母の味

2024年12月08日

 出勤の車のフロントガラスを霰が打ち付ける激しい音がして、一瞬間だったが路面を白くした。事務所に着いて、エアコンのスイッチを入れて設定温度を1度高くした。寒さが肌に沁みとおる。寂しさが心に沁みとおる。でもあと半月もすれば娘が帰って来る。孫がやって来る。大きくなったかなあ。ああ、早く会いたいなあ。

 

 昨日、ある人が今晩の酒のつまみにとキンピラを持ってきてくれた。大根でこしらえたんだよと言って。さっそくシャワーを終えてビールのお供にすることにした。旨い、と思った。この味は似ている。40数年前の数年間、一緒に暮らした母の味に似ている。美味しいなあ、思い出すなあ。ねえ母さん。

三瓶山 

 あの日三瓶山は初冠雪だったのだろうか。山肌を雪が白く染めていた。ある年の暮れ、三瓶山にやって来た。何気なく、東の原にあるワイナリーに寄ってみた。ぶらっと店内に入ると、笑顔の店員さんがこのワインがいいと勧めてくれた。勧められたワインを購入して大晦日の夜、ひとりグラスを傾けた。今年の大晦日は、二人の娘がいて孫がいる。

 写真撮影はK女子。

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