た。芸能人のやす子さんが足を痛めながらも懸命に走っていた。中継のアナウンサーが言うのには、やす子さんは一時期、児童養護施設で暮らしたらしい。そこで最初に告げられた言葉が、「大学には行けないよ」と「18歳になったら出て行って」というふた言だったらしい。やす子さんは思ったという。「不公平」だと。
やす子さんも、苦労したんだなと思った。でも、頑張っているんだなあとも思った。そしてこうも思った。海援隊が歌う「贈る言葉」の中に、こんな歌詞がある。「人には悲しみが多いほど、人には優しくできるのだから」。やす子さん。あなたはきっと優しい、素晴らしい人間になって行くんだよ。あなたの表情をみて、きっとそうだよと思ったよ。
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台風一過の宍道湖
2024年09月01日
からりと晴れた日曜日の朝が来た。仕事だとは言っても、日曜日はやはり日曜日の気分になる。台風一過の宍道湖が見たくなって、営業準備を終えてからカメラを持って出かけた。国道9号線脇にある展望所まで我が社から車で5分余り、良い風景が広がっていた。
宍道湖は凪いでいた。嫁ヶ島の上に、いくつかの白い雲がぽっかりと浮かんでいた。雲は、威風堂々と波のない宍道湖に我が身を映していた。やがて風が私の顔を撫でて行った。その風は宍道湖にさざ波を立てた。宍道湖に映った雲の姿はさざ波が消した。嫁ヶ島の手前で大きなボラが一匹ぴしゃりとはねた。それに呼応するように少し手前でまた違うのが跳ねた。
宍道湖を眺める視線を西の方に変えた。いつもは水平線に隠れた出雲空港の管制塔が見えた。写真の真ん中に写っているのを確認できるだろうか。事務所に帰ってパソコンで大きく引き伸ばしてみたら左の建物は空中に浮いていた。蜃気楼なんだ。何か不思議な気がした。どうしてだろうと思った。もう直ぐ、孫に会える嬉しさからだろうか、そんな気がした。