何もかもが同じ

2020年09月24日

 温泉津

 彼岸の中日であり、妻の月命日と定休日が一緒になった。4年前だったか、妻と二人で行った温泉津の温泉街の散策がしたいと思った。朝の日課の墓参を済ます。3日前に替えた花がしおれている。帰りに新しいのに生け替えるから。約束通り、温泉津一緒に行こうな。

 

 西田地区にあるヨズクハデを見た。観光協会でしばらく資料を見学した。そして温泉街を歩く。4年前のあの時と同じ歩調で歩く。町並みは、何も変わっていない。コロナ禍のせいなのか、人っ子一人歩いてはいない。スマホをカメラがわりに歩く女性の旅人を見た。あの人も私と同じく、思い出に浸っているのだろうか。それとも、知らない町の散策だろうか。

 

 港の突端に行ったのも、あの日と同じ。同じように4~5人の釣り人がいた。何もかも同じだ。すべてが同じだ。マーケットの女性の笑い顔まで同じ。観光協会の明るく話す女性の声までも同じ。何もかもあの時と同じ。違うのは、私の隣に妻がいないだけ。

ページトップ