母性
先日の立冬の夜、炬燵を出した。妻が逝ってしまってから6年半。味気ないひとり暮らしになって5年半。ひとり炬燵板の上のコップに焼酎のお湯割りを酌むのは味気ない。これから先、何年こんな暮らしが続くのだろう。これから先、何年ひとりで生きていくのだろう。女やもめに花が咲くって言うけれど、男やもめの心にはウジがわく。
私の自閉症というしょう害を持つ長男は35歳になる。先日、県立の出雲中央病院に転院した時があった。慣れない病院の個室、不安らしい。私が会いに行っても嬉しがらない。妻はもうこの世にいないのを、知ってか知らぬか分からぬが、妻が来るのを待っているらしい。もういい大人なのに、やっぱり母性が欲しいらしい。男は強くなれないね。
男って、いつになっても母性というものが必要らしい。女性と話していると心が和む。車の助手席に、どこか波長の合う女性がいると心安らぐ。だから私は、ほんの時々ドライブに女性を誘う。目的もなく走り回って、お昼になったら一緒に昼食を、夕方になったら住まいに送って行く。ただそれだけ、それだけで心安らぐ。
先日も一緒にドライブをした。朝の自宅に迎えに行って、どこか行きたい所あるって聞く。いや、特にないって返事が返ってくる。じゃあ、当もなく走り回るよ、と言って走り出す。今日は広島県をかすめて、鳥取県をかすめて帰ってこようか。そう言って八雲町から広瀬町に抜けた。布部ダムで一時停車。間もなく金屋子神社に着いた。
上の写真は布部ダムに架かる吊橋。下の写真は金屋子神社の参道に置いてあるケラ。広瀬町の金屋子神社は、全国にある1200社の金屋子神社の総本山らしい。ケラとは、たたら製鉄の製鉄炉から取り出された鉄のかたまり。写真はドライブ相手、K女子が写したもの。K女子の写真は今後この日記に数回続く。