店主日記
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推理小説
2023年04月18日
車の調子が悪い。ショックアブゾーバーの具合が悪いらしい。順番待ちで、修理予定日は5月11日。長距離ドライブしていてもおもしろくないから、先週の定休日は書店に行った。新聞の読者欄に投稿して、お礼にもらった1000円の図書カードを4枚持って推理小説を3冊仕入れてきた。
まずは、2019年7月に刊行された東野圭吾の「希望の糸」をあっという間に読み上げた。殺人事件には間違いない。だがこの小説には、係わりのある人々の心模様が細かく推理されていた。ひとりひとりの違った人生が巧みに推理されていた。おもしろかった。だから一気に読み上げたのだろう。
写真は、3月23日に江津市の今井美術館に行った時に撮ったもの。その日の日記にも似た写真を使用している。異様なほど静かな日本海を写している。日本海にもいろいろな顔がある。日本海と推理小説。似た味わいがあるのかもしれない。
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心騒いで
2023年04月16日
先日、松江市に住む中学校の同級生からショートメールが届いた。さっき、事務所に行ったけど、来客中だったので遠慮したと。それに少し気持ちを添えて、また会おうねと返信しておいた。しばらくして、「先日こだま拝読しました」と帰ってきた。山陰中央新報の読者欄、こだま欄のことだ。
そして昨夜、夕食終えて、焼酎のお湯割りを楽しみながら私のこだま欄の投稿を読み返していた。何度も何度も読み返していた。たまらなくなって、再びショートメール。「僕が書いたものだけど、何度読み返してもその度に涙がこぼれます」と。こんな心を愚痴れるのは、幼いころからの同級生だからだろう。
先日、ある女性と話をしてその思いが分かった。そして、妻の仏壇にと供え物を頂いた。そのお礼に昨日メールを送信した。「また遊びに来てください。話せば気持ちが楽になります。辛い時には泣きましょう。涙は辛さを和らげる力があります。だから僕もよく泣きます」と。
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後10日
2023年04月13日
松江城二の丸の興雲閣の2階から見下ろす街の風景は黄砂ですっかり霞んでいた。若い二人連れの男性観光客が楽しそうだ。若い一人旅の女性観光客が二人、静かに見学していた。明治時代に建てられたという興雲閣、しっとりとした落ち着きが、案外若い人たちにとって魅力なのかもしれない。
スーパーマーケットの店内にもすっかり慣れた。ひとりで歩いていても恥ずかしさを感じなくなった。開き直れたのかもしれない。買い物をして帰ったのが3時。シャワーを浴びた。さてどうしよう。たまにはいいや、早すぎるけど、飲もう。
おかげでよく眠れた。出勤前の日課の墓参。命日まで後10日だよって囁いた時、5年前のあの時が蘇ってきた。静かに、静かに眠るように息を引き取っていったあの瞬間が蘇ってきた。悲しいけど、だけど懐かしいような、今ではそんな気持ちになってきている。
そして出勤の自家用車内、いつものCDの音が聞こえていた。いつもふたりで聴いていたあのCDの音が聞こえていた。偶然にも、グレープが歌う精霊流しの順番が来た。ふたりで聴いていた時の感覚とは全く違う感覚で聞こえてきた。♪線香花火が見えますか、空の上から♪♪
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だんだん
2023年04月12日
久し振りだ。いつから来ていなかったのだろう、と思い返してみた。
ある年の正月元旦早々の早朝のまだ暗いうちにやって来た。妻も、子供たちもまだ眠っていた。寝正月と決め込んでまだ眠っていた。いや、案外妻は気が付いていたのかもしれない。だけど、時々変なことするやつと知っていたから、だから気にかけていなかっただけなのかもしれない。
今日の松江城は人影少なく、天気は薄曇り。散策には持って来いの条件だと思った。階段をゆっくり上った。最初、興雲閣に入ってみた。以前来た時より整然としてきれいに見えた。コーヒーショップがあったけどスルー。今日はそんな気持ちになれない。
そして天守閣もスルー。周りから見上げるだけ。ゆるりゆるりと馬洗い池に下りた。そして二の丸に続く道を歩いた。大木が所々に伐採が施されていて、天守閣がよく見えて良かった。そう言えば初めてだ、この場所からこんな風景を見るのは。国宝、松江城の天守閣があらゆる方向からよく見える。そして、ひとりで歩くのはこんなにも静かなものなのかと思い知らされた。
今日は朝から誰とも口をきいていない。いつも行く花屋さんのお嬢さんと一言二言。二言目は「だんだん」だった。以前、あるおばあさんがあの花屋さんで私がだんだんと言ったら、久し振りに聞いたわと言った。私はあえてよく使う。ありがとうと言う方言を。コンビニでも、だんだんと言って帰って行く。
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松江城
2023年04月11日
今日と明日は月一度の二連休。朝遅くまで、と言っても8時半。よく寝た。墓参に行く道のコンビニに軍手を買いに寄った。見つけられない。店員さんに聞くのもなと思った。素手でするか。墓石のまわりの草むしりなのである。クローバーの蔓が妻の墓石のまわりだけによく伸びる。
事務所に出てきた。事務所前に大量のクスノキの葉が積もっている。佇まいが粗末に見える。定休日だけど掃除しようと段ボール箱いっぱいにした。草むしりと落ち葉掃除、汗が額から滴って目に染みる。車の調子悪いし、長距離ドライブしたくない。そうだ。久し振りに松江城の散策しようか。そうそう、今朝の山陰中央新聞。こだま欄に私の投稿が載った。
宍道湖大橋を松江城に向かって走っていた。が、やめようよというもう一人の私がいた。左折専用車線に乗り換えた。着いたのが秋鹿なぎさ公園。よちよち歩きの男の子がおばあさんらしき人と散歩していた。私も、会いたいなと思った。缶コーヒー飲みながら、文庫本を1時間読んで帰路についた。宍道湖には、白波が立っていた。