店主日記

  • 久し振りに娘と食事 2020年07月26日

     この頃、人と一緒に食事したことがない。男の友達とはそんなことしたくもないし、女性の友達もいるにはいるが食事まで一緒にというのはいない。朝も、昼も、夜もひとりぼっちの食事をしている。近頃はそれにも慣れた。

     

     昨夜、尾道に嫁いだ娘が帰ってきた。3月の三回忌の法要の時会って以来である。夕方着くと言うから寿司と、ビールと、ワインをそろえるために奮発した。早めに帰って久しぶりに風呂にお湯をためた。待つこと1時間、玄関の扉が開いた。

     

     家族の間では、私は寡黙なほうだった。子供たちと妻との会話を聞いているだけ、そんな父親だった。だけど昨夜は違った。よくしゃべった。私って、こんなにも話ができるのかと思うほどよく話した。そんな中、かあちゃんの物も処分しなければと思うんだがって私は言った。でもそれができないんだ、って。そしたら娘、置いときなよ。最後は私が片付けるから。ずうっと置いときなよって言ってくれた。嬉しかった。

  • 定休日の一日 2020年07月23日

     休みでも早くに目が覚める。コーヒーを飲み終わったら焼き卵作ってパンと牛乳で朝食完了。各部屋に掃除機をかけて、仏壇の一週間の埃をふき取る。銀行が開く9時前に出かける。我が家の月末の支払いに通帳の調整をする。自治会会計通帳から支払い分を引き出す。公民館に支払う。

     

     花屋に行って1000円余りの花を買う。墓参を済ます。そしてボウリング場だ。どうやら、難しいレーンに当たったようだ。ストライクが出ない。それでもスペアでつなぐ。4ゲームしてアベレージ170程か。プリント貰うの忘れた。

     

     出雲市の息子の病院に向かう。支払いを済ませ、新しい保険証を提示する。コロナで面会できないのはもどかしい。入所の掛合町へ届け物をするために向かう。そう、息子は重度の自閉症で施設に入所している。途中、須佐神社の隣で割子蕎麦を頂く。買い物済ませて帰ったら午後4時30分。仕事の日より忙しい。

     

     運転する車内は山本潤子の曲が流れている。この瞬間が一番心安らぐ。しっとりと歌う山本潤子の透き通った高音が美しい。女性の優しい声が懐かしい。潤子の声が妻の声とだぶっていく。車内の妻の存在が嬉しい。仲良しだった妻との思い出が嬉しい。妻は私の中に生きているって感覚が嬉しい。

  • ヒグラシの初音 2020年07月20日

     大相撲が始まった。5時に仕事を終え、5分で帰ってすかさずシャワーを浴びた。リビングのソファーに座って缶ビールを飲みながらテレビの大相撲を見る。この瞬間が一日で一番嬉しい。

     

     最後の一番で隠岐の海が白鵬に負けた。刹那、正面の茶臼山からかすかな鳴き声が聞こえた。テレビのボリュームを絞り、耳を澄ます。ヒグラシだ。ヒグラシの初音だ。2匹ほどだけど、お互いに呼応するように鳴き合っている。

     

     昨年の日記を見た。7月18日にこの初音を聞いている。今年は19日。自然ってすごいな。寸分の狂いもなく回っている。この初音を聞くと、幼かった頃の田舎の我が家を思い出す。

  • 2020年07月19日

     日記付けながらコーヒーを飲んで、youtubeで山本潤子の歌を聴く。少しボリューム上げて「緑の季節」を聞きながら、いつ聞いても声が美しい。玄関に出てみる。開けっぱなしの玄関ドアから、山本潤子の声が聞こえてくる。透き通った美しい高音ががよく聞こえてくる。今8時15分。静かだなあ。

  • 旅の実行 2020年07月16日

     14日、墓参を終えて9時出発。西に向かって走ることにした。どんよりと、いつ泣き出すのだろう空模様である。ところが、出雲市を過ぎたあたりから晴れ間も見えてきた。快調に走って江津市についた。町の様子が見たくて旧国道9号線を走る。江の川を渡る時、濁流を見た。すさまじい流木の数。赤茶く濁った水は海をはるか向こうまで染めている。

    桔梗

     

     津和野に着いた。今日はここで泊まろう。ビジネスホテルを予約し、車を預けて歩くことにした。また降りそうな空模様。傘を持つ。駅前ホテルからはるか遠いところに森鴎外記念館がある。旧宅を見た。裏庭に、桔梗と女郎花。記念館は私一人。受付の女性と少しばかり話す。

    鳥居

     

     15日、朝早くに太鼓谷稲荷神社を訪れた。霧雨で、赤い鳥居と赤い社殿が映えている。町並みがかすんでいる。こんな風景もまたおつなもの。8時、帰途につく。日原の道の駅でお土産のビスケットを買う。行きはよいよい帰りは空しい。旅って、何のためにするのだろう。明日の英気を宿すため? いやいや、寂しさの再確認のため。でもまた旅しよう。

     

      妻のいない悲しさに耐えきれず、車で江津に走って渡部陽一氏の写真展を観た。江の川の氾濫を見た。あれからちょうど2年。えぐられるほどの痛い悲しみは今はない。だがそれは、深く大きなって静かに私を泣かす。

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