店主日記

  • 尾道で海を眺めた 2023年11月09日

     千光寺公園駐車場から尾道市立美術館の横を通って道は下り坂になった。ほんの少し行った所の道の左側に陣幕久五郎の手形が石に刻んであった。その前から尾道の町と尾道水道と向島がよく見えた。海は、小春日和の日差しを浴びていかにも穏やかな風景だった。昔石切り場だった痕跡が向島の山裾に見えていた。

     

    尾道

     

     ここにしばし佇んだ。もう、今日はこれでよい。そう思った。歩いたのはほんの数百メートル。こんな短い時間での600円の駐車料金はもったいない気がした。もっと歩けばいいものを。だが、今日はこれで十分。目的は叶った。陽が西の方に傾いてきた。それを尾道水道のさざ波が弾いてキラキラと光っていた。さあなぎさ、帰ろうか。

  • 青空に月が! 2023年11月05日

    月が 

     

     11月だというのに初夏のように暖かく柔らかい陽射しだ。見上げると、こよなく晴れた青空が広がっていた。空を見ていたら藤山一郎氏が歌っている「長崎の鐘」が聞こえてきた。そう言えば、何年か前、広島平和記念資料館を歩いた。汗をふきふきひとり歩いたのを思い出した。え、どうしてひとりだったのだろう。

     

     島根県雲南市三刀屋町に、永井隆記念館がある。長崎の記念館には、本物の隆氏の奥様の形見のロザリオが展示してあると聞いた。いちど本物を見てみたい。そうだ、思い出した。火災保険の募集人試験に、妻と広島に行ったんだ。妻が試験中、広島の街をひとり歩いたんだ。

  • 中海の神秘 2023年11月04日

     障害のある人、高年齢の人はアパート入居が難しい。その二つを兼ねた人のアパート入居を可能にするために、朝から入院中の病院に面会に行った。そしてアパートオーナー宅を訪ねて行った。私の所へは、よくそんな仕事がやって来る。応えたい。そう思うのは、波乱な人生を送ってきた私だからだろうか。それとも、障害を持つ息子がいるからだろうか。

     

    中海

     

     その後、心の癒しにちょっとだけのドライブをした。道の駅「本庄」で缶コーヒーを買った。中海沿いを走った。今にも降りそうな空模様。偶然が偶然と重なるのだろう、中海は神秘的だった。海の向こうにべた踏み坂が浮いて見えた。こんな中海見たことない。店主日記にアップしよう。

  • ネコジャラシ 2023年11月03日

     ネコジャラシ

     

     夕方の5時過ぎたらもう薄暗い。昨夜は野菜たっぷりの焼そばを食べた。食べる時間は10分もかかりはしない。味気ないったらありゃしない。焼きそばは私が作るから旨い。ひとりテーブルの椅子に腰かけている、この空間が味気ない。

     

     そして食器洗って、歯を磨いて、布団を敷いといて、それからは炬燵で焼酎飲みながら夜長を過ごす。スポーツがあるとテレビに熱中できる。そうでない日は困る。いろいろなことを思ってしまう。思いは思いを誘ってまるでエンドレスの観覧車だ。

     

     昨日も、今日も昼間は暖かい。空気の流れを作るため、事務所の窓ガラスを少し開けた。その隙間から、後ろ片足亡くした小さな昆虫が入ってきた。つかまえて外へ放ってやったらどこかへ飛んでいった。だがやがて、またやってきた。そうか、君なのか。じゃあ久し振りに今晩一緒に飲もうや。え、女房酔わして・・・ん、なん、なんて?

  • 城崎での記憶 2023年11月02日

     夜は事務所の軒下にしまっておくのぼり旗立、その重石を今朝持ち上げた。その下に潜んでいたヤモリがびっくりしたのか自らの尻尾を切って逃げて行った。尻尾はまだ動いていた。そんな今朝突然、城崎温泉に泊まった旅館を思い出した。そして記憶は病で突然倒れた52歳の年末に繋がっていった。

     

    三保湾と大山

     

     若い頃、妻の父の招待で城崎の三木屋に泊まった。仲居さんに聞くと、この部屋は志賀直哉が泊まった事のある隣の部屋だと言った。じゃあと、その部屋を見せてもらった。この屋根の上に蜂が死んでいたんですねと仲居さんに言ってみた。ぽかんとした顔で返答に困っていた。

     

     志賀直哉の「城崎にて」を昔読んだ。遠い昔の記憶だから定かではないが、彼(誰だろう)は、脊椎カリエスで療養のためにここ三木屋にしばらく逗留した。この部屋からすぐ下の屋根に蜂の死骸があった。脊椎カリエスってどんな病なんだろう。完治するんだろうかとあの時思った。その記憶が、52歳から53歳までの私の療養生活に結び付く。そして人の命って。そう思ってしまう。

     

     写真は美保関港と大山。本文とは無関係だが、大山は、志賀直哉の暗夜行路、主人公時任謙作の終焉の地なのかもしれない。暗夜行路には、城崎の描写もある。義父に誘われた時、これを再度読み返してからの方がより楽しめると思った。夕食後、義弟と一緒に何か所かの外湯を回ったのは楽しかった。

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