我が愛車

2022年10月02日

 朝、まず墓参に向かう。日曜日だというのに、人っ子ひとりいやしない。蝋燭灯し、線香を立てる。そしてしばし話す。昨日の出来事とか、今日の予定とかを話す。会社で言う朝礼のようなものである。妻と私ふたりだけの朝礼だ。ただ違うのは、最後に愛してるよって言う言葉ぐらい なものかもしれない。

 

 手を振って、また明日なってお墓を後にする。歩きながら他の墓石の間に見え隠れする妻のお墓に向かっては手を振る。その動作を2~3回で駐車場に着く。一台だけ、私の愛車が停まっている。私ひとり乗り込む愛車が停まっている。妻との思い出の愛車、もう二人で乗ることもない愛車。虹の光が2本、ふたりの思い出をかばうように差し込んでいる。

 

愛車

 

 妙に人恋しくなってきた。友達に、今日は忙しいかいってメールを打ってみた。今日は多忙だよって返事が返ってきた。アントニオ猪木が亡くなった。三遊亭円楽が亡くなった。ふたりとも大好きだったのに。

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