店主日記

  • ちびりちびりと 2024年05月21日

    焼酎 どうしようもない怒りがこみあげてきて、それが二度と抜け出せない悲しみと結びついて、泣きじゃくりながら島根半島の海沿いの道を車で走った。点在する集落が次から次へと移り替わっていった。約束されたように、石州瓦の赤い色に統一された集落の家々の屋根を見てるうちに、怒りは収まっていった。悲しみも幾分和らいでいった。そんな昨日の午後もあった。

     

     シャワーを浴びた。上半身裸で冷たい空気を体に感じながら缶ビールを一気に飲み干した。その後に、先日の3月に七回忌の法事の時にお供え用にと高級な焼酎を2本頂いたのを飲んだ。洒落たグラスに焼酎を注ぎ、氷をふたかけら入れた。それに水を注いで水割り焼酎をちびりちびりと飲みだした。今日の出来事だった朝の話し合いも、怒りに任せて走った午後の島根半島のことも忘れて。逞しくなったものだ。奥さんの方が男前だねって言われていたのに、逞しくなった。どこかから、妻の笑い声が聞こえた気がした。

  • 明日何時に出発したらいい 2024年05月20日

     朝の10時頃だっただろうか、「明日何時に出発したらいい」。その答えを当たり前のように、当たり前のことを答えてしまった。そしてその日の正午過ぎ、妻は事務所でお父さんと言って、そして倒れて、意識も回復しないままにあの世にひとり旅立って行ってしまった。

     

     次の日の月曜日、息子は入院することになっていた。病気でもないのに、その必要もないのに。だから妻は、その入院を嫌がっていた。そんなに気にしているんだったら、そんなに嫌だったら。・・・妻の気持ちを分かってやれなかった。そう思うと今でも悔やまれてならない。・・・俺も一緒に行くよと、なぜ私はそう言わなかったのだろう。そしたら、妻は死ななくてもよかったのかもしれないのに。

     

     今日の午前中、約束通り息子が籍を置く施設の人が3人でやって来た。予想通り、息子との契約を解約してほしいと言って。私はきっぱりと断った。あれから6年、あなた方は何の努力をして来たんですか。なぜ息子は、あんな窮屈な生活を6年間も続けなくてはならなかったのですか。せめて、新しい息子の入所先を探す努力をしてください。それが、息子を病院に送り込んだあなた方の責任でしょう。・・・妻の仇を討ってやりたい。そんな気持ちになっていた。

     

     3人が帰った後、怒りで心が震えた。妻を亡くした悲しさに、息子を不自由な生活にした心の苦しみに、この6年間、俺が一体どんな気持ちで生きて来たと思ってる。・・・景山さんって、怒ったことあるのって時々人が言う。そりゃああるさ、と心の中でつぶやく。妻を愛した情熱があったように、俺にだって激しさはあるさ。

    海

     

     たまらずに車を走らせた。こんなに心が乱れているようでは今日一日は終われない。そう思った。海が見たいと思った。どんなに心が乱れても、ハンドルを握ると落ち着くらしい。海を見て、点在する集落の民家の赤瓦を見てる時、ここにも生活があるんだな、人の営みがあるんだなと、だんだん心がほぐれてきた。・・・自分らしさを取り戻そう。明日から仕事、頑張ろう。

  • アマリリス 2024年05月19日

    アマリリス アマリリスの花が咲きかけていた。今朝出勤してきて昨日よりだいぶ膨らんだアマリリスの蕾に気が付いた。ああ、今年も咲くんだ。毎年毎年花を咲かせて、私を喜ばせてくれたアマリリスの花が今年も咲きかけている。

     

     サラリーマンの頃、勤務先のお客様が持ってきてくれたアマリリスの若い一株。事務所裏で育てていたが日当たりが気になったので我が家に持ち帰った。それから数年の後、けやき不動産を立ち上げた。そして間もなく事務所前に持って来た。だからもう30年以上の付き合いが私にはある。私の人生の半分を共にしてきた、そう言っても間違いない。

     

     そのアマリリスの花が今年も咲きかけている。この、けやき不動産の歴史のすべてを知っているこのアマリリスの花が咲きかけている。「アマリリスの花が今年も咲きかけているよ」。毎年毎年妻にそう語りかけてきたアマリリスの花が今年も咲きかけている。

  • 気合いだ!気合いだ!気合いだ! 2024年05月15日

     計画通り、朝から奥出雲町に向かった。先祖の墓所に直行した。父さん、母さん、あんちゃん、またやって来たよ。たまにはなぎさと会うのかい。宜しく頼むな、あいつひとりで心細いだろうから。宜しく頼むな。そして線香を灯して、じゃあまたやって来るね。

     

    横田

     

     ループ橋に行った。阿井から吉田を通って帰ってきた。最後は宍道湖一周した。宍道湖を見ながら、20日のことを考えていた。息子が籍を置く施設との話し合いがあるからだ。そして、人生って辛いな、そう思った。だけど、だけど負けるもんか。負けてなるもんかと、気合を入れた。

  • 2連休 2024年05月14日

     今日明日は月一度の2連休だ。朝8時に目が覚めた。リビングのカーテンを開けた。よし、晴れている。ベランダに布団を干そう。干し終わったら公園墓地に。布巾で墓石をきれいに拭いた。気持ち良くなっただろ。今日と明日は休みだから、ずうっと一緒だよ。

    トンビ

     

     帰って朝食にした。遅い朝食をのんびりと食べた。テレビ見ながら、新聞を読みながらゆっくりと食べた。何日振りだろう、いや何年振りだろう。こんなに落ち着いて食べるのは。その後、はたきをかけて掃除機かけた。いちど郵便を出しに行って、掃除終わったら午後1時近くになっていた。

     

     さあどうしよう。どこか出かけてみるか。車に乗って、近くのコンビニで菓子パンと缶コーヒーを買った。これがいつもの昼食だ。美保関方面に行ってみようか。・・・しばしの後、灯台の駐車場のある地蔵埼で大山を眺めていた。妻が、トンビになって私に会いに来ている。何度も何度も輪を描いている。名残惜しそうに。おーい、元気かい。

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