永遠の思い

2023年12月05日

 ルーペを取り出すために事務所の小物入れを開けた。プラス株式会社のホッチキス針の小箱に目がとまった。これは、妻が嫁入り道具のひとつとして持って来たものだ。あまりにも、その量の多さにびっくりしたことを覚えている。家庭で何に使うのだろうか、と。

ホッチキス針

 

 やがて、不動産業を始めた。妻が持って来たたくさんのホッチキス針が役に立つようになった。あんなにたくさんあったのに、この春、2本を残してほぼ使い切った。18年間、役に立ったことになる。妻はこのことを読んでいたのだろうか。いつか役立つと思って。

 

 記念として、2本を残しておくことにした。何の品を見ても、妻が触ったものは懐かしい。そんな妻のことが、もう逝ってから5年半過ぎたのに、胸深く思い出されてしまう。日が短くなったからだろうか。寒さが増してきたからだろうか。そんな季節が、妻を深く深く思い出させてくれる。そして、妻は幸せだったのだろうかと、そう思ってしまう。また、今なお、妻に恋していることに気付いた。

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