そんな気がして

2021年03月01日

 この頃よく眠る。途中で何回も目が覚めて、その度にトイレに行って、また寝付けなくて悶々とした気持ちの中で朝を迎える。そんな状態の夜が続いていたのに、この頃よく眠る。一回も目覚めることなく、それどころか目覚まし時計が必要となってきた。

 

 私が眠れなくなったのは、妻が亡くなってからだ。「岬めぐり」の歌詞の中で、「僕はどうして生きていこう」とバスに乗った彼は青い海を眺めながら歌った。そんな気持ちが私も2年半も続いた。食欲もなく、生きる気力さえ薄れて、眠る体力も心の力もなくしていたのだろうと思う。

 

 配偶者を失った人はみんなそうだと思う。だから連れ合いの後を追うように亡くなっていった話をよく聞く。でも私は生きる気力を取り戻そうとしている。これは私の気持ちが強いからではない。おとうさん、生きていってと、妻が天国から手をふっている。そんな気がして。

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