延命の水 出雲坂根駅 

2019年04月15日

 13歳年上の兄が高校生の時使っていた、スーキー道具を担いで三井野原スキー場まで行ったのは中学生の時だった。当時でもスキー道具の改良は著しく、他の人のと比べたら骨董品に近いかなと感じていたが滑ることは下手ではないのでそれでも十分だった。上に向かって動いているロープがスキーリフト。木次線始発駅の宍道から乗って、そのスキー場のひとつ手前が出雲坂根駅なのである。   

出雲坂根駅

 説明にこう書いてある。「古老によれば、昔キツネやタヌキが多く、しかも寿命が100年をこえたと思われる古だぬきが好み飲用したことから、里人も長寿の霊水と称して飲用をはじめ、そのうち延命の水と名付けられた」

 

 もう少し若い頃、キャンプ好きな私は車にキャンプ道具を積んで山の中でひとり泊まるのが好きだった。七輪に火を起こし、スルメを肴に焼酎のお湯割りを飲むのがそのこだわりである。

 

狸

 その匂いに誘われてか、狸がやってくる。その毛並みはランタンの光を反射して黄金にかがやいて見える。遠くから、恐る恐る背伸びしながら小首を傾けてこちらを伺っているその様子は可愛らしくもあり、また神秘的でもあった。絵に見るよく肥えたぽんぽこ狸とは似ても似つかぬ現実である。

 

 駅舎と国道を挟んで反対側に階段を下った所に水くみ場がしつらえてある。自由に持ち帰ることが可能なのだ。ペットボトルやポリタンクに汲み帰り、ご飯を炊くのも良いかもしれない。コーヒーを沸かすのも良いかもしれない。私のように焼酎のお湯割りを飲むのも良いかもしれないがくれぐれも飲み過ぎにはご注意願いたい。

 

延命水の汲み取り 

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