奥出雲町陰ながら応援団
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絶世の美女
2020年02月08日
昨年の暮れ、娘とその婿殿を連れて我が故郷の奥出雲町に眠る先祖の墓参りをした。尾道から車でやって来た彼らと我が家で待ち合わせて30分後の昼ちょうどに松江を出発した。まず昼ご飯をと、奥出雲町の稲田神社の社務所を利用した「姫のそばゆかり庵」でそばを食べることにした。婿殿は鳥取市の出身である。割子そばの薬味にかつお節がおもしろいとこの前も言っていたのがおもしろい。
社務所の座敷に座卓が数卓並べてあって4人掛けに座布団が敷かれてある。その日はお昼も過ぎた頃とあって待合室で待つことなく席につけた。割子そばと仁多米で作られたおにぎりを注文した。久し振りでもないが近況などを話しながら頂く。旨い。同じ出雲そばでも、横田小そばを使ったそばはより旨い。舌鼓を打ちながら、この社務所からはイナタヒメとスサノヲノミコトの石像が立ててある庭も拝観できる。
そして思う。この姿こそ、いにしえの神話時代の絶世のほんとうの美女の姿なのであろうか、と。
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奥出雲八重垣神社
2019年05月10日
奥出雲町佐白に八重垣神社があることを知って行ってみたくなった。松江市からだと忌部、大東、経由で行くと一番近い。道路標識が雲南市から奥出雲町に替わるすぐそこに伊賀武神社がある。八重垣神社はそこに合祀されて伊賀武神社本殿の片隅にひっそりと佇んでいる。スサノオノミコトとイナタヒメが祀られたいわば縁結びの神様なのだが、その華やかさはない。
鏡の池にも行ってみたい。生活道路を車でゆっくり走っていると中年の主婦に出会った。親切丁寧にその場所を教えてくれた。この親切は郷土愛なのだろう。
小さな池がある。看板がなければ見逃すほどの大きさだ。観光化などには程遠い風景だが、いかにもイナタヒメが身づくろいするのには格好な池なのかもしれない。
船通山があり、斐伊川の上流であり、このあたりを八頭ということから、スサノオノミコトとイナタヒメの新居は、まさしくここだっただろうと想像するのに全く無理はない。
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可部屋集成館・櫻井家庭園
2019年05月06日
JR木次線三成駅から国道432号線を広島県方面に向かう。上阿井の集落を過ぎて民家が途切れてもまだ進んで行くとたたら文化遺産「可部屋集成館」がある。奥出雲町はアニメ「もののけ姫」 の舞台モデルになったくらいだ。櫻井家の建つ位置がなるほどとうなづけるのもおもしろい。
館内には、始祖、塙團右衛門の鎧兜や歴代の藩主が訪れた時に使用された御成調度品の数々、書画や茶器、優れた美術工芸品、中でも狩野派を中心とした絵画は秀作がそろっている。
塙團右衛門は戦国の加藤嘉明に従って朝鮮出陣、関ヶ原の合戦に鉄砲隊長、そして大坂夏の陣で討ち死にした。その嫡男直胤が母方の性「櫻井」を名乗っている。
集成館と隣に接する所に櫻井家とその庭園がある。現存する母屋は1738年に建築されたものだ。可部屋集成館と櫻井家住宅、庭園の拝観料のセット価格は1000円。
ここ上阿井の集落に行くのは車に限られる。松江市中心部からだと1時間30分余りの時間を要する。道が広いので運転になれない人でも程よいドライコースだ。ゆっくりと、ドライブを楽しみながら訪れるのが良いだろう。
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延命の水 出雲坂根駅
2019年04月15日
13歳年上の兄が高校生の時使っていた、スーキー道具を担いで三井野原スキー場まで行ったのは中学生の時だった。当時でもスキー道具の改良は著しく、他の人のと比べたら骨董品に近いかなと感じていたが滑ることは下手ではないのでそれでも十分だった。上に向かって動いているロープがスキーリフト。木次線始発駅の宍道から乗って、そのスキー場のひとつ手前が出雲坂根駅なのである。
説明にこう書いてある。「古老によれば、昔キツネやタヌキが多く、しかも寿命が100年をこえたと思われる古だぬきが好み飲用したことから、里人も長寿の霊水と称して飲用をはじめ、そのうち延命の水と名付けられた」もう少し若い頃、キャンプ好きな私は車にキャンプ道具を積んで山の中でひとり泊まるのが好きだった。七輪に火を起こし、スルメを肴に焼酎のお湯割りを飲むのがそのこだわりである。
その匂いに誘われてか、狸がやってくる。その毛並みはランタンの光を反射して黄金にかがやいて見える。遠くから、恐る恐る背伸びしながら小首を傾けてこちらを伺っているその様子は可愛らしくもあり、また神秘的でもあった。絵に見るよく肥えたぽんぽこ狸とは似ても似つかぬ現実である。
駅舎と国道を挟んで反対側に階段を下った所に水くみ場がしつらえてある。自由に持ち帰ることが可能なのだ。ペットボトルやポリタンクに汲み帰り、ご飯を炊くのも良いかもしれない。コーヒーを沸かすのも良いかもしれない。私のように焼酎のお湯割りを飲むのも良いかもしれないがくれぐれも飲み過ぎにはご注意願いたい。