ある日のこと
2024年01月13日
朝の時を告げる鶏がいるじゃない。「うん、うちの近所でも毎朝鳴くんや」。その鶏がね、ある日の朝時を間違えて鳴いたんだ。そしたらね、事代主命が慌てて早く帰らなきゃと思ったんだ。慌ててるもんだから、漕いでる舟の櫂を海に落としてしまった。さあ大変、どうしよう。
「どうしたん」。仕方ないから、自分の足で舟を漕ぐことにした。そしたらどうしたと思う。足をワニに、サメのことだよ、噛まれてしまったんだ。案外、食いちぎられてしまったのかもしれないね。「わ、痛そうやな」。だから彼は、時を間違えた鶏を憎んだ。それ以来、美保関町では、鶏は飼わない。鶏の肉も卵も食べなくなった。「へえ、そうなんや」
でも、現在は知らないよ。ある美保関町に住む若い人に聞いたら、食べるよって答えた。「ねえ、事代主命はどこから帰る時だったん」。それはね、対岸に好きな姫がいてね、毎夜毎夜そこに舟で通ってたんだ。「そうなんや、おもろい話やな。めっちゃおもろいやん」
まだ恋人時代、松江駅で待ち合わせて、私の車で美保関に向かう時の車内での会話だ。出雲大社で出会って、今度は美保関に行ってみようねって約束していて、しばらくの後の話なのである。この頃、思い出が心の中をめぐっていく。
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