日向ぼっこ

2023年11月20日

日向ぼこ 子供の頃、縁側でよく日向ぼこをした。庭にいっぱい雪が積もっていても、縁側に座って風のない日の日向ぼこは暖かかった。母が床に伏していても、兄や姉が学校に行っていても、ひとりぼっちの日向ぼこは暖かかった。心まで温もるようなそんな気持ちになったものだ。

 

 松江には、常に風が吹いている気がする。日向に出ても、その風の冷たさを感じてしまう。だから、松江では日向ぼこの記憶がない。よく人に言う。仁多ではね、日向ぼこがとても暖かくて気持ち良かったんだよ。あたりに雪が積もっていても、温かかったんだよ。皆、ぽかんとして聞いていた。

 

 今朝は、久し振りに晴れた。陽射しの色が温かそうだった。でも、表に出ると冷たい風が吹いていた。事務所の、接客カウンターにも陽射しが届いていた。ここでいいや。インスタントコーヒーをコップに注いだ。読みかけの文庫本を持って来た。昨日の、心を痛めたひっかき傷が癒されていく。ガラス越しの太陽は、そんな温かさを背中にくれた。

ページトップ