夢を見た日

2022年09月18日

 観音院

 

 先日の13日の日記に「儚い命」を書いた、その日のことである。  (写真撮影はX女子)

 久し振りに鳥取市に向かった。鳥取に来たら必ず立ち寄る所がここ観音院だ。いつものように、駐車場に車を入れバックで駐車しようとしている時だ。私の車より少し小型のまあるっこい洒落た車が入ってきた。県外車に女性がひとり乗っていた。その人と前後して参道を通り、拝観申し込みの受付に行った。

 

 細身の小柄だ。さらっとした髪が風の悪戯に揺れた。年齢は50歳少し手前に見えた。ジーンズのパンツはいかにも快活げに見えた。美人というより可愛いなってそんな雰囲気に思えた。拝観場所の縁側には私を含めて3人の客。先客が先に出て行き、ふたりだけの空間になった。静かに話せる距離感だ。その距離を与えてくれた先客に感謝である。

 

 抹茶を頂きながら庭園を鑑賞していた。いつしか、私の目はカマキリ(13日の日記)にそそがれていた。そしてそのカマキリが真鯉に飲み込まれる瞬間を見た。その時、「あ」っと言うわずかな悲鳴が上がった。彼女の視線もカマキリにあったらしい。

 

 カマキリも、もう少しの所で助かったんでしょうけど、と、私が話しかけた。あのう、と言う。彼女も私の車のナンバープレートを見たらしい。島根の方ですよね。明日は出雲大社に行くんですけど、今日夕方までに宿泊の出雲市に入ればいいんです。ゆっくりと山陰の風景を楽しみたいんですけど、どのコースを走るのを勧めますかって聞いてくる。特に日本海が見たいんですと。

久松山

 

 出雲大社で出会った県外に住んでいた後の私の妻。カメラのシャッターを押したのがきっかけで遠距離交際が始まった。そしてやがて結ばれた。あの時の出会いの再現のように思われた。こんな可愛い人と交際出来たら楽しいのにな。そう思った。心に妻がいるから恋人にはなれない。特別な友達がいい。

 

 山陰を楽しむコースのアドバイスをした。そしてリュックサックからメールアドレスの入った私の名刺を取り出した。そして、写真が撮れたら送ってくださいませんか、と彼女に渡した。店主日記に使いたいんです。他県の方の、山陰の風景を見る感性が知りたいんです、とお願いしてみた。

 

 一緒に観音院を後にして参道を歩いた。そして彼女の車を見送った。車が視界から消えると、鳥取城があった久松山が眩しく佇んでいるのが見えた。

 

 昨夜、メールに写真が届いたのでこの店主日記に少しずつ使わせていただく。

ページトップ