間もなくお盆がやって来る
2024年08月11日
盆とは、先祖様を自宅に迎えて供養する行事だ。家族との別れを知らない子供の頃には純粋だった。母への手伝いが、13日の夕方玄関先で姉とふたりして迎え火を焚くことだった。この明かりで帰ってこらっしゃい(帰ってきてください)と言って火を焚いた。顔も知らない先祖が帰って来る。本当に帰って来るんだとそう信じていた。
いつの頃からだろう、そんなことなどあるはずもない、そう思う私に変わっていた。20歳過ぎの頃、父が旅立って行った。もう、会えないんだなと思うと、泣かない私に涙が出てきた。30歳過ぎ、母が逝ってしまった。一緒に暮らしていたので、ひどく悲しかった。母の死は、私を読書の鬼にした。死って何だろう。それを深く探ってみたかった。
妻が逝ってしまった。神や仏の存在など無視していた私が人並みに墓をこしらえた。死んでしまったら、何も残りゃしない、無になってしまうんだとそう思っていた私が毎朝墓参するようになった。そして妻に話しかけるようになった。娘が結婚したよ。孫ができたよと、報告するようになった。
そして今年も盆が近づいてきた。その前が3連休とあって、公園墓地は賑わうようになった。朝から人が訪れている。いつも静かな公園墓地に、朝からひっきりなしに車が出入りしている。私ひとりの墓地じゃないから我が儘は言えないが、静かな公園墓地の朝が欲しい。妻と、二人っきりで静かに話したい。いつもの日常であって欲しい。
写真は、名も知らない真夏の木に咲く地味な花。