立冬

2022年11月07日

 今日は立冬、冬の始まりだ。そんな秋の最終日の昨日の朝、スマホにメールが届いた。誰だろう。「今日の午後、時間が空いたけどご都合いかがですか」という内容だ。この女性、ずいぶん前のことだけれど、仕事で係わって、そして知り合いになった人だ。

 

柿 そんな彼女に話したことがある。奥出雲町の金言寺(きんげんじ)の本堂前にある大銀杏がきれいですよ。それが田んぼに張った水に映って絶景ですと。いち度行きませんかと誘ったことがある。この時期なら、土日でも構いませんからと。

 

 たまたまその日の午後に、重要事項の説明の予定になっていた。メールを読み終わった時、電話が鳴った。午後の予定のお客様である。今日午後の予定でしたけれど、午前中じゃあいけないですかと。いえ、構いません。午前中お待ちしております。と言う訳で、じゃあ1時にお迎えにというメールを返しておいた。

 

 ドライブを趣味に持つ私は、安定性のある運転には自信がある。国道9号線から54号線に乗り換えて軽快に走る。標高が高くなるのにつれて山々の木々が色づいて行く。そしてその色がだんだん深まっていく。奥出雲町に着いた時には紅葉真っ盛りだ。

 

銀杏

 

 大銀杏の撮影は彼女Kさん。柿の実の撮影は私。

 

 余談だが、妻が亡くなった春の、その年の秋、奥出雲町に向かった。道の駅、おろちの里で柿の実をふたつ買った。なぜか、私は鬼の舌震の駐車場にいた。昼めし代わりにと柿の実をほおばった。何度も妻と、子供たちとも一緒にここに来た。その思い出が涙を誘う。柿の実を口に、両眼からボロボロと涙がこぼれた。誰もいない駐車場で。金言寺はそこの横を通って行く。

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