店主日記
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カメムシ
2023年10月22日
昨日の嵐で、今朝の事務所の玄関先に木の葉っぱが散乱していた。その掃き掃除をしている時、一昨日の夕方からやって来たカメムシが今も留まっているのが目にとまった。葉っぱを掃く箒がカメムシのすぐ近くで動くのだが、動じる気配はない。私の心を見透かしているようにも見えた。
私は、非現実的なことを信じる気持ちは全くない。あの世とか、そう言った世界があるなどとも思わない。死んでしまったら、人間だって虫だって植物だってみんな土に帰るだけだと、そう思っている。もし、私が死んだなら、火葬して粉にして海にでも流してほしいと思っている。
だが、妻のことになったら全く違う考え方を持っている。妻はあの世に居て、雲の上から私のことをを見守っていてくれる。そう思っている。そう思いたいのかもしれない。このカメムシも、ひょっとしたら妻の魂を宿しているのかもしれない。虫がやって来ると、いつもそう思う。
このカメムシは、飛んでいるだけで匂う、あのカメムシとは種類が違うようだ。背中の模様で、一昨日からここにいるカメムシだと分かった。なぎさ、そうだろ。
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八雲立つ
2023年10月20日
「八雲立つ 出雲八重垣妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」 これがここ出雲地方で歌われた日本最初の短歌だそうである。今日、午後になって外出した。我が社のある上乃木から浜乃木を通って嫁島に出ると宍道湖に突き当たる。道さえ混まねば車で5分余りの道程だ。嫁島で用事が終わったので宍道湖を回って帰ることにした。宍道湖の空が八雲で埋まっていた。西を見たら出雲空港の建物だろうか、それとも出雲市街地の物だろうか定かではないが、平素は水平線に隠れて見えないものが見えていた。蜃気楼による風景だろう。
そうそう、「八雲立つ」は出雲にかかる枕詞だとか。蜃気楼の写真は、スマホで写したものをパソコンでトリミングして拡大したからぼけた。やはりスマホはスマホだと思った。一眼レフの解像力にはかなわない。
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カフェ エルプラスさん
2023年10月19日
あ、カフェだ。通り過ぎて次の駐車場スペースでユータンした。洒落た建物があるなと思って横を通った時、見るとカフェの文字が。行かなくちゃ。そう思った。ひとりでのドライブ中、レストランやカフェなどに入ることはない。コンビニのサンドイッチで事足りる。そんな私が行かなくちゃと思った。入らなくちゃと瞬間に決意した。
ドアを開けた瞬間、やはりそうだと思った。カウンター、テーブル、椅子、みんな私好みの雰囲気を醸し出していた。丸太のままの太い木が柱になっていた。それにふさわしい窓の大きさ。ガラス越しに見える山間の風景、その雰囲気に融け込んだ「お好きなテーブルにどうぞ」の女性の声に心が癒された。店の片隅にある暖炉の中で、薪に火が点けられてわずかに炎をゆらしていた。
7時半に目覚めた。卵とウインナーを焼いた。サラダにドレッシングをかけて焼けたパンにマーガリンを塗った。それにミルクを添えるのが私の朝食である。それを女性に話すと、私より優雅な朝食だねとよく言われる。そうかもしれない。意外に私はまめなのである。
墓参を終えた10時前、国道9号線を西に向かって走り出した。宍道を抜け、木次を通過して奥出雲町に着いた。先祖の墓参のためである。鬼の舌震の入り口をかすめ、おろちループ橋を通って三井の原の分水嶺を超えて広島県に入った。そしてたどり着いたのが東城町川島にある素敵なカフェ「エルプラス」さんなのだ。
私にとってはハイカラな(また古語を使ってしまった)、ハイカラすぎるカルボラーナを頂いて鳥取県に入って日南町を通り、米子市をかすめて午後4時半に山代町のスーパーマーケット「ホック」に帰ってきた。夜は、サケのちゃんちゃん焼き。・・・これが私の平均的な休日の過ごし方なのである。
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谷村新司
2023年10月17日
昨日の夕方の帰り道、いつもは見もしない車のテレビのスイッチを入れた。いきなり、谷村新司の訃報。そうなんだ、亡くなったんだ。青春時代を同時に生きてきた谷村新司が亡くなってしまったんだ。なぎさ、彼の笑顔は二度と見れないんだね。君のいるそっちに行ってしまったんだね。そっと妻に囁いた。
夕食の弁当は、いつもの近くのコンビニと違った、帰り道にあるコンビニに行く。この店との付き合いは最近からだ。だが、あの女性はよくレジで見かける。話したことはない、が、谷村新司が亡くなったねと言ってみた。彼女も、新司のことはよく知っているのだろう、私も先ほど聞いて、と、答えた。俺、彼のこと好きだったんだよって言った。瞬間、彼女の心がほぐれるのが分かった。彼には、こんな人間力があったんだなと、あらためて思った。
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コーヒールンバ
2023年10月16日
この頃、フライパンで調理するのが妙におもしろくなってきた。冷蔵庫の中に焼きそばと野菜と豚肉の細切れがあったのでソース焼きそばにしようと思った。ソースはどうしようと再び冷蔵庫。これでいいやん。ケチャップとウスターソースを5対5、お、いける。これが昨日の夕ご飯だ。
昨日の草刈りで、足の筋肉に少し違和感があったが今朝は心地良く目覚めた。西側にある寝室のカーテンを開けると、向こうの山の頂に太陽が射していた。ふとまた、妻の面影が心の片隅を通り抜けていく。雨が降っていたりするとそれが心を沈めるのだが、今日は違った。かえってそれが心を潤してくれた。
事務所の玄関のガラスを少し開けた。裏側の窓ガラスも少し開けた。すうっと風が通っていく。ワイシャツ姿でちょうど良いくらい。快適さが心地良くて思い出した歌があった。1961年に西田佐知子が歌った「コーヒールンバ」。インスタントコーヒーを飲みながらYouTubeで聴いた。ああ、なんて心地良いのだろう。