ベルト

2025年09月17日

 長男が施設に入所して、長女が広島の大学にアパートを借りてひとり住まいしていたある日、高校生だった末娘がテニスの合宿にで益田市に一泊することになった。休みと重なったので、めったにないこの日に夫婦二人で旅行に行くことにした。目的地は山口県の萩市。

 

花 新婚旅行以来のふたり旅、楽しかった。萩市内を散策した。柑橘系の黄色い果物があちらこちらの民家に植わっていて面白いなと思った。夕方、予約しておいたホテル近くに着いた。ちょうどそこに、松下村塾があった。後に、遺影になったこの写真はこの塾の前で私が写したものだ。

 

 この原画をトリミングして、事務所の壁に貼ってある。先日ある人がこの写真を見て言った。この洋服も、この鞄もまだ家に置いてあるんだね、と。その日の夕方帰宅して妻の箪笥を開けてみた。みんな懐かしい。見覚えのある洋服ばかり。中に、ベルトが数本並んでいた。ひょっとしてこれ、俺のジーパンに似合うのかも。

 

 今日は定休日、だけれど仕事がひとつある。洗いざらしのぶかぶかにな った妻とふたりで買ったジーパンを履いた。妻のベルトを取り出して身に付けた。妻が亡くなる前よりも10数キロ痩せた私、少し短いが何とかなる。嬉しかった。まだ俺たちふたりでひとりなんだ。

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