後10日

2023年04月13日

 松江城二の丸の興雲閣の2階から見下ろす街の風景は黄砂ですっかり霞んでいた。若い二人連れの男性観光客が楽しそうだ。若い一人旅の女性観光客が二人、静かに見学していた。明治時代に建てられたという興雲閣、しっとりとした落ち着きが、案外若い人たちにとって魅力なのかもしれない。

 

興雲閣

 

 スーパーマーケットの店内にもすっかり慣れた。ひとりで歩いていても恥ずかしさを感じなくなった。開き直れたのかもしれない。買い物をして帰ったのが3時。シャワーを浴びた。さてどうしよう。たまにはいいや、早すぎるけど、飲もう。

 

 おかげでよく眠れた。出勤前の日課の墓参。命日まで後10日だよって囁いた時、5年前のあの時が蘇ってきた。静かに、静かに眠るように息を引き取っていったあの瞬間が蘇ってきた。悲しいけど、だけど懐かしいような、今ではそんな気持ちになってきている。

 

 そして出勤の自家用車内、いつものCDの音が聞こえていた。いつもふたりで聴いていたあのCDの音が聞こえていた。偶然にも、グレープが歌う精霊流しの順番が来た。ふたりで聴いていた時の感覚とは全く違う感覚で聞こえてきた。♪線香花火が見えますか、空の上から♪♪ 

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