春の風が爽やかだった

2025年03月26日

 石見銀山世界遺産センター前の駐車場に昼ちょうどについた。大森の町に行くバスの時間を確認した。50分の待ち時間があった。世界遺産に指定された当時、妻と来た時はバスは頻繁にあった筈なのにと思った。どうしよう。とりあえず木製のベンチに腰掛けた。日陰にいると、春の風が爽やかに感じられた。自動販売機で買ったペットボトルの水が美味しかった。

 

さざ波 年配のカップルたちが目の前を通っていった。談笑しながら歩いていった。気に留めるでもなく眺めていると何故か私の遠い昔が蘇ってきた。その記憶は年代を追ってやがて現在に迫ってきた。そしてついさっき会ってきた入院の息子の顔になった。帰ろう、そう思った。50分の待ち時間は私に帰ろと言っているのかもしれない。

 

 海を眺めながら国道9号線を走った。黄砂が遠くの風景を消していた。砂浜には相も変わらずさざ波が打ち付けていた。釣りもしたいな、と思った。でも今の私にそんな心の余裕はありゃしない。そんなことに心を動かしていたら急に魚が食べたいと思った。それも干物がいいと思った。干物の焼き魚なんてもう何年食べていないのだろう。時々妻が焼いてくれたのを食べていた。思い出すとそれが最後だった。だから今日は魚の干物を買って帰ろう。そう決めた。

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