店主日記

  • すっきりと 2024年05月24日

     朝7時半の目覚まし時計で目覚めた。昨夜はぐっすりと眠れた。押入れに布団をしまって朝食の準備をした。冷蔵庫の、野菜室から取り出した昨夜こしらえたサラダが冷たくて美味しい。ひとり暮らしでも生ごみが。それを出して、墓参終えて事務所へ。9時ちょうどに到着した。

     

     9時半の約束のお客様が帰って行かれてから、バックヤードの流し台で上半身裸になった。お湯に濡らしたタオルで昨夜の寝汗を拭いた。この頃常備の、市販のかゆみ止めを上半身にまんべんなく塗った。よし、これでよし。夕方まで、乾燥肌の痒みから心を守れる。先日の3日間が明け、すっきりした気持ちになっている。不思議だなあ。

  • 三瓶山 2024年05月23日

     昨日息子に会って、その後いつものように三瓶山に行った。国道9号線から大田市中心部で市街地に入った。大田高校の脇を通って三瓶北野原に向かった。北の原は通過、木漏れ日の道を通って西の原に出た。この駐車場に車を停め、いつものようにパンをかじって昼食にした。これが息子に会った日の、私のルーティンなのである。

     

     まだ子供が息子だけだった時、ここ西の原に妻と3人でピクニックに来た。息子2歳。本当にあどけなかった。そんなことを思い出しながら、この3日間を振り返ってみた。やっぱり妻との死別は、普通じゃあなかったんだ。そう思った。この3日間の、いや、6年間の心のもやもやの原因が分かった気がした。

    三瓶山

     

     分かったのなら、もういいじゃないか。すべてが過去のこと、変わりはしないんだ。どうあがいたってどうしようもないことなんだ。だからさあ、ともう一人の私が手入れされた芝生の上で微笑んでいた。お前らしく楽しく生きようよ。女房の面影と一緒に楽しく生きていこうよ。息子が小さかった時のように。な、俺も手伝ってやるからさ。

  • ちびりちびりと 2024年05月21日

    焼酎 どうしようもない怒りがこみあげてきて、それが二度と抜け出せない悲しみと結びついて、泣きじゃくりながら島根半島の海沿いの道を車で走った。点在する集落が次から次へと移り替わっていった。約束されたように、石州瓦の赤い色に統一された集落の家々の屋根を見てるうちに、怒りは収まっていった。悲しみも幾分和らいでいった。そんな昨日の午後もあった。

     

     シャワーを浴びた。上半身裸で冷たい空気を体に感じながら缶ビールを一気に飲み干した。その後に、先日の3月に七回忌の法事の時にお供え用にと高級な焼酎を2本頂いたのを飲んだ。洒落たグラスに焼酎を注ぎ、氷をふたかけら入れた。それに水を注いで水割り焼酎をちびりちびりと飲みだした。今日の出来事だった朝の話し合いも、怒りに任せて走った午後の島根半島のことも忘れて。逞しくなったものだ。奥さんの方が男前だねって言われていたのに、逞しくなった。どこかから、妻の笑い声が聞こえた気がした。

  • 明日何時に出発したらいい 2024年05月20日

     朝の10時頃だっただろうか、「明日何時に出発したらいい」。その答えを当たり前のように、当たり前のことを答えてしまった。そしてその日の正午過ぎ、妻は事務所でお父さんと言って、そして倒れて、意識も回復しないままにあの世にひとり旅立って行ってしまった。

     

     次の日の月曜日、息子は入院することになっていた。病気でもないのに、その必要もないのに。だから妻は、その入院を嫌がっていた。そんなに気にしているんだったら、そんなに嫌だったら。・・・妻の気持ちを分かってやれなかった。そう思うと今でも悔やまれてならない。・・・俺も一緒に行くよと、なぜ私はそう言わなかったのだろう。そしたら、妻は死ななくてもよかったのかもしれないのに。

     

     今日の午前中、約束通り息子が籍を置く施設の人が3人でやって来た。予想通り、息子との契約を解約してほしいと言って。私はきっぱりと断った。あれから6年、あなた方は何の努力をして来たんですか。なぜ息子は、あんな窮屈な生活を6年間も続けなくてはならなかったのですか。せめて、新しい息子の入所先を探す努力をしてください。それが、息子を病院に送り込んだあなた方の責任でしょう。・・・妻の仇を討ってやりたい。そんな気持ちになっていた。

     

     3人が帰った後、怒りで心が震えた。妻を亡くした悲しさに、息子を不自由な生活にした心の苦しみに、この6年間、俺が一体どんな気持ちで生きて来たと思ってる。・・・景山さんって、怒ったことあるのって時々人が言う。そりゃああるさ、と心の中でつぶやく。妻を愛した情熱があったように、俺にだって激しさはあるさ。

    海

     

     たまらずに車を走らせた。こんなに心が乱れているようでは今日一日は終われない。そう思った。海が見たいと思った。どんなに心が乱れても、ハンドルを握ると落ち着くらしい。海を見て、点在する集落の民家の赤瓦を見てる時、ここにも生活があるんだな、人の営みがあるんだなと、だんだん心がほぐれてきた。・・・自分らしさを取り戻そう。明日から仕事、頑張ろう。

  • アマリリス 2024年05月19日

    アマリリス アマリリスの花が咲きかけていた。今朝出勤してきて昨日よりだいぶ膨らんだアマリリスの蕾に気が付いた。ああ、今年も咲くんだ。毎年毎年花を咲かせて、私を喜ばせてくれたアマリリスの花が今年も咲きかけている。

     

     サラリーマンの頃、勤務先のお客様が持ってきてくれたアマリリスの若い一株。事務所裏で育てていたが日当たりが気になったので我が家に持ち帰った。それから数年の後、けやき不動産を立ち上げた。そして間もなく事務所前に持って来た。だからもう30年以上の付き合いが私にはある。私の人生の半分を共にしてきた、そう言っても間違いない。

     

     そのアマリリスの花が今年も咲きかけている。この、けやき不動産の歴史のすべてを知っているこのアマリリスの花が咲きかけている。「アマリリスの花が今年も咲きかけているよ」。毎年毎年妻にそう語りかけてきたアマリリスの花が今年も咲きかけている。

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