嬉しい悲しみの涙

2021年08月03日

 私は知らなかったが、障がいを持つ息子のために妻が保険をかけていたらしい。そしてどの通帳からか分からないが今も保険料の支払いは続いていた。そのことが先日分かったので入院中の病院に、書類の申請に行った。妻らしいなと、改めて思う。

 涙

 嬉しいことがあると、当然に嬉しい。喜びが大きいほど心はより楽しくなる。そして私の場合、そのしばらくの後に悲しみがやって来る。妻が聞けば、妻が知ればもっと喜ぶだろうな。そう思った瞬間に悲しみはやって来る。その喜びが大きい程、悲しみは深くなっていく。妙な話だが、先日の夜もそれで泣いた。

 

 私の運転する車の助手席で、私との会話を楽しんでいた妻。私もだが、妻もその時間が一番楽しかったらしい。だから今も、助手席には妻の遺影が座っている。この時間が、私が一番心安らぐ瞬間だ。明日は定休日、サンドイッチ作ってドライブを楽しもうと思っている。在りし日の妻の思い出に、遠慮なく泣こうと思っている。悲しい涙じゃない。二人で暮らした思い出が、限りなく湧き出て来る数々の思い出が、嬉しくて流す涙なのだ。

ページトップ